毎日新聞社と森ゆうこ議員の癒着疑惑を質す

2019年11月24日 17:00

毎日新聞社に11月13日付で質問状を送付したが(参照拙稿「森ゆうこ参議院議員と毎日新聞社への公開質問状」)、7日以内の期限までに回答がなかった。

毎日新聞ロゴ、参院HPより:編集部

質問は、毎日新聞社と森ゆうこ議員との間に、報道機関としての矩をこえた癒着がなかったかを問うものだ。もし事実とすれば、毎日新聞社にとって深刻な問題のはずだ。

私は、事実に基づき、一般人が普通に抱く疑いを提示しているつもりだ。もし間違いならば、根拠を示して否定してほしい。毎日新聞社にとって、回答せずに無視して済む問題とは思わない。

【疑惑の根拠1】:記事にはなっていない毎日新聞社質問状と国会質問の内容が酷似している

毎日新聞社が9月30日付で私の自宅あてに送付した質問状は、以下の内容だ。

2016年11月24日の国家戦略特区ワーキンググループ(一般社団法人外国人雇用協議会からのヒアリング)で、私は出席していないが、他方で、議事要旨上の八田達夫座長の発言に「今、原さんがおっしゃったように」とあることを指摘したうえで、

  1. 私が何らかの発言をしたか?
  2. もしその場にいなかったとすれば、なぜ欠席したのか?
  3. 外国人雇用協議会は政策工房に事務局がおかれている(筆者注:住所が同一との意味と考えられる)団体ということでよいか?
  4. 2016年12月6日の国家戦略特区ワーキンググループで、私が単独で同協議会の提案につき省庁と協議したことは、問題ではないか?

一方、森議員の11月7日参議院農水委員会での質問は、以下の流れだ。
2016年11月24日の国家戦略特区ワーキンググループに関して、私が出席していないことを確認したうえで、

  1. 議事要旨上の八田達夫座長の発言に「今、原さんがおっしゃったように」とある。「原さん出席しているじゃないですか。どんな発言があったんですか」?
  2. 「原さんはこの部屋にいたんですね」?
  3. 外国人雇用協議会と政策工房の住所が同一と指摘し、「原英史氏は利害関係者でよろしいですか」?
  4. 2016年12月6日の国家戦略特区ワーキンググループに私だけが出席していることを指摘し、自分の提案を役所と協議している、「こういうのを自作自演と言うんじゃないんですか」?

まず、どちらの質問も、全く的外れな追及であることは、すでに説明したので繰り返さない。(詳しくは→「毎日記者の質問と酷似?森ゆうこ氏の相変わらずの的外れ」)

ポイントは、

  • 質問の内容が、明らかに酷似している、
  • しかし、毎日新聞社は、11月7日質疑までの間に、これに関する記事を一切掲載していない
  • とすると、普通に考えれば、毎日新聞社から森議員に水面下で情報提供がなされたのでないか

ということだ。

とりわけ、偶然とは考えられない一致点もある。

第一に、どちらも、2016年11月24日の国家戦略特区ワーキンググループで、私は出席者でないが、「今、原さんが…」との発言があるとの“矛盾点”を追及している。ここが、「利益相反」「自作自演」を示す、いわば切り札のような扱いだ。

だが、この“矛盾点”は、毎日新聞で記事にしておらず、私の知る限り他メディアでも指摘されていない。森議員が偶然、膨大な国家戦略特区ワーキンググループの議事要旨の中から、自ら同じ“矛盾点”を見つけ出したとは常識的には考え難い。

加えて、もし森議員が「今、原さんが…」を見つけ出したとしても、それだけで国会質問をできたとは考えられない。それだけなら、「単なる誤記」で終わってしまう可能性が十分あるからだ。

私は9月に、内閣府を通じて毎日新聞社に「当日は前後にヒアリングがあって永田町庁舎に来ていた」と回答していた。おそらく、この取材経過も森議員に伝えられたのでないかと推測している。

(注)ちなみに、私は、上記回答の後、内閣府を通じて毎日新聞社に「これ以上の回答はしません。これは、毎日新聞社が現在行っている取材が正常な取材活動ではなく、回答する必要がないと考えるためです」と伝えている。根本的な間違いに基づいて「利益相反」などの指摘が一方的に続けられ、こちらの説明に対応する姿勢がみられなかったためだ。

第二に、双方とも「外国人雇用協議会と政策工房の住所が同一」と指摘している点も、不思議な符合だ。

「私が外国人雇用協議会の関係者だ。だから利害関係者だ」と主張したいならば、私が協議会の理事を務めていることを示せば十分だ。これは、私の公開プロフィールでずっと明らかにしている。住所を持ち出す必要は全くなかったはずだ。

それにもかかわらず、どういうわけか、双方とも無意味に「住所が同一」にこだわった。これは偶然の一致とは考えられない。

【疑惑の根拠2】:森議員が11月7日に国会で配布した登記資料は、毎日新聞社が取材を行っていた時期(10月1日)に取得されている

森議員は11月7日の質疑の際、法人住所と私の自宅住所の双方が記載された資料を配布した。これは、外国人雇用協議会の法人登記情報を登記情報提供サービスで取得したものと考えられ、資料には「10月1日17:42」時点と記載されている。

もし森議員が11月7日の質疑のため、自ら(ないし事務所職員が)登記情報を取得したとすれば、その直前になされるのが自然だ。

10月1日は、ちょうど毎日新聞社がこの件の取材を行っていた時期で、私あてに質問状が送付された翌日だ。

上記の根拠1とあわせ、毎日新聞社から森議員に情報・資料が提供されたのでないかと推測される所以だ。

【疑惑その1】: 毎日新聞社の記者らは、報道のためではなく、政治活動の支援のために活動したのでないか?

もし上記の推測が正しいとすれば、毎日新聞社の記者らは、取材過程の情報を、報道に用いるのでなく、特定の政治家の国会質問のために提供したことになる。これは、もはや報道機関としての活動ではない。

西山太吉氏(日本記者クラブHPより編集部引用)

かつて「西山事件」(1971-72年、毎日新聞政治部の西山太吉記者が外務省の極秘電文を入手し、これを国会で社会党議員が公開した事件)の際に、「報道の自由」か「秘密保護」かが大論争になった。毎日新聞社が論争で劣勢になり、販売部数の減少、債務超過にまで追い込まれた要因は、記者が男女関係を利用して情報入手したことに加え、記事にするのではなく国会議員に情報提供したことだった。

当時、識者からは、例えば以下の指摘がなされている(いずれも「諸君!」1972年6月号掲載)。

  • 「かれがことがらを新聞紙上に『報道』する途を取らず、これを社会党代議士の手に渡[す](中略)途を選択したとき、かれは新聞記者としてではなく(中略)政治的な行動者として行動していたことになる」(田中美知太郎氏)
  • 「新聞の“公平さ”を疑わせた罪は非常に大きい」、「明らかに記者道を逸脱した」(屋山太郎氏)

半世紀近く前に犯した間違いを、また繰り返しているのではなかろうか。

【疑惑その2】:個人情報をずさんに扱い、無断で国会議員などに提供していないか?

仮に、国会で配布された10月1日時点の登記情報が、毎日新聞社から森議員に提供されたとすれば、さらに問題がある。この資料には、私の自宅住所が掲載されていた。個人情報を含む資料を報道目的で取得するのは自由だが、それを無断で第三者に提供したら目的外利用だ。

新聞社が報道目的で利用する個人情報は、個人情報保護法の適用対象外だが、毎日新聞社は自ら、「法令に基づく場合を除き、ご本人の事前承諾なく、個人情報を第三者に提供することはありません」と表明している(出典:毎日新聞社サイト「個人情報について」

こんな基本的なルールすら守れていないとしたら、法律の適用除外を受ける資格がない。

加えて、私以外の個人情報がずさんに扱われていないかも危惧している。この件に関する取材で、毎日新聞記者は、私以外の関係者の自宅を突然訪問した。万一にも、こうした個人情報が国会議員など社外に流出しているとしたら、さらに深刻な問題だ。毎日新聞社には徹底的に調査してもらう必要があると思う。

以上を踏まえ、毎日新聞社には、早急に質問状に回答いただきたい。
また、森議員にも同様の質問をしている。森議員にも、責任ある回答をいただければと思う。

原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。

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原 英史
政策工房 代表取締役社長

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