関西1位の焼肉店が「芸能人お断り」を掲げる理由

2019年12月06日 06:00

今年10月、公正取引委員会が大手グルメサイトの実態調査を始めたことが報じられるなど、「食べログ」の点数の信頼性をめぐる議論がネット上で再燃しました。

その「食べログ」で一時最高で4.2の点数を獲得するも、「独自のアルゴリズムで算出」という非公開の評価方法に不信感を抱き、2016年に4年連続受賞したベストレストランの賞状をすべてゴミ箱に捨てるなどして、当時『週刊文春』から取材を受けた焼肉店が大阪にあります。

京橋と南森町に店舗をもつ焼肉店「京松蘭」。関西のグルメブロガーらが集結して昨年末に立ち上げたサイト「KGB~ 関西グルメブロガーズ」では、2019年上半期のレストラン・ランキングの客単価「5000円~10,000円未満」のカテゴリー(全てのジャンルを含む)で、ベスト10の第1位に選ばれました。

「京松蘭」の福本大祐氏(中央手前)と常連のお客さんたち=福本氏インスタグラムより

写真の中央手前がオーナー社長の福本大祐氏。サッカー選手のイブラヒモビッチのような髪型ですが、実は筆者の小中高の同級生です。食べログに喧嘩を売るのも納得のいかつい風貌ですね!

他にも「有名芸能人お断り」のようなルールがSNSで話題になる店なのですが、今回はその理由を紐解くことで、普段表に出ない側面に注目してみます。

「京松蘭」人気の秘密

その前に、まずは人気の秘密をのぞくべくメニューから見ていきましょう。京松蘭は基本的に3種類のコースからの提供で、霜降り肉と赤身肉のどちらを多めにするか選べます。

一番注文する人が多いのは、真ん中の5,500~6,000円のコース。その日の仕入れによる変更はありますが、ある日の内容は以下のとおり。

  • キャベツ
  • 白菜キムチ、オイキムチ、カクテキの3種盛り
  • もやしナムル
  • 牛すじポン酢
  • ヘレのローストビーフ、にんにくチップとネギのせ
  • 熟成肉ハラミのローストビーフ、塩昆布のせ
  • 佐賀県産雌牛のロース
  • シャトーブリアン
  • 上タン
  • 国産焼き野菜(青森産ニンニク、ズッキーニ、インカのめざめ、水茄子、レンコン)
  • ヘレ
  • サガリ
  • クリ
  • ハラミ刺し
  • オクラとなます
  • 玉子スープ(おかわり自由)
  • ハラミ
  • ヘレガシラ
  • 上ミノ
  • ライス(おかわり自由)
  • ウーロン茶(おかわり自由)

いかがでしょう。全国の同じ価格帯の焼肉コースと比較しても、極めて充実したラインナップに見えるのではないでしょうか。

くいーん’sコースという名前ですが、男性も注文可能。8割の男性はこちらでお腹いっぱいになるほどのボリューム!また一通り提供が終わった後、店員さんから「お店からのサービスでお肉を提供できますが、いかがですか?」と聞かれるのですが、常連さんの間では「ムリなの知っとるやろ…」「わざと聞いてるな」などともはやネタ化しているとか。

ちなみにスタッフさんが肉を運んで来る際に、「これはマルシンというモモの部位、赤身で女性に人気です」などと各部位の特徴を教えてくれます。

グルメサイトKGBにある、

「この値段で、この質のお肉が!!と初めて行った人はみんな驚かれる」

という評価コメントに、この店の魅力を形作る重要な要素の一つが表れていると思います。

「有名芸能人お断り」の裏に隠れているもの

さて本題。以下は「京松蘭・京橋本店」入口ドアの写真です。

juzu_108/Instagramより引用

「有名芸能人お断り」と書かれていますね。これはネット上でも、「どこからが有名芸能人?」「ちょっと意味不明で、ドキドキ」「自分は断られなかった(笑)」などと度々話題になりますが、なにもSNSウケを狙ったものではありません。

福本氏によれば、過去にある有名芸能人が来店した際、周りのお客さんが騒いで食事に集中できなくなる事態が起きてしまったそう。「2時間制」でお願いしているのに、ほとんどの人が時間内に料理を食べ終えることができなかったため、新たに作られたルールだとか。

ではそもそもなぜ「2時間制」なのか。これは福本氏が普段口に出すことはありませんが、他店の倍はかけているという高原価でやっていくための工夫で、ついでに言えば「クレジットカード不可」も同じ理由です(※いまPayPayは使用可能に)。広告宣伝費ゼロなのもそうです。

つまり、時に“厳しい”と言われることもある京松蘭のルールはすべて、「高いお金を払ってうまいのは当たり前」「なるべく低価格にして、一般の人に高級和牛を食べてもらいたい」という心意気を持つ福本氏が、日々工夫と努力を重ねながらたどり着いた結果というワケです。

うまい和牛をより身近に

「うまい和牛をより身近に」する体験のためには、牛肉だけでなく、つけダレに国産のフルーツやニンニク、昆布などをふんだんに使ったり、お代わり自由のたまごスープに4種の骨を40kgも入れて2日間炊き、骨掃除にアクとりの手間も惜しまない京松蘭。

その思いは着実により広く多くの人に届きつつあり、昨年の来客数は、京橋本店と南森町店の2店舗あわせて3万人を超えました。

相手がお客さんであろうと必要以上に媚びない福本氏の性格から、「肉は美味しいけど大将がぶっきらぼう」といったレビューもネット上では見かけます(笑)

でもその強面の裏には、職人の心得を背中で教えてくれた亡き師への思い、ブランド牛に頼らない目利き力、焼肉屋として和牛農家に対して負う責任感など、表に出ないプロの矜持がまだまだ隠されています。

ミスジ、三角バラ、リブ巻き、ウチヒラ、ヒウチなどを楽しめる「庶民でも行ける和牛の店」に興味がある方は、大阪に立ち寄る際にぜひ一度お店に足を運んでみてください(事前予約を忘れずに)。それからフランチャイズ(FC)も絶賛募集中!とのこと。
株式会社京松蘭 電話:06-6881-7555 福本大祐氏インスタグラム

なお、他のお客さんが食事に集中できる環境が確保されれば有名人も入店可能ということで、有名芸能人を自認される方もご安心ください!

高橋 大樹 アゴラ編集部/ライター・翻訳者
1978年生まれ、山口県下関市出身。食品・飼料用の機能性原料を製造する米国企業で勤務する傍ら、慶應義塾大学大学院商学研究科で博士課程を修了(単位取得退学)。現在はWebメディア編集、企業レポートの英訳、海外情報や論文の調査・邦訳などを行う。ツイッター「@takahash_hiroki

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黒毛和牛を安くシンプルに提供する焼肉「京松蘭」のマーケティング担当

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