日本共産党は今や「普通の政党」である

2019年12月30日 20:30

2019参院選共産党公約より

日本共産党が普通の政党であるかどうかについて、アゴラで議論が盛り上がっているが、その答は「普通の政党」をどう定義するかに依存する。それを「合法的な政党」と定義するなら、政党として国会議員を出している共産党は普通の政党である。

1950年代には暴力革命をめざした時期もあり、破防法では今も調査対象団体に指定されているが、これは公安の雇用維持のためだろう。今の共産党綱領には、こう明記されているからだ。

社会主義的変革は、短期間に一挙におこなわれるものではなく、国民の合意のもと、一歩一歩の段階的な前進を必要とする長期の過程である。その出発点となるのは、社会主義・共産主義への前進を支持する国民多数の合意の形成であり、国会の安定した過半数を基礎として、社会主義をめざす権力がつくられることである。

これは議会を通じた「民主主義革命」をめざすものだ。綱領から「プロレタリア独裁」を削除したのは1976年であり、この「社会主義をめざす権力」を暴力革命と解釈することはできない。現実にも今の日本で、暴力革命は不可能である。

自衛隊については綱領で憲法違反との立場をとっているが、これは憲法学者の多数意見と一致する。「自衛隊の解消」は非現実的だという批判はありうるが、それはかつて社会党も主張した政策だ。日米安保条約を破棄するという政策も同様である。

こうみてくると、共産党に対する違和感の最大の原因は、天皇制の否定だろう。これは制度としては君主制だが、戦前に共産党が「天皇制」と命名し、それを否定することは共産党の一貫した方針だった。今も綱領に明記されている。

党は、一人の個人が世襲で「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。

世界的にみると、共和制は普通の制度である。アメリカもドイツもフランスも共和制だ。日本で天皇の権威が強くなったのは明治以降であり、それが今後もながく続くかどうかはわからない。

もちろん私は社会主義や共産主義を支持するものではないが、そういう政策を主張する政党は民主国家では普通である。共和制もタブーにすべきではない。天皇家で男系男子の後継者がいなくなったとき、憲法を改正して共和制にすることも一つの選択肢である。その国政への影響はまったくない。

むしろ野党共闘の実質的な障害になっているのは、共産党の綱領ではなく「民主集中制」の排他的な官僚組織だろうが、これも未来永劫つづくわけではない。

志位和夫委員長は来年で就任から満20年。共産党員も高齢化し、よくも悪くも政策も普通になって、それほど恐れるべき政党ではない。そろそろ人心を一新し、党名も綱領も変えて、本当に普通の政党になってもいいときではないか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長(学術博士)

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