「あゆを見習え」は絶対NG。出産後1ヵ月半で復帰した私の経験より

2020年01月04日 06:01

超スーパースターの浜崎あゆみさんが、お子さんを出産した上に、産後1カ月で再びステージに復帰したとのことで、Twitter上に「うちの嫁も見習え」的な夫さん達が現れ、プチ炎上してますが、浜崎さんがインスタで、

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私には、夢のような魔法をかけてくれる衣装チーム、メイクアップアーティスト、ヘアスタイリストさん達が居て下さり、  全力ですべてから守り通して下さるスタッフさん達が居て下さり、  それこそ24時間態勢でサポートをして下さる病院の先生方、助産師さん達も居て下さいました。  そんな環境だからこそ何とか実現出来たステージであって、女性が産後すぐに動けるという事の証明では決してありません。  肉体的にも精神的にも難しい産褥期を身をもって実感している今、誰よりも側で支えてくれる家族と友人達に感謝の気持ちと共に、日本中の妊婦さん達、お母さん達が休まる時間を十分に持てますようにと心から願っています。

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…と、これでまた世の女性陣が心ない人々から叩かれることから守ろうと、素晴らしいメッセージを出されています。

是非ともですね、あゆの出産、復帰だけでなくこちらのメッセージも同時に取り上げて欲しいですね。

あのですね、産後というのは本当に人それぞれで、「普段健康体だから」とか、そういうことも関係ないんですよね。安産か難産かも運としか言いようがないし、私の周りの友人知人たちをみていても、何が起きてもおかしくない!と思いますね。

そもそも労働基準法第65条で、出産の翌日から8週間は就業することができないって決まってるんですよね。
ただし、産後6週間たったら本人が請求し、医師が認めた場合は就業することができますよ!ってなってるんです。
だから無理しちゃいかんのです、絶対に。

実は、私もこの6週間で職場復帰した口です。
当時、医者にも職場にも、この6週間復帰をする人を初めて経験した!と言われたもんです。

大体ね、普通の人なら産休の後、育給とるのが普通ですけど、当時の我が家はですね、2人でギャンブルで金を使い果たし、借金を返済状態だったにもかかわらず、年子を産み、その上まだ夫のギャンブルの借金が出てきた!っていう最悪の状態で本当に金がなかったんですね。だから働くしかなかったというのが本当のところで、育児も仕事も完璧にこなす人だったからではもちろんありません。

なんせ、夫の社会保険から出産費用は30万円しか出ないってことで、この私、産後1週間入院のところ、医者にゴネまくってですよ、30万円を超えないように4日で退院してきたんです。医者が「わかりました。あなたはアメリカ人だと思うことにしましょう」と言ったことを、今でもまざまざと思い出しますね。(アメリカ人は翌日退院するらしい)

そのころ非正規雇用だったんで、産休中の給料なんてでないんですよ。無給になっちゃう。
で私が働かないと家計がまわらないし、子供が二人になってどうすんだよ~という、まさにいきあたりばったり状態。母が同居し子育てに協力的だったことを良いことに、速攻で、職場復帰したんですね。では、人が普通は休む産褥期に復帰した私に何が起きたか…

あのですね、私の場合とにかく母乳が出まくってたんですよ。
これを無理くり1ヵ月半で止めなくちゃならんのですよ。
でも仕事中、絞ってばっかもいらんないから、胸がパンパンに張るのを極力我慢するわけですね。これが痛いのなんのって、大変でしたけど、なんと乳腺炎で3回も救急送りになり、1回は1日だけですけど入院するはめになりました。熱が39度も出て、えらい目に遭いました。

あれ重症になると切開しなくちゃならないと脅され、無理すんなと何度も看護婦さんに言われました。
「いや身体の無理より、これ以上金の無理が効かないんです~」と、一人心の中で叫んでおりました。

さらにメンタルで傷ついたことは、当時、すっごく人手不足の職場で、私は即戦力だったので復帰は喜ばれましたが、なんせですね産後なのですんごく太ってたんですよ。今でも太ってますが、当時はデブ人生の中でも最高体重を記録していました。

すると職場の男性陣しかもオジサン連中ですよね、からからかわれっぱなしで、同じ頃に出産した女優さんと比較されて、ホント辛かったですね。だってそもそも見られることが職業の人と、OLだったら役割が全然違うじゃないですか~。

当時、私は仕事では精一杯の努力をしていたし、その点では評価もされていたのに、この上、こんなことまで要求されるのか…と、産後の気持ちの不安定さもあったし、子育て、家庭、仕事とパンパンになるくらい精一杯だったので、パーンと風船が破裂しちゃいました。

こんな風に思われて自分を貶められ、しかも非正規雇用の低賃金低待遇でこき使われるなんてやってられん!と、速攻でその職場を去ることを決意して、弁護士事務所に再就職を果たしたんです。最高体重でも無事雇って貰うことができたし、この弁護士事務所の経験がのちにものすごく役立つことになったので、まさに災い転じて福となすでよかったんですけど、今でもあの言葉の数々を想い出すと傷つきますね。

まぁ今から20年近く昔のことで、現在はさすがに職場でこんな露骨な人いないと思いますが、あゆのTwitter騒動をみていると、匿名ならこういうこと言えちゃう人ってまだいるんだなぁと思いますね。

それと、あゆがインスタでメッセージを発したようなことは、私の職場でも起こりましたね。
私は、非正規雇用だったので、速攻復帰するしかなかったんですけど、ちょうどその頃同じ部内に同じく産休に入る人がいたんですよ。私が、出産前日まで働き、6週間復帰したのに比べ、正社員の方は当然産休から育休に入るじゃないですか。
「田中さんがそんなに働くと、私が休みにくいわ~」と言われましたね。
「すみません。貧乏なんで」と言ったら、絶句されてましたけど。
そういう雇用形態による待遇差でもメンタルやられましたね。

まぁ、浜崎さんと比べようもないことですが、そもそも妊娠出産期の過ごし方は人それぞれの考え方や、人には様々な事情もあるんですから、一面だけをとって比べないで下さいね。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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