IR疑惑:わかるようになるかな?

昨年末から、カジノやホテルや劇場、国際会議場や展示会場、 ショッピングモールなどが集まった複合的な施設『IR(Integrated Resort)』に関連した疑惑が報じられています。

正直今の段階では実態がよくわかりません。
ですから、決め付けたようなことをここでも言えるわけではありません。

今回、国会議員が収賄罪に問われています。この収賄罪は金銭をもらった上で職務権限に基づいて便宜を図ったということになるわけですけれども、立件は可能でしょうか。今回の疑惑は中国系企業が日本のカジノ事業への参入を目論んで国会議員に近づいたのではないかといわれています。今回逮捕された秋元司衆議院議員は、金銭授受があったとされる時、IRを所管する内閣府の副大臣でした。他に名前が出ている人たちは北海道や沖縄などIR参入の候補地である地域が選挙区の議員や、IRを推進する議員連盟の幹部でした。

外国企業が参入しようとすれば、どの地域でどの日本企業と組んでいけば良いのかわかりません。その意味で自分たちを推してくれる地域や企業を求めてお金を渡して頼んだというのは一つのストーリーとしては現実味があります。しかし、すでに逮捕されている議員もいますので、話を直接聞くことはできませんので、今後の捜査の推移を見守るしかありません。

私が横浜市の前市長を務めた経験から「横浜のIRはどうなるんですか」「カジノどうなるんですか」って昨年からよく聞かれます。正直これからどうなるのか全く私にもわかりません。

横浜市内にも誘致に賛否両論があります。1月6日に横浜市内で行われたとある新年会に出席しました。その会場には「ハマのドン」といわれる横浜港運協会会長の藤木幸雄さんがスピーチをされていました。藤木さんと言えば、「私は命がけで反対します」と最後まで反対すると言っている方です。この新年会には神奈川県知事も横浜市長も来ていましたので、みんな何を言うのか注目をしていたんです。けれども、藤木さんはカジノとは一言も言わず、「今日はもうマルとかバツとかは言いません」と言った瞬間、会場がドッとわきました。

IR法の成立を受けて、日本全国から三つの場所が選ばれることになっています。これから行政と事業者が一緒になってどんな提案をするか、またその提案を国が審査機関を作って場所を決めることになります。

IR誘致に成功したからといってその地域がバラ色になるわけではありません。もしかしたら過去に行政が主導して作ったアミューズメント施設のように、お化け屋敷のようなどうにもならない薄気味悪い残骸となって放置されるケースだってないわけではありません。

金で動くんじゃなくて本当に後世にきちっとしてほしいですね。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年1月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。