年末年始など:ゴーン被告逃亡、米イラン司令官殺害

石破 茂

石破  茂 です。
新年おめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

昨年末のゴーン被告のレバノンへの逃亡、新春早々のアメリカのイラクにおけるイラン革命防衛隊コッズ部隊ソレイマニ司令官殺害など、何かと我が国の対応を問われる事案が発生した年末年始でした。

編集部撮影

報道はほとんどゴーン批判一色でしたし、一時期「日産の救世主」とも謳われたゴーン被告にも様々な顔があったようです。彼の主張を否定も肯定もする材料を何ら持ち合わせませんが、国外逃亡を易々と許してしまった責任は何処にあるのかを誰も追及しないし、説明もないことはどうも釈然としません。出入国管理関係者が「プライベート・ジェットはどうしても検査が甘くなりがち」などと平然とテレビで語っている映像を見ると、日本のテロ対策は大丈夫かという大きな不安を感じます。この改善は何にもまして急務です。

15年ほど前、地方空港や港湾のCIQ(税関Customs、出入国管理Immigration、検疫Quarantine)体制の充実を図り、インバウンドを加速させるべく、私が会長となって自民党内で「CIQ体制整備推進議員連盟」を発足させたのですが、この問題についても併せて取り組まねばならないと考えております。

何故、品川駅から新大阪駅まで衆人環視の中、新幹線で移動が出来たのか。犯罪捜査の際、防犯カメラに写された映像が放映される機会も多いのですが、今回はこれが一切ないこともとても不思議に思われます。「痛快大逃亡劇」などと興味本位で取り上げるようなものでは決してありません。

アメリカ軍によるイラン革命防衛隊部隊司令官の殺害は、「自衛権の行使」として評価しうるものなのでしょうか。殺害はイラク国内で行われたのであり、主権国家である他国の領域内でその承諾なしに自衛権による武力行使が可能なのでしょうか。

ソレイマニ司令官の死を悼むイランの子ども=イラン国営通信(IRNA)公式サイトから

アメリカはイラン革命防衛隊を「テロ組織」として認定していますが、これは国際紛争の主体たり得るのでしょうか。ポンペオ米国国務長官は「この軍事力行使については、事前に政権内で法的な正当性について徹底的に検討した」と述べていますが、それがいかなるものであるのか、唯一の同盟国である我が国はそれを質すべきですし、報復攻撃を行ったイランもその国際法的正当性を国連安保理の場できちんと述べるべきです。

近年、国連は紛争予防や解決に対する力を急速に失いつつあるように見えますが、国際的なシステムが国連しか存在しない以上、日本としてその機能の回復に向けた努力を最大限に為さなくてはなりません。

中東地域の安定は我が国にとっても死活的に重要であり、北東アジアの安全保障環境の不安定化は、我が国にとって国連を活用する必要性がより一層高まったと認識すべきものです。

創設の提唱国であった米国が加盟しなかったことによって国際連盟はその役割を果たせず、第二次世界大戦を防ぐことが出来ませんでした。国際連合がその轍を踏まないためには、不断の努力が必要です。国連の実態をある程度知ったうえでも、敢えてそのように思っております。

週末は11日土曜日が岩美町新年挨拶交歓会(午前10時・岩美町中央公民館)、藤井一博鳥取県議会議員新年互例会(午前11時・鳥取県湯梨浜町内)、鳥取県東部歯科医師会新年祝賀会(午後5時半・鳥取市内)、中部歯科医師会新年祝賀会(午後6時・倉吉市内)。

12日日曜日は「あいサポートとっとりフォーラム20」で野沢和弘・毎日新聞論説委員と対談(午後1時・米子市文化ホール)。

13日月曜日成人の日はBS日テレ「深層NEWS・政界鉄ちゃん与野党あいのり旅」収録(午後1時・京都市内・放映は1月24・31日午後10時~)という日程です。

また、16日木曜日午後9時からの読売テレビ「秘密のケンミンShow」にも出演しています(収録済み)。お時間が許す方は、どうぞご覧ください。

あっという間に平常モードに戻った1週間でした。
皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2020年1月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。