3連休中、夕方に家族が面会へ行くと介護施設や病院から喜ばれる理由

祖母が認知症の進行で精神科病院へ入院し約1年。私は最低週1回ですが、祖母が入院する病院へ極力夕方に面会へ行きます。

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面会室で待っていると、祖母が「あんた、来てくれたんかいな」と私をみて号泣。看護師が「この人(筆者)誰やった?」と聞くと、祖母が「ひのまちこさん」と自信をもって答えました。

私が「今日はひのまちこさんか、この間はたなかよしこさんやったな」とつっこむと病室に笑いがおきます。

私が週1回面会へ通い続け約1年、今ではすっかり見慣れた光景になりました。

祖母の入院先の夕食が18時からですので、だいたい17時30分位に行き、一緒に夕食を食べます。そうすると、介護士や看護師から「よくご協力いただきましてありがとうございます」と言われる時があります。

そこで、なぜ私が夕方に面会へ行くと喜ばれるか理由を書いていきます。昨日から3連休という方も多いと思いますので、是非参考にしてみてください。

食事介助1食に1時間かかることも…介護現場の壮絶な実態

祖母は主治医、看護師、介護士の皆さんに誠心誠意介護していただいているのですが、認知症が進んでしまいました。

祖母の認知症の症状は、私と母の事を思い出すのは稀ですし、一日中車椅子生活、食べ方や飲み方も完全に忘れました。

また、尿や便はトイレに行かずほぼ1日オムツやパッドの中でするようになりましたし、服を一枚着ることもできません。

これに加えて、日や時間によっては職員の介護を拒否することも…。

ある日のメニューはお粥お茶碗半分、プリン、お豆腐をつぶした食べ物。祖母が比較的好きなお粥とプリンを何口か食べさせると、順調に口に入っていきました。

ところが、祖母が何口か食べたところで口を閉じました。夕食開始早々、祖母がエプロンを口の上にもってきました、「ごちそうさま」の合図です。

私が「ばあちゃん、もうお腹いっぱいなん?」と聞くと、「いっぱい」とピシャリ。

お粥数口とプリン少々とあまり食べていなかったので、私が「ばあちゃん、もうちょっと食べな、はいあーん」と口に入れようとすると大声で激怒したのです。

ちょうど今から1年程前、祖母の在宅介護の限界を感じた1つに、食べ方を忘れてきた失行状態になりました。お箸・フォーク・ナイフの使い方、ペットボトルの飲料を飲まずかんだり…。

老健へ入所後、認知症の進行や老化でますます食事ができなくなり現在、食事全介助が必要です。祖母が精神科病院へ入院し食事を拒んだのは何度かありますが、ここまで激しく抵抗したのは記憶にありません。

認知症の人が食事を拒否する一般的な原因に、食べ物か否かを判断できない失認や飲食物が飲みこみにくくなる嚥下障害、また体調が悪いなどがあげられます。

読者さんの間で「昼食を食べさせるか、食べさせるのは介護士さんや看護師さんプロに任せたらいいじゃない」と思う人がいるでしょう。

私がなぜ夕食前に面会へ行くかといえば、施設や病院(祖母の場合病院)でお世話になっている以上、家族がせめて夕食介助ぐらいサポートをするのが当然と思っているからです。

介護施設や夕方ごろになると職員の数が大幅に減り、職員3人に利用者50人程度でみている施設がザラにあります。

前述した通り、祖母のような重度の認知症患者に食事を提供するのはとても手間や時間がかかることが多く、1食に1時間程かかるケースも稀ではありません。

認知症の人は夕方以降急に泣いたり、大声を出したり、暴れたり、帰宅願望が強くなり不穏や情緒不安定になりやすい傾向があります。

介護士と介護経営者に「夕食だけ食事拒否をする理由」を取材すると

祖母のように“夕食だけ食事を拒否する傾向がある人”を知る現場の介護士や介護経営者に話を伺いました。

ある介護士によると「薬で満腹感があるのかもしれませんよ。病院は朝、昼、夜の食間が短く、昼と夜の間におやつタイムがある施設が多く、圧迫感があるのではないでしょうか。夕食から12時間以上空くので朝お腹が空く場合が多いです」とのこと。

なるほどと思いました。

祖母は在宅介護の時、食後に抑拡散など漢方ではなく錠剤を服用していたのと夕食の時間は19時~19時30分位、現在の精神科病院の夕食時間が18時前で在宅より1時間早いのです。

私が在宅介護していた時、祖母に日中、夜間問わず食欲が旺盛で夜中から早朝にかけて冷蔵庫の開け閉めを繰り返し、パンや果物を食べさせていました。

3連休は新年会などプライベートの日程を組まれている方々もいらっしゃると思いますが、是非夕方に面会へ行くのも検討して下さい。

介護施設・病院と利用者家族、お互いが協力する「共助」の意識が少しでも世の中に広がりますように!!!

(YouTubeでこの記事やこの記事に関する動画を公開中。)

奥村 シンゴ フリーライター
大学卒業後、大手上場一部企業で営業や顧客対応などの業務を経験し、32歳から家族の介護で離職。在宅介護と並行してフリーライターとして活動し、テレビ、介護、メディアのテーマを中心に各種ネットメディアに寄稿。テレビ・ネット番組や企業のリサーチ、マーケティングなども担当している。ほんまやで~新聞