「ゲームとスマホは1日1時間」香川県でトンデモ条例案が進行中…

2020年01月12日 11:30

こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

昨日は年始一発目の「維新塾 in Tokyo」。昨年9月の党研修会で感銘を受けた井上武史先生をお招きして、「憲法」についての講義を受講しました。

参考過去記事:
憲法9条、どう変える?3つの案「9条2項削除」「自衛隊明記(加憲)」「実力組織明記」

今回の講義では時間の都合中、9条の具体的問題点に入れなかったので、塾生の皆さまはこちらのブログ記事なども参考にしてみて下さい。

世界的にみてもミニマル(文量・内容ともに極端に少ない)日本国憲法は、権力を抑止する立憲主義的な立場からこそ「改憲」を主張するべきなのに、なぜか左派政党がそこから背を向け続けている現状は改めて異常だなと感じました。

さて、そして講義打ち上げの席でも井上武史先生や松本ときひろ区議(弁護士)と話題になったのが、香川県で制定されようとしている通称「ゲーム・スマホ利用制限条例」です。

県条例素案にゲーム利用時間制限(NHKニュース)

すでにネット上は多くの有識者からこの異常性が指摘されています。

本来であれば地方自治に関わることなので、国会議員があれこれと介入すべきではないのかもしれませんが、その影響力・波及力に鑑みて私も反対・懸念論を述べさせていただきたいと思います。

みっく―/写真AC:編集部

「ゲームが有害」という大前提の根拠が希薄

そもそもこの条例案は、「ゲームは子供に悪影響である」という根強い偏見からスタートしているように見受けられます。

しかしながら、これはすでに繰り返し指摘されているように、ゲームが子供に悪影響であるという科学的根拠やエビデンスはほとんど明らかになっておりません

それどころか逆に、ハーバード大学のクトナー教授らはその研究の中で、ゲームは必ずしも有害ではないことを明らかにし、創造性や忍耐力を培うのに良い影響があるとさえ主張されているそうです。

ゲームは子どもに悪い影響を与えるのですか?(中室牧子)

上記の記事中にもあるように、「ゲーム悪玉論」は典型的な因果関係と相関関係の取り違えです。

「凶悪犯罪者の部屋から、ゲームやアニメが発見された!」と聞くと、「ええ、それはやばい!」と感じてしまう人が多いのですが、これって「凶悪犯罪者の台所から、お米が発見された!」というのとまったく同じことなんですよね。

スマホ利用に「制限時間」を設ける異常

そして私が具体的に一番ヤバいと感じたのが、スマホの時間制限です。テキストデータがないので、コンテンツ文化研究会さまのサイトに上がっていた資料から文字起こしします(太字は筆者)。

(子どものスマートフォン使用等の制限)
第18条
保護者は、子どもにスマートフォン等を使用させるにあたっては、子どもの年齢、各家庭の事情を考慮の上、その使用に伴う危険性及び過度の使用による弊害等について、子どもと話し合い、使用に関するルールづくり及びその見直しを行うものとする。
2
保護者は、前項においては、子どもが睡眠時間を確保し、規則正しい生活習慣を身に付けられるよう、子どものネット・ゲーム依存症につながるようなスマートフォン等の使用に当たっては、1日当たりの使用時間が60分まで(学校等の休業日に当たっては、90分まで)の時間を上限とするとともに、義務教育修了前の子どもについては午後9時までに、それ以外の子どもについては午後10時までに使用をやめるルールを遵守させるものとする

一読しただけで「余計なお世話」のオンパレードなんですが、特に「1日60分、休みの日は90分」「義務教育修了前は午後9時まで、それ以外の子どもは午後10時までを遵守させる」とまで言い切ってます。

この時間設定には何ら科学的根拠がなく、「ゲームは1日1時間!」という標語からなんとなく引っ張ってきたとしか思えません。

そもそもスマホはネット・ゲーム機ではなく、もはや「コンピューター」です。

スマホでプログラミングまで学べる時代に、その利用に制限をかけることがいかに愚かであるか、少し考えればわかりそうなものなのですが…。

親の教育権(憲法)の侵害可能性まである

そしてより大きくは、これ親の教育権まで踏み込んでますよね?という部分。

一般に憲法以前にも自然権として親の教育権(教育の自由)が存在すると考えられていますが、完全にそこに口を出す内容になっています。

「とはいえ罰則・強制力がない、いわゆる『理念法』だから良いのでは?」

という意見もあるかもしれませんが、そこが実はさらに根深い問題で。

罰則・強制力のある法律・条例であれば「憲法違反だ、人権侵害だ!」と訴えることができても、そうでないものについては泣き寝入りするしかないわけですね。実害が生じないので。

しかしながら、法に訴える個人レベルの実害はないとしても、こうした条例が成立することで社会や世論には少なからず「空気」が醸成されるので、その実態的な影響力は少なくないと思われます。

このように、(日本の議員立法にありがちな)罰則や強制力を伴わない理念法・規範法が濫立することは、実は立憲主義の観点から望ましいことではなく、諸外国では明確に禁止されている国もあるそうです。

等など、まだまだ例を上げればキリがありませんが、とにかく問題点や懸念点が多い条例案であることは間違いありません。

表現の自由の旗手である山田太郎参議院議員も、香川入りするなどして対応に動く模様です。

今後は県民向けにパブリックコメントの募集なども行われるようですので、ぜひとも香川県民の皆さまはパブコメを提出し、また身近な県議会議員に懸念点を伝えてみてはいかがでしょうか。

私も本件についてはしっかりと注視し、続報があればまたお伝えしていきます。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2020年1月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

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音喜多 駿
参議院議員(東京選挙区、日本維新の会)、地域政党あたらしい党代表

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