新型コロナウィルスと対中政策:安全保障、人権問題も忘れずに

新型コロナウィルスに関連した肺炎については、最も深刻な武漢市周辺をはじめ中国全土が共産党の一党独裁国家であることから、情報の開示等に疑問があることもあり、全容が未だにはっきりしていない状況にあります。

新華社サイトより:編集部

そのような中、私もこの一週間、外務副大臣として、特に在留邦人の方々に関して、希望される方全員を可能な限り早く帰国できるような環境整備をすすめること、国内において感染が広がらないように可能な限りの対策を講じることを中心に様々な対応にあたってきました。

しかし、今週チャーター機で帰国された日本人の方々の中でも一定数の感染があったことからも、今発表されているよりも中国国内の事態はかなり深刻である可能性も指摘されています。政府の一員として、これまでも様々な形で対策がより効果的となるよう働きかけをしてまいりましたが、日本国内で感染がこれ以上広がらないよう引き続き関係各処と連携しながら万全を尽くしてまいります。

また中国に対して情報を隠蔽せず、きちんと正確な現状を開示・共有することを要求すると同時に、WHOやICAOなどの国際機関が中国の影響により台湾を排除し続けている状況が改善されていないのであれば、我が国の水際対策や今回の新型コロナウィルスへの国際的な対応にも実質的な大きな障害となりますので、その是正もアメリカ等とも連携しながら求めていく必要があります。

同時に、今中国に関しては、この新型コロナウィルス関連の報道一色となっていますが、我々はこの事態が露呈する以前の中国に関する状況が全く変わっていないことも忘れてはなりません。

連日のように尖閣に侵入し、東シナ海、南シナ海、台湾海峡において挑発的な軍事行動を繰り返し、また香港や新疆において人権状況が大いに懸念される弾圧を繰り返している、こうした中国共産党の問題が解決した訳では全くないことを、我々は認識しておく必要があります。

国際社会からの注目が新型コロナウィルスだけに向かい、安全保障的、人権的な懸念に向かわないようなことになれば、それは中国共産党の思うつぼ、ということになりかねません。

我が国、国民の安全に責任を持つ政府与党の一員として、目の前の問題に全力を尽くすのは当然ですが、それと同時に、目の前の大きな事象にだけ注目して真実を見失う訳にはいきません。全力で責任を果たしてまいりたいと思います。


編集部より:この記事は、外務副大臣、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2020年2月2日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家  鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。