新型肺炎は「ラボ・イベント」から

米紙ワシントン・タイムズのビル・ガーツ記者が中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの発生源が同市から30キロ離れたところにある「中国科学院・武漢病毒研究所」の可能性があると報じて以来、世界のウイルス専門家が新型コロナウイルスを検証してきたが、海外中国メディア「大紀元」は13日、欧州に住む中国人ウイルス専門家、董宇紅氏の見解を紹介し、新型コロナウイルスがこれまでのコロナウイルスとは違うゲノム配列をし、自然界にない人工的痕跡があること、その感染力が非常に強いことなどから、「ラボ・イベント」(人為的にウイルスを改造する実験室)で人工的に作り出された可能性があると報じている。

新型肺炎の対応に取り組む現場を視察する習近平国家主席(2020年2月10日、中国国営新華社通信の公式サイトから)

ウイルスの感染には、①飛沫感染、②接触感染、③無接触感染(エアロゾル感染)があるが、今、最も警戒されている感染は③だ。中国武漢を訪問したことがなく、ウイルス感染者との接触がまったくない人が新型コロナウイルスに感染するケースだ。日本国内で初めて新型コロナウイルスに感染して死去した神奈川県の80歳の女性のケースはこれまでの情報では③に該当する可能性が高い。

新型コロナウイルスはこれまでのコロナウイルスと類似しているが、ゲノムの配列の類似性はあまり高くない、董宇紅氏の説明によると、「新型コロナウイルスは、2種類のコウモリ由来のコロナウイルスと非常に似ているが、そのゲノム配列の類似性は高くない。そこで新型コロナウイルスのたんぱく質を調査しなけれならなくなる。感染するということは、受容体の人の細胞がウイルスの表面のたんぱく質と結合し、食作用が生じ、細胞が細胞外の物質を取り入れることで、ウイルスが宿主の細胞の中に侵入できる。そのウイルスに感染した人は発病する」というわけだ。

董宇紅氏は、「中国の北京大学医学部を卒業、伝染病学博士を取得したのち、北京大学附属第一医院で勤務していた。現在、スイスのバイオテクノロジー会社、SunRegen Healthcare AG で首席科学官を務めている」(大紀元)、ウイルス研究の最先端を行く女性だ。

同氏は新型コロナウイルスが自然発生した可能性は低い、とみている。なぜならば、新型コロナウイルスには自然界にはない人工的痕跡があるからだというのだ。

新型コロナウイルスと通常のコロナウイルスのゲノム配列が異なっている。遺伝子組み換えで自然界にない新型コロナウイルスが生まれてきたというわけだ。そのため、新型コロナウイルスへのワクチンや治療薬を製造するのが難しくなり、その異常に強い感染力から「世界的大流行」(パンデミック)となる危険性が出てくるわけだ。

大紀元」から同氏の発言をまとめる(日本語版の原文を読んで頂ければ、董宇紅氏の説明の全容が理解できる)。

「ウイルスと言うのは寄生体で、宿主の細胞に寄生してはじめて生きる。新型コロナウイルスの場合、どのようにして宿主の細胞に入ったのか。これは、受容体と呼ばれるヒトの細胞のタンパク質がこのウイルスの表面にあるタンパク質と結合しなければならない。

新型コロナウイルスの表面にあるタンパク質が『鍵』であるなら、ヒトの細胞の表面にある受容体は『錠』だ。受容体がウイルスのタンパク質と結合した後、受容体を持つ細胞には食作用(phagocytosis)が起きる。つまり、細胞が細胞外にある物質を取り込むエンドサイトーシス(endocytosis)が発生する。これによって、ウイルスは宿主の細胞に侵入するのに成功する。

ここから、ウイルスは宿主の細胞の構造とタンパク質や酵素を利用して、自身の生命活動と増殖を始める。細胞内に入り込んだ後、増殖するウイルスの特長から、抗ウイルス剤による薬物治療が難しく、ワクチンの開発も困難だ」

「コロナウイルスには共通点がある。特有のスパイク・タンパク質(Spike Protein)を持っていることだ。このスパイク・タンパク質は、宿主に感染する際に親和性を大きく発揮しているだけではなく、毒性も発揮する。

このスパイク・タンパク質のゲノム断片は、新型コロナウイルスの他のタンパク質、つまり、スパイク・タンパク質ではないタンパク質のゲノム断片と大きく異なり、それぞれのゲノム配列も違っている。新型コロナウイルスのスパイク・タンパク質と同種類のコロナウイルスのスパイク・タンパク質の類似性は70%しかない。この差は歴然だ」

「なぜこのように大きく異なっているのか。専門家は、新型コロナウイルスのスパイク・タンパク質の中間配列について困惑している。この中間配列の源を見つけることができないからだ。

新型コロナウイルスのスパイク・タンパク質にある4つの重要なアミノ酸残基が人為的に換えられたと指摘する論文がある。4つのアミノ酸残基が換えられたにもかかわらず、スパイク・タンパク質と受容体の結合性に変化がないのだ」

「遺伝子の突然変異について、特にウイルスの遺伝子突然変異は一般的に、自然突然変異と言う。これは無作為で、いかなる機能性や目的性を持たないので、遺伝的浮動(genetic drift)と言い、ウイルスの自然的な再集合ともいえる。しかし、新型コロナウイルスについて、われわれはこのウイルスが、受容体タンパク質の働きを保ちながら、正確に『異変』していることに驚いている。

このウイルスはなぜ、その働きを保ちながら、正確に異変したか。自然界では、このような現象はない。新型コロナウイルスが人為的に合成されたものだという仮説が出てくる」

問題は、誰がウイルスの遺伝子を操作し、自然界では存在しない感染力と致死力を有する新型コロナウイルスを生み出したかだ。1人の専門家が単独で行ったというより、やはり上からの関与がなければできない実験だろう。新型肺炎の場合、やはり武漢病毒研究所、それを管理する中国解放人民軍、そして中国共産党政権ということになる。

武漢で新型肺炎が発生した直後、中国共産党政権が重症急性呼吸器症候群(SARS)の時でも実行しなかった、大規模な隔離政策をトップダウンで実施したのは、その新型コロナウイルスが通常のウイルスではなく、感染力のあるウイルスであることを熟知していたからではないか、という当然の疑惑が出てくるわけだ。その疑惑に対し、中国共産党政権は明確に答える責任がある。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2020年2月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。