共産党の「敵の出方論」は暴力革命である

2020年02月16日 06:00

安倍首相の共産党「暴力革命」国会答弁

安倍首相は2月13日の衆議院本会議で、日本維新の会の足立康史衆議院議員から共産党を破壊活動防止法の調査対象に指定している理由を問われ、過去に「暴力主義的破壊活動を行った疑いがある」と指摘し、「現在も敵の出方論に立った暴力革命の方針に変更はないものと認識している」と述べた。

衆議院インターネット中継より

共産党の志位委員長はこれに対し、同日の記者会見で、「党が分裂した時期に一方の側がとった誤った行動があったが、党の方針として破壊活動を実行したことはない」と強く抗議し撤回を求めた。しかし、志位氏は「敵の出方論」そのものは否定しなかった。

「敵の出方論」とは何か

「敵の出方論」とは、共産党のいう「敵」即ち反動勢力や反革命分子が社会主義革命に対して反抗や反革命を行った場合は、非平和的手段即ち「暴力」で打倒する革命戦略のことである。即ち、時と場合によっては「暴力」を行使して、「敵」を殲滅するということである。

2月13日の本会議後の記者会見で、安倍首相の答弁に反論する志位委員長(日本共産党YouTubeより)

具体的には、共産党を先頭とする統一戦線勢力が政権を獲得し民主連合政府を樹立する場合に、アメリカ帝国主義と日本独占資本という「二つの敵」即ち国家の暴力装置(警察・自衛隊)や在日米軍などが軍事的弾圧をすれば、非平和的手段であるテロなどの武装闘争により打倒するというものである。

共産党の確立した革命戦略「敵の出方論」

1964年5月21日の第八回党大会の「政治報告」では「革命が平和的か暴力的かは敵の出方による。現在の国家権力がたやすく権力を人民に譲渡するとは考えられない」(不破哲三著「人民的議会主義」243頁)としている。

宮本顕治・元共産党議長(Wikipedia)

また、宮本顕治元共産党議長は「革命への移行が平和的となるか非平和的となるかは結局敵の出方によることはマルクス・レーニン主義の重要な原則である」(宮本顕治著「日本革命の展望」315頁)と断言し、不破哲三前共産党議長も「わが党は革命への移行が最後的には敵の出方にかかるという立場をとっている」(不破哲三著「前掲書」244頁)と明確に述べている。現共産党幹部会委員兼同党社会科学研究所所長の不破氏は現在もこの立場を堅持している。

そのうえ、共産党の一部改定した現綱領においても、「民主連合政府の樹立は独占資本と対米従属を代表する支配勢力の妨害や抵抗を打ち破る戦いを通じて達成される」(綱領四=14)と規定しており、「敵の出方論」と称する「暴力革命」を綱領上も明記していると解される。なぜなら、「支配勢力の妨害や抵抗」を当然の前提とし、これを「打ち破る戦い」が必要であると宣言しているからである。

このように、共産党は上記「政治報告」や上記「綱領」の通り、社会主義革命においては、「敵」の反抗や反革命、即ち「支配勢力の妨害や抵抗」があることを当然の前提としており、社会主義・共産主義革命を実現するためには、「敵の出方論」と称する「暴力」の行使を排除せず、結局「暴力革命」を放棄していないことは明らかである。したがって、「敵の出方論」は共産党の確立した革命戦略であると言える。

なお、共産党は「暴力革命」を強く否定するが、1955年の「六全協」では、1951年~1952年の極左冒険主義に基づく武装闘争路線(中核自衛隊・山村工作隊など)を否定しただけであり、暴力革命一般は否定していない(共産党中央委員会著「日本共産党の70年上巻」243頁以下)。暴力革命一般の否定は、以下に述べる通り、共産党が党規約2条で党の理論的基礎とする「科学的社会主義」(「マルクス・レーニン主義」)と明らかに矛盾するからである。

「敵の出方論」はマルクス・レーニン主義の重要原則

前記宮本元議長も述べる通り、「敵の出方論」はマルクス・レーニン主義(「科学的社会主義」)の重要な原則である。マルクス・レーニン主義とは共産主義革命の理論と実践であり、具体的には暴力革命とプロレタリアート独裁の理論と実践のことである。マルクスもレーニンも、社会主義・共産主義革命には「暴力革命」が不可避であることを明確に述べている(マルクス・エンゲルス著「共産党宣言」平凡社世界教養全集15巻128頁、レーニン著「国家と革命」レーニン全集25巻432頁)。

レーニンや毛沢東も「敵の出方」に応じて暴力を行使し社会主義革命を実現した。レーニンの場合は、ケレンスキー臨時政府に対するボリシェビキの暴力による政権奪取(「全権力をソビエトへ」)であり、毛沢東の場合は、蒋介石国民党軍に対する八路軍の遊撃戦による政権奪取である。社会主義革命実現後も「敵の出方」に応じて暴力を行使し反革命を弾圧した。レーニンによる「クロンシュタット反乱」弾圧、毛沢東による「文化大革命」、鄧小平による「天安門事件」などがそれである。

このように見ると、「敵の出方論」は「暴力革命」そのものであることが明らかである。したがって、公安調査庁が3年3か月の旧民主党政権時代を含め、今も共産党を破壊活動防止法の調査対象に指定しているのもこのためである。

共産党の「敵の出方論」は暴力革命である

以上に詳述した通り、共産党の革命戦略である「敵の出方論」は、結局は暴力革命であることが明らかである。日本の政党の中で今も「敵の出方論」を主張し堅持する政党は共産党以外にはない。共産党が擁護すると主張する日本国憲法のどこにも「敵の出方論」と称する「暴力革命」を容認した条項は存在しない。したがって、「敵の出方論」は憲法体制に反すると言わなければならない。

ところで、今回の安部首相国会答弁に対して、当の共産党のみならず、旧民主党政権下で共産党を破防法調査対象にしていた立憲民主党までもが撤回するよう自民党に申し入れたという(2月15日付け産経新聞朝刊)。正に呆れるほかない。

立憲は、共産党の革命戦略である「敵の出方論」を党として正式に容認する方針なのかを早急に明らかにすべきである。いかに選挙で共産党の協力(票)が欲しいからとはいえ、共産党に迎合し、旧社会党以上に「容共政党」に豹変し転落したと言わざるを得ない。今や立憲は共産党と一蓮托生になったと国民から見做されるであろう。

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加藤 成一
元弁護士(弁護士資格保有者)

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