副大統領最有力とされるカマラ・ハリスという女性

2020年06月27日 18:00

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民主党大統領候補にほぼ確定しているバイデン前副大統領は、すでに副大統領には女性を選ぶとしていて、現在、選考委員会でインタビューや身辺調査が行われている。

ここしばらく、副大統領候補の選択は大統領選挙の帰趨に大きな影響を与えているが、特に、今回、注目度が高いのは、バイデン氏が就任時に78歳であり、任期を全うできない可能性も統計的にはそれなりに高く(20%前後か)、2024年に再選をめざして立候補しない可能性はさらに高いからである。

いずれにせよ、11月の選挙で副大統領として当選すれば、大統領に昇格する可能性と、2024年に大統領候補となる可能性を併せたら50%くらいには達するはずなのである。

バイデン氏は副大統領候補を8月1日までに決めるとも言われているが、ここへ来て、日米のマスコミには、かなり突っ込んだ予想をする人が増えている。

私も8月に刊行予定の扶桑社新書のためにいろいろ分析もしたので、その一端を披露しておきたい。

 グレン・フクシマ氏は、以下の11人が主要な副大統領候補としている。

ステイシー・エイブラムス 元ジョージア州議会議員(46)
タミー・ボールドウィン ウィスコンシン州選出上院議員 (58)
ケイシャ・ランス・ボトムズ アトランタ市長(50)
バル・デミングズ フロリダ州選出下院議員(63)
タミー・ダックワーズ イリノイ州選出上院議員(52)
ミシェル・ルーハン・グリシャム ニューメキシコ州知事(60)
カマラ・ハリス カリフォルニア州選出上院議員(55)
ジーナ・ライモンド ロードアイランド州知事(49)
スーザン・ライス 元国家安全保障会議議長・大統領補佐官(55)
エリザベス・ウォーレン マサチューセッツ州選出上院議員(71)
グレッチェン・ホイットマー ミシガン州知事(48)

エイブラムス、ボトムズ、デミングズ、ハリス、およびライスはアフリカ系アメリカ人(ハリスは少し複雑)、ダックワーズ(イラク戦争に従軍、搭乗していたヘリコプターが撃墜されたことで両足を失った退役軍人)はアメリカ軍人とタイ在住の華僑の女性とのハーフ、グリシャムはニュー・メキシコがスペイン領だった時代から12世代在住していスペイン系である。

ニュージャージー州のモンマス大学が実施した世論調査によると、民主党支持者の54%が副大統領候補には黒人女性がふさわしいと回答し、カマラ・ハリスは28%、エリザベス・ウォーレン13%、クロブシャー12%、エイブラムス10%、デミングズ7%だった。

カマラ・ハリス上院議員(本人公式サイトより)

というわけで、最有力候補はカマラ・ハリスだとみられている。カマラ・ハリスの父はジャマイカ出身、スタンフォード大学の経済学教授でアフリカ系と欧州系の中間的な風貌である。母親はチェンナイ出身のインド人医学者でカーマラという名もサンスクリット語で「蓮の女性」を意味する。両親が離婚後に母親と暮らしたのでインド系としての意識が強そうだ。

母親の仕事でモントリオールで育ったあと、黒人大学であるハワード大学を卒業。カリフォルニア大学ヘイスティングス・ロー・スクールで法務博士号を取得。2003年にサンフランシスコの地方検事、2010年にカリフォルニア州の州司法長官に選出され、2016年に上院議員になった。

知的に高い両親に育てられたこともあり、しばしば、女性のオバマといわれ、人間関係をつくるのにも良好で、とくに、地元ではナンシー・ペロシ下院議長やブラウン州知事からも支援され、大統領候補としても有力で、候補予定者討論会にも参加した。

ただ、検察官時代に犯罪者に厳しかったというのでリベラル層の支持が上がらなかったのと、資金調達が不発に終わり、1月3日には撤退した。

経歴やスター性は申し分ないし、人種的にも多様なルーツをもっているので、白人からの拒否感も小さく、すぐにでも大統領が勤まる安心感もあるのだが、バイデン氏がスクールバス制度(居住地域に関係なくスクールバスでさまざまな地域の学校に子供たちを通学させること)に反対していたことを、昨年7月5日の民主党予備選挙の討論会で攻撃したことを、バイデン本人も夫人も忘れてないともいわれる。

アフリカ系の女性政治家と言うことでは、フロリダ州選出のバル・デミングズ下院議員、アトランタのケイシャ・ランス・ボトムズ市長、ジョージア州の元州議会議員で一般教書演説への反対演説を行ったステイシー・エイブラムスらも有望だとされている。

左からデミングズ、ボトムズ、エイブラムス各氏(いずれも本人ツイッターより)

しかし、彼女たちは、選挙向きであっても、少なくとも大統領になるに相応しい経歴とはいえず、副大統領候補同士の討論会でペンス副大統領に太刀打ちできるとは思えない。

スーザン・ライス は、実力からすれば申し分ないが、ベンガジ総領事館攻撃事件での不手際という過去があり、その点について集中砲火をあびる可能性がある。

有色人種にこだわらねば、上院議員三期目のクロブシャーが内政・外交ともにもっとも安心できる副大統領候補なのだが、地元ミネソタ州での事件のあとだけに、怖じ気づいて有色人種を候補にすべきだとバイデンに辞退を申し出たようだ。ただし、この辞退宣言を禊ぎにして、事態が紛糾したときに再浮上を狙っているのかもしれない。

ホイットマー州知事のミシガン州とか、ボールドウィン上院議員のウィスコンシン州というのは、選挙戦での鍵となる州のひとつというのは有利な条件だ。ウォーレン上院議員は、彼女のラディカルな主張が足を引っ張るだろう。

いずれにせよ、現在、副大統領候補は、バイデン夫妻の意向と選考委員会の意見で決まるわけだが、選考委員会の実質的なキーパーソンは、バイデン地元デラウェア州選出の下院議員である黒人女性のリサ・ブラント・ロチェスターであるとされている。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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