デジタルデバイドはアナログ対応で~デジタル活用支援員

2020年07月04日 11:30


「デジタル民生委員」。僕が、マイナンバー担当内閣府大臣補佐官時代に、デジタルデバイドをどうするか、という議論をしていた時に閃きのように出てきた言葉でした。どんなにわかりやすい説明書を用意しても理解できない人もいる。一方で、身近な人にリアルで説明されれば理解する人もいる。

デジタルデバイドがあるから、デジタルにしない、アナログ部分を残すべきだ。こんな議論もあったが、デジタルは振り切らないと意味をなさない。なら振り切ってた上で、サポートする人を身近に、地域につくればよいと・・・。マイナンバー制度がスタートした時は、予算をつけて、自治体でサポートする人を雇って区役所等で対応していました。

スタート時点での一般的な推進措置はとったのです。でも、これでは根本的な解決にはなりません。説明してもらう為だけでは役所には行き辛いし、役所の側の立場で説明されても・・・。

一方、福祉の世界を見みれば、自治体窓口には、サポートする職員もいるし、近所にはケアプラザなど自治体から委託を受けた福祉相談窓口もある。それだけではなく、もっと身近に「民生委員」と言われる人たちが地域にいる。自治会や地域から推薦され、市区町村を通じて都道府県が候補者を選び、厚労省が委嘱する、特別職地方公務員の事です。と言っても、民生委員は地域にいて、地域の人の立場に立つ社会福祉の専門家で、報酬は無く、地元の人がボランティアで担っています。

高齢者の福祉施設1つとっても、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービスセンター、ショートステイセンター等、たくさんあってその違いを説明できる人は、専門家以外にいません。つまり高齢福祉デバイドが存在するということです。

なら、高齢者の状況に寄り添った細かなサービスを提供しなくてもよいのか・・・、そうはなりません。施策を推進する為に、サポートを幾重にも作り上げ、役所での対応だけでなく、身近に聞ける人、サポートする人を地域においておく、正にそれが「民生委員」なのです。高齢化社会を支えるために、高齢者になっても幸せに暮らしていけるために・・・。

なら、デジタル社会を支えるために、人口減少になっても、緊急事態でも、幸せに暮らしていけるために「デジタル民生委員」は、必要不可欠なのです。役割は民生委員のデジタル施策版、地域にいる、地域の人の立場に立つデジタルの専門家で、特別職地方公務員にすべきです。選ばれ方も民生委員と同様のプロセスで、最後は総務大臣の委嘱にしたらよいと思います。地域にはベンダーを定年退職された方、システムを担当していた公務員OB、情報工学を学んでいる学生・教えている先生、デジタルネイティブの高校生、活躍してくれそうな予備軍はたくさんいるはずです。

厚労省から「民生委員」という言葉は、福祉の専門家として使っている。「デジタル民生委員」という言い方をされると混乱が生じるから止めて欲しいという話もあった様です。「デジタル民生委員」という響き、地域に馴染んでいる「民生委員」という言葉なので良いと思うのですが、混乱をきたすと言われれば、こだわる必要もないと思っています。そこで今言われているのが「デジタル活用支援員」というものです。

世界最先端のIT国家、デジタル社会を本気で目指すなら「デジタル活用支援員」は、「民生委員」のように法律(民生委員法)に基づく位置づけにすべきです。充実した高齢者社会を本気でつくるから「民生委員」を法律で位置づけたようにです。つまり、政府の本気度を明確に国民に示すことが大切なのです。

マインバーカードの申請がわからない、コンビニでの住民票の発給がわからない、マイナポータルのログインの仕方がわからない、福祉サービスのオンライン申請がわからない等、息子や娘、孫に聞ける人は聞いて下さい。身内に聞ける人がいない場合は、地域にいるデジタル支援委員に聞いて下さい。デジタルデバイドは、人と人とのコミュニケーションそして、アナログで対応するのが基本であって良いと思うのです。

デジタル社会は、国民を不幸にする為の施策ではありません。徹底したデジタル化によって、本当に必要なアナログが見えてきます。置き換えられないものそれはお金をかけても大切にしなくてはいけないものなのです。本来、アナログで大切にしなくてはならない分野に予算がつかず担当者が疲弊している、こんな現実を見て見ぬ振りをするわけにはいきません。

「デジタル活用支援員」これは、僕が担当していた時代に解決できなかった課題です。今の担当者が、必ずや実現してくれることを願っています。デジタルデバイドは、身近な人がアナログで解決すべきです。

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福田 峰之
多摩大学客員教授、前内閣府副大臣、前衆議院議員

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