集団イジメと妄想共有の場、「野党合同ヒアリング」は廃止すべきだ

2020年08月04日 20:00

昨年国会で私への誹謗中傷等を繰り返した森ゆうこ・参議院議員(国民民主党)との訴訟審理が7月31日からスタートした。

森ゆうこ議員との訴訟審理開始:答弁書で驚きの新事実、毎日新聞は検証を

誹謗中傷を行った国会議員は森議員だけではない。その一人が篠原孝・衆議院議員(国民民主党)だ。

篠原孝議員の無理筋の言い逃れ

篠原議員は昨年7月、ブログで「国家戦略特区は安倍政権による新たな『利権』を生むだけ-『政僚』原英史の跋扈を許す制度は廃止すべし-」(2019年7月17日)と題する記事を公開した。

内容は、

1)私が特区提案者の学校法人と真珠販売会社から金銭的利益を得た(注)

2)学校法人関係者から会食接待を受けた、

と事実無根のことを並べたうえ、

  • 「悪辣なことばかりし、自分の懐を肥やしている」、
  • 「コンサルタント料を稼ぐ昔の利権政治家まがいの利権学者、利権有識者の跋扈」
  • 「利権コンビによるいかがわしい政策づくり」

などと激烈なフレーズで私を誹謗中傷するものだった。

(注)ブログの文面上、金銭を受け取ったのは別のコンサルティング会社との記載もあるが、「懐を肥やしている」「コンサルタント料を稼ぐ」などの記載から、少なくとも間接的に私が金銭的利益を得たとしか読めない。

基本的にこれは、昨年6月の毎日新聞の誤報を下敷きにしたものだ。だが、毎日新聞記事では「学校法人から金銭を受け取った」とは書かれていたが、「真珠販売会社から金銭を受け取った」の記載はない(一連の記事で、読者にそう推測させようとしていたことはみてとれるものの)。この点は篠原議員のオリジナルで、いわば“新事実”も加えた誹謗中傷だった。

篠原孝氏ブログより

篠原議員には昨年夏に訴訟を提起した。毎日新聞も森ゆうこ議員も同じだが、あんなに激しく誹謗中傷していたのに、訴訟を起こすと、途端に「そんなことは言っていない」と主張し始める。

篠原議員も、これまでの答弁書で、私が金銭を受け取ったとは書いていない、「『懐を肥やしている』というのは、原告がお金をもらっているという意味ではない」などと主張してきた。さすがに無理筋の言い逃れだ。

裁判所から8月3日、あくまで「現段階で」の考えと留保しつつ、ブログ記事は以下のように読めるとの判断が示された。

  • 「規制緩和を希望していた美容系学校法人及び真珠販売会社が、原告と協力関係にあるコンサルティング会社にコンサルティング料を支払い、これにより原告が同コンサルティング会社を通じて金銭的利益を得た」(要するに、学校法人と真珠販売会社から、私が間接的に金銭的利益を得た)
  • 「原告が、規制緩和を求める美容系学校法人の副理事長と、同学校法人の費用負担のもとで、料理屋において会食を行った」(要するに、私が会食接待を受けた)

至極合理的な判断だと思う。あとは篠原議員が、これらが真実であること、あるいは、真実と信じる相当な理由があったことを立証しなければ、責任を免れない。篠原議員とは法廷で決着をつける

妄想を生んだ「野党合同ヒアリング」

この件では、「野党合同ヒアリング」が何をもたらしているのかも顕在化した。

「野党合同ヒアリング」とは、立憲民主党、国民民主党などの議員たちが合同で、「森友」「加計」「桜を見る会」など時々のテーマごとに、役人を呼び出し厳しく追及する会議だ。

国家戦略特区 野党合同ヒアリング(当時のNHKニュースより)

本件でも、昨年6月の毎日新聞報道を受け、「国家戦略特区利権隠ぺい疑惑 野党合同ヒアリング」が結成され、森議員や篠原議員も参加して10月までに12回のヒアリング(同様の場である「農林水産政策懇話会」2回も含む)が開催された。そのたびに国家戦略特区を担当する内閣府の役人たちが呼び出された。

理解不能なのは、計10数時間に及ぶヒアリングがなされたにもかかわらず、基本的な事実確認が全くできていなかったことだ。結果として、その後、およそ無理筋な言い逃れしかできないような誹謗中傷が行われた。

ヒアリングの中で、内閣府の担当参事官は繰り返し、「原氏に確認したところ、指導料や食事提供の事実は一切ないということだった」(6月13日農林水産懇話会)などと説明している。

本来、篠原議員らはこの説明を聞き、「記事を一方的に信じるのは危ういかもしれない」と判断しておかしくなかった。私が公開していた反論文を一つでも読み、冷静に事実確認に努めていれば、こんな事態にならずに済んだはずだ。

ところが、現実に起きたことは違った。参加議員たちは、「事実は一切ない」との説明に耳を貸さず、ひたすら吊るし上げに終始した。篠原議員は、「原委員は最悪です。自分のビジネスを作っているわけです。(中略)そういう悪いことをしている」と断定までした(6月13日農林水産懇話会)。ヒアリングと称しつつ、説明を聞いてはいなかったわけだ。

これら会議は、マスコミオープンで開かれ、多くはネット上で動画も残されている。動画をみると、事実解明など端から関心がなく、集団イジメのごとき追及を繰り返し、そのうちに集団心理で一方的な思い込みを強め、妄想を共有する場になっているようにみえてならない。そこから生まれたのが、毎日新聞にも記載のない、篠原議員オリジナルの“新事実”だったのだろう。

こんな「野党合同ヒアリング」は早急に廃止すべきだ。事実解明の役に立たず、集団イジメと妄想共有の場と化しているのでは、有害無益でしかない。

政府の不正追及をするな、というのではない。政府を厳しく監視し、不正や過ちを追及することは、野党の重要な役割だ。しっかり役割を果たしてほしい。しかし、今の「野党合同ヒアリング」では、その役割を果たせていない。

野党の責任者の方々には、「野党合同ヒアリング」に替え、政府を的確に監視・追及できる仕組みを作り直してもらいたい。繰り返すが、そういう仕組みは必要不可欠だ。

<告知> 8月19日、髙橋洋一さんとの共著『国家の怠慢』(新潮新書)を出版予定、予約受付中です。毎日新聞・森ゆうこ議員の件にも一章を割き、当時の裏事情などにも触れています。

国家の怠慢 (新潮新書)
高橋洋一:原 英史
新潮社
2020-08-19
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原 英史
政策工房 代表取締役社長

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