発表数字は「感染者」か「陽性者」か? 表記統一し国民の認識を是正せよ

2020年08月12日 06:00

感染者なのか陽性者なのか

IAEA Imagebank/flickr

新型コロナウイルス感染症に関する行政発表において、感染者なのか陽性者なのか、表記のゆれを統一すべきだ。

例えば、千葉県の8月9日の発表では「これまでに感染者が2,150例」とある。この表現は正しいのだろうか。

東京都では「陽性患者」と「陽性者」を、厚労省は「感染者」と「検査陽性者」をそれぞれ同義で使っているように読め、一向に定まらない。そもそもそのように書き分ける意味は無いように思う。

アゴラでもおなじみのストラテジスト永江一石氏が高頻度で指摘しているところだが、少なくとも「感染者」と「陽性者」は、それぞれ意味が違うのだから、分けて表現すべきだ。

下の図を見て頂きたい。通常、PCR検査などの検査により、ウイルスや菌について「陰性」と判断される群=「陰性者」の対に扱われる表現は、当然に「陽性者」であるべきだろう。

その「陽性者」の中には、陽性ではあるけれども、感染病原体が体内で定着・増殖していない「1-1.」の群と、それ以外の群がある。

この「1-1.」の群は、陽性者ではあるが感染者ではない。

先述の永江氏が伝える

「現在は症状も無い人たちをめちゃくちゃ検査しているので2と3(←上図の場合「1-1.」。筆者)が大半ではないかということです。」

という医師の指摘が正しいのだとすると、ますます陽性者を感染者と伝える報道には違和感を覚える。

参照:永江一石氏記事:そもそもPCR検査とはなにかを分かってないから「感染拡大、大変ダー」になる

用語の揺れは市中の恐怖をあおる

本来は陽性者とすべきところ、公機関の発表の多くは「感染者数」となっており、さらに肝心の「感染者」の定義をしない。なぜしないかと言うと、厳密には「感染者」という表現が間違っているのを知りながら、これまでの表現を正すことを厭う「無謬性」を引きずっているからではないだろうか。そうでないならば、「感染者とは、陽性者と同義です」と堂々と公表すべきだろう。

いずれにしても、このあたりの「言葉の定義」をあいまいにしておくと、国民の恐怖を無用にあおることになる。

例えば、定義が為されていないが故に「感染者=発症者」と考える人にとっては、「感染者として発表された人は全員病院のベッドで治療」という認識を持たれるのも無理はないし、事実そう考えている方はまだまだ多い。

その認識を出発点にしてしまうと、今政府や都道府県が発表している感染者の数と照らせば「日本の病床数は足りていないからどんどん増やせ」ということになる。今後季節の移り変わりによる流行状況を考えた場合、「日本の病床数問題」は、もちろん議論すべき点だろう。しかし、国民の誤った認識を元にした恐怖を前提に導き出される答えは、当然誤ったものになるはずだ。

あまりに細かすぎる表現はかえって混乱を招くが、厚生労働省としては

  1. PCR検査で陽性とされた人数の公表は、今後「陽性者数」という表現に統一する
  2. 「陽性者」の中にはいくつかの態様があり、その態様ごとに医師が判断のうえ、処置を分けている

としたうえで、基本的な処置について、例えば上図のような図説において、自宅待機または宿泊施設での待機・経過観察、専門病院での治療、などを当てて説明していただきたい。

国民の認識を統一させるためにも、そのあたりの表現のあいまいさを早急に解消すべきと考える。

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