日本国債を抱いたまま日銀と心中しようなどという外国人はいない

藤巻 健史

acworks/写真AC

テニス仲間が先日、次のようなメールを寄こしてきた。

僕が驚いたのは現在外国人が日本国債を正確には12.8%、150.1兆円も所有していること。5%程度と思ってたのが数年の間にこんなに増えました、外国人はもう後には戻れないので、日本国債を紙切れにしない強力な働きかけをするので、我々が生きてる間は安全であると言えます、そして150兆円も買った事実は日本国債が安全である事の証左と言えます。

どこかの教授みたいに、著しい誤解を、堂々と主張するのはよくないので(笑)、詳しく返事を書いた。なお、このテニス仲間は、人格者(?)ですから、単なる誤解です(笑)。

昨日書いたように、ジャパンプレミアムのせいで、外国人はドルの「売って買い」(本日、ドルを売り先物でドルの買戻しの先物取引)をする際、かなり安い先物のドルを手に入れられます。(=日本人で言うところのヘッジコストの逆の大きなヘッジprofitが出る).その結果、例えば3か月、マイナス▲0.3%の円資金が出来るのです。それを0.1%で運用すると3カ月間で0.4%の利益が出るのです。

それでは3か月の運用をどうするか?銀行預金という手もありますが、外国人は、10年の長期国債(現物)を買っているのです。そして3か月後の債券先物を売ります。東証は、国債の各銘柄ごとにコンバーションファクター(交換比率)を発表しています。そこで、3カ月先の債券先物を売り、購入した長期国債(現物)をその時に引き渡せば、いくら現金が入ってくるかが本日確定できるのです。

要は「10年国債(現物国債)購入+先物売り」のコンビネーションで3か月間の運用をしているだけです。

現物国債を買っても同時に3か月後には先物で売却(=現物引き渡し)をしてしまうのです。だから逃げ足は速いのです。12%の国債保有者が一度期に逃げ出したら国債市場は終わりです。日本国債を抱いたまま日銀と心中しようなどという外国人はいません。以上は私の実務経験からの推測ですが、まず正しいでしょう。