悲報:学術会議、会議資料として赤旗の記事を配布してしまう

高山 貴男

東京・六本木の日本学術会議(編集部撮影)

赤旗は新聞と「同種」なのか?

学術会議のホームページ内を「赤旗」で検索すると「委員会等で机上配布した新聞等記事一覧」という資料がみつかる。

資料を読むと「机上配布した新聞等記事」の一部に赤旗の記事が挙げられている。これはおかしい。赤旗は政党機関紙であり、新聞と同種ではなく「新聞等記事」の「等」には含まれない。どういうことだろうか。

赤旗の記事が机上配布されたのは2016年10月28日開催の「第5回安全保障と学術に関する検討委員会」、2017年8月31日及び9月22日開催の「日本学術会議幹事会」である。

しかも政党機関紙の記事は赤旗しか配布されていない。なぜ赤旗だけなのか。なぜ他の政党機関紙の記事は配布されていないのか

言うまでもなく学術会議会員の身分は国家公務員であり、もちろん「特別職」だから通常のそれとは扱いは異なるが、例えば選挙運動が特別職、一般職を問わず禁止されているように公務員である以上、「全体の奉仕者(日本国憲法第15条2項)」としての振る舞いは期待されている。だから学術会議は政党との距離には注意を払わなくてならない。

仮に会議資料として赤旗の記事を配布するとしても、それは赤旗の記事を配布しなくては会議が成立しないような事例に限られ、おそらくそれは日本共産党を議題とした会議ではないのか。管見の限り日本共産党は議題になっていない。学術会議の使命・目的を考えればそれは想像しがたいことである。

なぜ「赤旗」だけなのか

さて、素朴単純に「赤旗の記事配布」の情報に接すると「学術会議事務局が経費で赤旗を購入し、必要な記事を抜粋、それを会議資料として配布した」と解釈できるのではないか。

それはすなわち「税金で赤旗を購入した」「税金で政党機関紙を購入した」ということである。「そう単純な話ではない」という批判が聞こえそうだが「新聞等記事一覧」程度の情報公開ならば「税金で赤旗を購入した」「税金で政党機関紙を購入した」という批判は避けられないのではないか。

こうした批判を避けるためにも学術会議はなぜ赤旗の記事だけを配布したのか、丁寧に説明すべきではないか。この「赤旗の記事配布」の例をみても学術会議が如何に世論から遊離した組織であるか、如何にマスコミに監視されていないかがよくわかる。

ここにきて注目されている、日本共産党との「特別な関係」を推測する者もいるだろう。角度を変えて学術会議を見れば、この組織は日本共産党とそっくりである。組織中央が絶大な権力を持つ「民主集中制」が採られている。

学術会議が日本共産党の影響で「民主集中制」になったかどうかはわからないが、やはりこの組織を語るうえで必要なのは日本共産党との関係である。

もしかしたら「政治介入」という言葉がふさわしいのは内閣総理大臣ではなく日本共産党かもしれない。