民主党が政権をとるには-中川信博

中川 信博

私は永年自民党支持者でありましたが、自民党が社会党との連立をした時点で党への支持をやめました。平成8年の第41回衆議院議員選挙(小選挙区比例代表並立制拘束名簿制度)以後は政治家個人のみ投票をしてまいりました。(私の選挙区では公明党との選挙協力依頼、候補者を擁立しておりません。)

理由は一つです。私は憲法を一刻も早く改正すべきと考えておりますので、そのことを結党の精神に謳う唯一の政党、自民党を支持することは当然であると思っておりました。


その自民党が、護憲を標榜する社会党、公明党と連立をすることはそのこと自体が結党の精神を踏みにじる行為であるとともに政党としての自己矛盾であると思っております。しかしながら絶対に民主党には政権を担当してほしくありません。

その民主党ですが、自民党以上に自己矛盾を党内に持っていると思います。平成8年の結党時から野合政党であります。(予断ですが今、色々な意味で論壇で話題の上杉隆氏は鳩山邦夫議員の秘書で、このとき民主党が立党資金25億のうち15億円を鳩山家、10億円を連合から借りたと云っている)

この時民主党(旧民主党)へ合流した政党は社会民主党、新党さきがけ、市民リーグ、新進党であります。最大勢力は社会民主党であり、革命によらない、民主的手続きによる社会主義の実現を標榜しておりました。第二は新党さきがけで、菅直人議員、鳩山由紀夫議員はこの党の議員でありました。このあとにリベラル系の各会派と連合して新民主党となり、さらに小沢党首率いる自由党はこの新民主党へ合流することになります。この結果、先の社民党的社会主義者と自由党的自由主義者が菅、鳩山と云ったリベラルたちを接着剤にして東西大野合政党が誕生し現在に至ります。

リベラルたちの主張する重厚長大な福祉国家論はポピリズムの極みであります。理想としては私も医療費も無料、年金の心配もないような社会を標榜していますが、それは自由経済人が個人の矜持として行う結果、そうなるのが望ましいと考えています。労働と賃金の交換的発想ではなく、奉仕と謝礼のようなきわめて個人主義的高道徳社会です。

さてこの民主党のシャドー内閣で文部科学大臣となっているのが参議院議員輿石東氏であります。氏は平成16年の参議院選挙にて選挙違反で当選したと、支援団体の山教組の3役員が告発されました。要点は

1)教職員に選挙資金カンパをさせ集めた資金を、収支報告書に申告していませんでした。(校長¥30,000、教頭¥20,000、教員¥10,000 退職教員¥5000のノルマで1億円の資金を集め、輿石陣営に¥33百万が渡ったといわれていますが収支報告には¥0で申告)

2)教職員に選挙カードの収集のノルマを課していた。

3)学校の電話を使って、持ち寄った名簿に18:00~21:00の間、輿石支持の電話をさせていた。しかも学校の当番制でかけさせていた。

本事案について輿石氏が取材に答えている一部を引用します。

山教組が輿石氏の選挙支援のため、現役の教師らから半強制的に資金カンパを募っている実態を産経が報じるに当たって、輿石氏からとったコメント(平成16年11月2日朝刊)

「金を集めたのは県政連(※山教組の政治団体)であり、私と直接関係はない。私への献金ばかりではなく、県議選や市長選などにも使われたのではないか」

上記産経記事を追いかけた毎日新聞へのコメント(同日夕刊)

「献金は全額を適切に処理しており、何の問題もない」

記事を受けて輿石氏が開いた記者会見について、NHKが流したニュース(同日夜)

「山梨県教職員組合と山梨県民主教育政治連盟(※県政連)の活動は、直接、関係はなく、性格も全く違うもので、問題にしていない。報道を見て驚いており、事実関係をよく確認し、調査したい。県政連から500万円の寄付を受けているが、これは総務省にも届け出ている。その他の献金は受けていない」

地元紙、山梨日々新聞の取材に対する輿石氏のコメント(11月3日朝刊)

「県政連の活動には関与していない。寄付は適正に処理しており、問題ない」

輿石氏のために資金集めをしていた校長ら19人が、県教育委員会から「教育の政治的中立性を疑わせる行為があった」として訓告などの処分
(※第1弾)を受けた際の輿石氏のコメント(12月28日の山日新聞)

「処分は非常に残念で、私も厳粛に受け止めている。(資金カンパは)私が相談を受けるような話ではなく、かかわっていない」

甲府市で開かれた新年互礼会であいさつし、出席後、記者団に答えた輿石氏のコメント(平成17年1月7日の山日新聞など)

「一部報道で心配をおかけした。これは昨年、私が出馬した参院選に無関係ではない。それは十分自覚している。だからこそ、山教組はひるまず、信念をもって前に出ていかねばならない」(あいさつ)

「県教委から指導を受けたことは大変残念だ。政治団体の問題だと認識している。(処分者には参院選で)私に投票してもらうという意思は当然、あったと思う。(自身の責任は)別の次元の話だ」(コメント)

山教組の資金カンパが衆院予算委員会で取り上げられたことについて、山日新聞のインタビューに答えた輿石氏(2月3日朝刊)

「取り上げられたことは厳粛に受け止めたい。山教組から推薦されているので、無関係ではないことは十分承知している。しかし、今問題になっていることについては当事者ではなく、指示するような立場にない」

県政連幹部が山梨県警に告発されたことに対する輿石氏のコメント(2月8日、山日新聞)

「当事者ではない人間が軽々にコメントすべきではないと考える」

平成16年に県政連が輿石氏に寄付をした金額が3300万円に上ることが判明した際の輿石氏のコメント(3月3日、山日新聞)

「軽々にコメントする立場にはないので、コメントは差し控えたい。賛意選があり、応援してやろうという気持ちで、当面の目標の中心に考えてくれた結果だと思う」

参院予算委員会で、直接関係ないと言っていた県政連についてつい本音を漏らした輿石氏(3月4日の産経新聞)

「私自身の政治団体について、一部の政党から批判されていることは承知している」

甲府市で開かれた連合山梨のメーデーであいさつした輿石氏(4月30日、山日新聞)

「労働運動に対し弾圧を加える勢力が頭をもたげてきている」

上記の会合後、記者団の質問に答えた輿石氏(同など)

「(弾圧の中身は)説明する必要はないでしょう。(山教組関係者が県警に聴取されていることは)それは推移を見守ればよい」

山教組甲府支部大会であいさつした輿石氏(6月12日、産経山梨県版)

「残念ながら、政治を抜きに教育は成り立っていない。一年近く、山教組は県民にご心配いただいている。『輿石は馬耳東風だ』と県民から失笑を買っているとの言葉も聞くが、私なりに判断、行動してきた」

山教組幹部と県政連幹部が政治資金規正法違反の罪で書類送検されたことについて
の輿石氏のコメント(12月1日の山日新聞)

「大変残念なこと。私は関与しておらず、聴取も受けていない。詳しい事実関係が分からないため、これ以上のコメントは控えたい」

甲府市で講演した輿石氏(12月13日、山日新聞)

「自民党が危機感から労働組合と民主党の間にくさびを打とうと労組攻撃をしている背景もある。山梨でもそんな感じがしないでもない」

山教組財政部長と県政連会長が罰金命令を受けたことに対する輿石氏のコメント
(1月28日、山日新聞)

「非常に残念。厳粛に受け止める。私のために一生懸命やってくれたことは分かるが、意思を持った独立した団体で、私がどうこう言う立場ではない」

県教育委員会が教員24人を処分し、うち14人を法律上の処分である懲戒処分としたが、処分について、山日新聞の取材には輿石氏がコメント(3月22日)

「非常に残念で、厳粛に受け止めている。(資金カンパは)私がとやかく言う立場ではない」

山教組甲府支部大会に出席した輿石氏(6月4日、産経山梨県版)

「私たちは何のために議会に代表を送っているのか。教育は政治を抜きにはどうにもならない状況だ。来年は知事選や各種選挙(※参院選など)がある。生涯、山教組の組合員でありたい」(あいさつ)

「(資金集めは)山教組と県政連がやったこと。集めてくれと言ったわけではない。教員が処分されたことについてもコメントする立場にない」(産経の取材に対して)

まだまだありますが、長くなりますので止めます。

このような人物が文部科学大臣となって果たして真っ当な教育改革が出来るでしょうか。

なぜ学校長をはじめ教職員は輿石氏が依頼もしないのに(本人弁)自主的に1億ものカンパを集める必要があったのでしょうか。

輿石氏が山梨県の教職員のキャリアアップから再就職までに圧倒的権力があったからではないでしょうか。

なぜ民主党はこのような悪質な方法で選挙を実施した議員を処分しないのでしょうか。

私が民主党政権に反対する理由です。

中川信博