ネットPRで貴方の地域を元気にしませんか - 菅野敦也

菅野 敦也

「 ブログはリスクなのか 」

2004年8月、上梓された『池田信夫 blog』は、政治経済や情報通信に関するグローバル視点での時事解説、快刀乱麻を断つ論説スタイルにて人気を博す。 建設的な運営理念は憧れの対象であり、また、開設より4年半、先生のブログは突出する。 高邁な思考体系をデジタル情報としてオープンにされる賢者は少なく、それも追い風にして、正のスパイラルに入ったものと存じます。


一方、既得権益分配型の階層社会において情報クローズは、利得の温床であり、賢人の思考のブラックボックス化は、一般的に自然なことと納得しています。 さらにブログは、「密室」志向にとっては厄介なシロモノ。 不都合な真実に対し、異常なまでの勧善懲悪の性格を有すことから、美しい理念と掛け離れた組織や人には、ハイリスクな情報漏洩ツールに豹変。 未来社会には、河清実現チャンスの言論ツールになるのですが。

ネットを活かし、言霊を駆使して選出されたオバマ大統領。 ブログやTwitterやYouTubeがなければ60年前、レストランで食事が許されなかった父を持つ同氏は、大統領に選ばれなかった。 同様に、東国原知事の選出から幾多の活躍まで、同氏のオフィシャルブログ「そのまんま日記」の功績の大きさは、想像に難くありません。 社会の仕組みの激変、オープン化を確信する所以。

情報誌の休刊廃刊が続々と報じられる環境下、ブログ開設の好機に躊躇した専門家は今辛い。 ブログを持たざるリスク、ブログ採否の結果に生じた情報格差、そうした表現も、あながち的外れではなさそうです。

「 都市と地方に開くデジタルデバイド(情報格差) 」

デジタルデバイド発生のメカニズムは、市場性の視点からも説明できる。 グローバルな競争市場に参入する企業のITプラットフォームは、自ずと世界標準に磨かれる。 巨大流通が取引先なら、POSシステムに鍛えられ。 日本のITリテラシー偏差において、大企業が集中する都市の素養が高まる傾向に、頷くことしばしば。

他方、限定的、閉鎖的な市場においては、業務をIT化、効率化すべく切実な事情は特になかった、と推察。

ところが、急速に進んだグローバル化とインターネットの結実に伴い市場の垣根が外され、都市と地方に静かに大きく開いていたデジタルデバイドが露出。 現2009年、地域イベントや話題の商品、お店の情報を検索する度、地域のコンテンツの少なさを痛感し、深刻な状況に危機感を覚えたり。 欲しいWeb情報を入手できないまま、終わった催事のニュースを虚しく眺めること度々。

地方が都会の資本に凌駕される原因は、金銭的な劣位性のみならず、ITリテラシー偏差によって齎されるデジタルデバイドもそのひとつ、と認識すべきでしょう。

解決策は何か、模索していた2008年6月、グーグルアップスに遭遇。 企業所属時代、開発費数十億円と聞こえたグループウェアに相当する業務プラットフォームが、年間10米ドルで使えるクラウドコンピューティングの朗報に地域活性化策を重ね、嬉しく感じた記憶が戻ります。

「 磨こうネットPRリテラシー 」

インターネット上のPublicRelations(パブリックリレーションズ)、ネットPRが、俄かに活況を呈す。 新しい言葉ではないけれど、口コミ臨界点に達した模様。

( ネットPRを頼もしく支援するWebツールは、ブログやTwitterやYouTubeほか多数。 ネットPRリテラシーの高い御仁が、オバマ大統領。 ということです。 )

無料のWebサービスを積極採用することで、低廉に遂行できるネットPR戦略は、ビジネスだけでなく、地域活性化の大役担う可能性も秘めている。 こと、観光ネットPRの費用対効果は、計り知れない。 観光地や特産物紹介に際し、地方に埋蔵されている未知のコンテンツは無尽蔵。 単にデジタル化、情報化が遅れているだけで、むしろ将来の伸びしろは大きいと期待するばかり。

クラウドコンピューティングの恩恵によって情報デジタル化の遅れは、Webリテラシーの啓蒙により克服できる廉価なものとなり、都市と地方に開いたデジタルデバイド解消の目処が立つ。 そこで、地方のコンテンツリッチ化を目標に掲げ、零細企業や住民に対するクラウドコンピューティング利活用を促進する、地域行政による積極的な啓蒙活動の企画をお願いする次第です。

ブロードバンド環境さえあれば、地元企業や地域住民による自発的な観光ネットPRは可能で、大変有効。 数十分で開設できる無料ブログでさえ、そのネットPR効果は小さくないし、何より、Webリテラシーを養うための学習ツール機能も兼ねるから有り難く(スキだらけで拙い私の感覚論は、ブログにより随分マシになりました)。

ブログ運営に際し、想いや理念が美しいものなら、さして神経質になる必要もないでしょう。

蒸発した国内需要を取り戻すツールは、案外、叩かれて鍛えられたブログかも知れませんね。 ネット規制に躍起になるより、ネット啓蒙を。 地域の産学官民連携によるデジタルデバイドの解消とネットPR提案に、地域振興の夢と希望を感じて頂ければ幸いです。

最後に、地方活性化のための変革を促す“今こそ道州制の導入を”(3月7日、松本氏)の論説に共鳴。 地域で熟考すべき重要テーマと察し、ブックマーク致しました。 有難うございます。 スガノアツナリ