民主党執行部の対応は失敗では -中川信博

2009年03月11日 13:22

今回の民主党小沢代表の公設秘書が東京地検特捜部に逮捕拘留されている事件で、民主党が開いた説明記者会見はあまりにも杜撰であったとの指摘は多いと思います。

なぜならこの西松建設のからの迂回献金(その判断はまだ下されてはありませんが)に対する疑義は民主党よりも自民党にとって致命的であったからです。ここでも民主党の組織、個人における危機管理の甘さが露呈したとはいえないでしょうか。


本件の場合の危機管理はそう簡単ではなかったと思います。なぜならリスクの対象(この場合は民主党の利益と小沢代表の利益が相反する場合があります)範囲、そしてリスクの主体(敵)が複雑で事前にそれらを抽出予見することはなかなか大変な作業といえます。

しかし従前に不動産事案、西松建設事案が浮上していたにもかかわらず、当事者には「問題が無い」との認識があったことが大きな問題ではないかと思います。危機管理は危機や脅威が存在するという認識が当事者に無ければ発案されないからです。もしかすると想定はしていたのかもしれませんが、秘書の逮捕という最悪の想定を怠っていたのかもしれません。

いずれにしてもあの記者会見の時点で代表を潔く辞任すべきだったと思います。なぜなら二階大臣はじめ以前から西松建設OBが代表を務める、二つの政治団体から自民党の複数議員が献金を受け取っていることは報道されており、リスクは自民党の方が大きかったと思います。

民主党執行部の対応を見ておりますと小沢代表の身の潔白(正当性)と民主党の目的(政権奪取)は不可分という判断しているようですが、世論というバイアスを入れて考えてみますとはたしてどうだったでしょうか。

たとえば民主党執行部の対応ですが、逆の場合を考えますとよく分かります。自民党の現役大臣の公設第一秘書が東京地検特捜部に逮捕拘留されたと仮定致します。

たとえ処理に問題は無いにしろ、海外からの違法な資金の還流で前社長が逮捕拘束中の企業の、しかもその逮捕拘束中の元社長の社内では側近といわれた人間が代表を勤める政治団体で、しかもその企業の社員の個人献金で成り立っている団体の献金を受けていた、またはパーティー券を購入してもらっていたとしたら、民主党執行部は道義的責任について言及していたのでは無いでしょうか。(このケースとは違いますが松岡大臣、赤木大臣の事務所費の件のときの民主党の対応を想定しています。)

大臣と党の代表では立場が違いますが、次期政権の内閣総理大臣となる可能性が現在最も近いと考えると致しますと、あながちそうとも言えなくなります。

そのように考えますと執行部としては代表の道義的責任については言及すべきでは無かったでしょうか。そうしませんと「他人に厳しく自分に優しい」という印象を世論に与えてしまうからです。

今回、執行部が小沢代表を全面擁護する背景には、やはり代表の余人には代えがたい手腕があると思います。

小沢氏は代表就任後から徹底した政局戦略を展開してきました。それはあるときは国の信義にかかわるもの、また自らの過去を否定するようなものもありました。

しかし政権奪取するという目的ために自民党を政局で揺さぶるという徹底した戦略は功を奏しました。さらに政権奪取に必要な選挙対策で、以前、前原氏が代表の頃にややギクシャクした連合やその他労働組合との関係を修復しました。共産党までが対立候補を出さない選挙区をつくりました。これらの戦略は小沢代表により発案され実現されました結果、政権奪取は手の届くところまできておりました。おそらく他人では来るべき選挙でこれらを実行することは不可能なのかもしれません。

本件で民主党執行部は戦略的には小沢氏に代表を辞任を促すか、相互了解ものと小沢代表に対し道義的責任を言及するパフォーマンスはするべきだったと思います。そうしていれば世論は民主党の対応に好印象を持ち、マスコミもそう報道できたと思います。そして返す刀で二階大臣はじめ関係している自民党議員に対し問題を追及でき
たのではないかと思います。国策捜査戦略で官房副長官を追及するよりははるかに効果的ではなかったかと思います。

もうひとつ以前エントリー致しました輿石議員の件ですが、こちらは虚偽記載によるものです。過去松岡大臣や赤城大臣が「記載漏れ」として釈明していたようなものですが、党内でも問題視しないとしております。政権奪取を目前に控えているのですから、この際党内で戦略的に問題視してはと思います。政治資金の問題は相対的に自民党のほうがリスクが大きいと思うからです。

本日の報道でも大手、準大手ゼネコンの名前が挙がっております。本件が与党、野党を巻き込んだ重大案件に浮上しそうな雰囲気です。

いずれにしましてもあと六ヶ月以内には衆議院議員選挙が行なわれます。もし民主党が政権奪取できないことがあれば、本件はそのうちの一つの原因として挙げられることになるでしょう。

カルタゴの豪腕将軍ハンニバルはローマとのほとんどの戦闘に勝利をおさめますが、最後の戦闘に敗北します。結局それが原因でカルタゴはローマに屈服しますが、なぜかその故事が想起されました。

中川信博

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