「変な国」から脱却する方策 - 松本徹三

2009年08月09日 12:47

池田先生は日本が「変な国」になっていく事を危惧しておられますが、実は、日本はもともと少し「変な国」なのであって、「これから脱却する路線になかなか乗れないでいる」というのが、もっと正確な言い方ではないでしょうか? 

諸外国の識者はずっと以前からその事を知っていますが、「何故脱却できないのか」については、どうしても答が見出せないでいるようです。従って、その帰結していくところは、日本に対する「関心の希薄化」であり、「良いか悪いかは別として、分かりやすい中国」の陰に、日本はますます埋没していこうとしています。


日本の多くの人達が見落としているのは、池田先生もご指摘の通り、「かつての高度成長を可能にした世界の産業と市場の構造が最早存在せず、異なった環境下での競争が既に始まっている」という単純な事実です。

それでも、「不勉強で、深く考えるのが不得手なのに、何か一言言ってみたい」人達は多いようで、この人達は、「日本人は本来勤勉で、助け合いの精神に富み、多くの美しい慣行をつくってきたのに、外国かぶれの一部の人間が『行き過ぎた市場原理主義』に走り、全てをむちゃくちゃにしてしまった」というような支離滅裂なことを言い、一般大衆は「そうかなあ」と思ってしまっているのが現状ではないでしょうか?

勿論、一番情けないのは政治家ですが、政治家は選挙に勝つことが最優先ですから、現在のような悪い状況下では、取り敢えずは「小泉改革が悪かった」ということにして、自分は人気の出そうなばら撒き政策に走るというのも、止むを得ないことでしょう。こういう政治家を唯批判していても何の役にも立たないので、公衆の目の前で彼等のばら撒き政策の矛盾をつき、彼等を追い詰めて、将来の政策への言質をとっていく事こそが必要なのではないでしょうか?

そういう意味で、各党のマニフェストに点数をつけ、各党の代表を呼んで、その場で言質を取り付けた橋下知事以下の全国知事会は、よいことをしたと思います。但し、知事会が要求を突きつけられるのは、地方自治の問題のみに限られますから、経済や財政に関する問題や労働政策については、誰か他の人達が同じことをやるべきです。

経済・財政の問題や労働政策について産業界の立場を代表するのは、本来は経団連であるべきなのでしょうが、経団連は既に組織的に老朽化しており、「舌鋒鋭く各党の政策の矛盾を突く」と言うところまではやれそうにありません。それならば、かつての経済同友会がそうだったように、現状を危惧する産業界の有志が集まって、「論点を幾つかに絞った上で、その実現を明確に志向する」一つの新しい組織を作り、全国知事会と同じような事をしてはどうでしょうか?

名の通った経済学者が自発的に集まって同じように一つの組織を作り、同じような事をするのも一案です。そもそも、「有識者会議」等と銘打つものの殆どは官製であり、官僚が作った方針に権威付けをする為に利用されるだけのものが多いのが現実ですが、「有識者」もたまには「憂国の志」に突き動かされて自発的に動き、こういう事をしてみてはどうでしょうか?

とは言っても、今回の選挙に関してはもう時間が迫っているので、あまり出来る事は少ないでしょう。手っ取り早いのは、新聞社やテレビ局のような既存メディアが、こういう動きにきっかけを与えるようなことをどんどんやっていくことですが、この事を言い出すとまた「慨嘆」に終わってしまうようなので、今回はここまでとします。

松本徹三

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