民主党は「世界の田舎者」になるな - 池田信夫

2009年09月01日 20:55

先日の記事で取り上げたNYタイムズの記事を、鳩山氏は「寄稿したわけではない」と否定しましたが、NYTは「言い逃れ」とみているようです。まだ事実関係ははっきりしませんが、これは鳩山氏の公式サイトに掲載されている論文の英訳を(おそらく米側が)抜粋したものと思われます。


少なくとも8月19日にChristian Science Monitorに掲載された英訳に事務所がクレームをつけなかった以上、1週間後に出た同じ内容のNYT論文の文責も鳩山氏側にあると考えるのが出版界の常識です。「寄稿していない」という弁解は通らない。たぶん事実は、原文を大幅に縮めたCSM論文を事務所側が深く考えないでOKし、それがNYTに転載されてから否定的な反響が世界中から出てきたため、あわてて「あれは真意ではない」と日本的な弁解をしたのでしょう。

しかし原文の内容は、「友愛」をめぐる観念的な議論を除けば、NYT論文とそう変わらない。前後の文脈が省略されたので、反米色が表に出ただけです。NYT論文の冒頭の文章は、鳩山事務所の公式訳にそのままあります。

During the time since then, post-cold war Japan has been continually buffeted by the winds of market fundamentalism in a US-led movement which is more usually called globalization. Freedom is supposed to be the highest of all values but in the fundamentalist pursuit of capitalism, which can be described as ‘freedom formalized in economic terms’, has resulted in people being treated not as an end but as a means. Consequently human dignity has been lost.

日本の次期首相が「日本はアメリカ主導の市場原理主義すなわちグローバリゼーションに打ちのめされた」と語り、経済的自由主義を「人々を目的ではなく手段として扱うものだ」と否定しているのは、欧米人の目から見ると異様だから、彼らがニュース価値があると思って抜粋するのは当たり前です。しかもこの英訳は、鳩山氏の公式サイトですでに3週間以上、世界に発表されているのです。

鳩山事務所は、親オバマ政権のNYTなら、こうした社民的な主張に理解を示すだろうとでも思ったのかもしれないが、前述のNYTの記事は民主党の政策を「小泉改革から後退した大きな政府への反動」と見ています。

The Democrats are expected to form a coalition with the Socialists and the conservative People’s New Party – smaller parties that are decidedly against market reform- which could reinforce this tendency toward government-led solutions to the economic crisis .

自民党も民主党も、世界的な基準からみると「大きな政府」をめざす社民政党であり、「中道左派」の自民党から「社会主義」の民主党に政権が移ったと見られているわけです。こうした「政府主導の解決策」が日本経済の長期低迷の原因であり、日本に必要なのはバラマキ福祉ではなく、規制改革と財政赤字の削減だという点についても、欧米メディアの見方はリベラルから保守まで一致しています。

日本では「ネオリベ」を罵倒したり「反グローバリズム」を唱えたりする議論が大手メディアにも出ていますが、欧米でそういう主張をのせているのは特殊な左翼メディアだけです。そういう議論が世界から嘲笑される田舎者のたわごとだということを、民主党のみなさんは認識したでしょうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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