鳩山総理の対米姿勢 ―中川信博―

2009年09月17日 06:07

鳩山内閣が昨夜発足しました

国会は本日午後93代内閣総理大臣に鳩山由紀夫民主党代表を選出しました。政権交代を果たし、良質な民主主義を醸成するためにも、理念におぼれることなく、真摯な為政者として国政にあたって頂きたいと思います。


―鳩山論文にアメリカは反応したのか?―

鳩山総理は今夜初の記者会見で、自らの東アジア共同体構想次のように述べました。「中長期的に正しいが、米国を除外するつもりはない。その先にアジア太平洋共同体を構想すべきで、米国抜きで必ずしもすべてできるとは思っていない」

鳩山首相が先にNYTに発表した論文の要旨はこのリンクですが、この論文にアメリカから「反米主義」ではないかとの疑念の声が聞かれたと、国内では報道されていました。

―「アメリカの鏡・日本」ヘレン・ミアーズ著―

この本の著者はアメリカ人女性で、戦前に2回、占領中はGHQ「労働政策11人委員会」のメンバーとして再来日をして本書を書くことになります。著者は戦争中は「日本は明治維新以来膨張主義をとり、その政治体制は軍事独裁と砲艦外交で極東アジアの平和と安定を著しく阻害して、極東アジア諸民族に辛酸をなめさせた。」と多くの欧米の国民はアメリカ情報局にプロパガンダをされていたといいます。

日本は8世紀に中国から諸制度を取り入れ、統一を果たして以来、明治維新までのほぼ1000年間、秀吉が朝鮮へ出兵した以外―侵略的意図ではなく、ポルトガルへの牽制だと著者は言っています―には狭い日本列島から出ることなしに生活していた平和国家だといいます。その間スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリスはアジア、アフリカに殖民地を持ったといい、日本を、大砲で脅かして開国させたのは、ほかならぬアメリカであったといいます。

そして自らは法の下の自由と平等の理想を掲げながら、アジア、アフリカには殖民地を持ち、日本と中国には白人に有利な不平等条約を締結し、自国の製品を法外な値段で売りつけ、その国の法や慣習には従わず―治外法権―、政治に干渉して、その国の加工品には100%以上の関税をかけて、民主主義と自由貿易をもっぱら建前としていたと手厳しい。

―アメリカ的民主主義―

明治維新以来、日本は欧米―特にイギリス―を先生とし、日清戦争では中学を、日露戦争では高校をそして第一次世界大戦では大学を見事卒業して、アメリカ、イギリス、フランス、イタリヤと肩を並べた。日本はそれらを通して法の遵守と大砲が国際関係で必要だと学んだ。それを教えた先生はイギリスであり、アメリカだといいます。

国際紛争解決のために相互関係をより発展させた、国際連盟をアメリカ主導で発起したが、日本が提案した差別条項撤廃案に自由と平等の国アメリカが不可解にも反対して、自らは参加せず、モンロー主義によって南アメリカへのヨーロッパ列強の干渉を認めず、メキシコ、パナマには干渉して、同様な理由で日本が欧米列強に対し、満州、中国への不干渉を言えば門戸開放の原則に反する侵略国家だとの非難を浴びせるのは、実に米国的民主主義だと皮肉っています。

―自由貿易は日本の生命線―

著者は日本はほとんど自存自衛のためアメリカ、イギリスと開戦したといいます。その理由は日本は江戸時代まで約3000万人の人口で自給自足の生活をおくっていたが、しかしアメリカが大砲で脅かしたので、やむなく開国し、日本人の誇りを傷つけるような条約を締結した。日本人はその条約を破棄するために法を守り、軍艦を買わなければならなかった。軍艦を買うために貿易を発展させなければならず、おもに軍事的必要から、結果人口が倍になり、貿易なしでは生きていけなくなっていたと分析しています。

しかしアメリカは日本の加工製品に100%以上の関税をかけ、イギリスは連邦以外からの輸入に同様の措置をとっていた。さらに日華事変以降は各国の経済制裁が強まり、マッカーサーが戦後議会で証言するように、餓死者が出るような惨状であったといっています。

そしてその中、アメリカは各国が経済制裁をする中でも、なぜか最後まで日本へ石油を売っていたと告発します。彼女はアメリカはアジアにおいて自由も平等も人権も考えていない、ただプロフィットだけだといいます。

―東アジア共同体はアメリカの琴線―

この後日本は「大東亜共栄圏」の確立を宣言して、米英戦争へ突入します。―宣戦布告したのは2国のみ―アメリカは日本が侵略国家と非難しますが、日本はいち早く満州の利権を捨て、その後中国国内の利権も中国政府へ返還した。東南アジア各国、インドでも独立を認めたが、一方、アメリカは戦争中占領した沖縄を長期にわたり占領した。

さらに東部13州で独立し、その後侵略した面積は日本が一時的に占領した面積の数十倍に及ぶといい、どちらが侵略的かと問います。

アメリカはこのアジアとアジア人からはプロフットしか考えていない、という著者の指摘は今のアメリカの政策にも生きているかわかりませんが、新総理には極東アジアでアメリカのプロフィットを無視することは、戦争になった事例があるということは記憶の留めて欲しいのです。

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