国際離婚における親権・監護権(養育権)の問題 - 矢澤豊

2009年10月01日 12:37

「日本人の元妻が日本で養育していた子ども二人を通学時に連れ去ったアメリカ人元夫がアメリカ領事館に駆け込む直前に逮捕 – 現在勾留中」

(お子さんたちの画像もあるニュース映像をこのサイトに転載することにいささか抵抗がありましたので、画像を転載した私個人のブログ・エントリーまでリンクのみ張っておきます。)

いまさら「起こるべくして起こってしまった」、というのは当たっていないでしょう。すでにいままで数多く起こっていて、何度も指摘を受けながら問題が表面化していなかった日本の法制度の不備が、今回たまたま米メディアに取り上げられたといった方が当たっています。


私個人の考えとしましては、親同士の権利の折り合いに重点が置かれ、子どもの視点が欠如していると思われる欧米の法制度、そしてそれを反映したハーグ条約を批准することが、そのまま日本人である父母、ひいては日本という国のためになるとは思えません。またそうした欧米流共同親権を、日本における子育て環境という現実にそのまま適用することは決して望ましいとはいえないでしょう。元来、欧米の法制度は家庭法を専門とする弁護士たちが作ったものでして、こうした弁護士たちにお金をはらっているのは親たちなわけですから、「なにが子どもにとって一番望ましいのか」という視点が見失われてしまうのはある意味当然の帰結なわけです。

しかし事実上「連れ去ったもの勝ち」を容認している日本の現行の法制度や、日本法のもとに有効な保護が与えられていない外国人父母に対する救済措置(裁判所命令に対する抗告手続きの簡便化など)を整備/制度化することは喫緊の課題であるといえます。そしてこの問題解決にあたる日本政府の真摯な対応を、この機会に世界にアピールしておくことが重要だと思います。

いらぬおせっかいは百も承知、二百も合点ではありますが、一言申し上げておきます。夫婦異姓、死刑制度廃止など、大きな問題に取り組むことはもちろん大事なことです。しかし「神は細部に宿る」とも申しまして、こうした細かい問題の一つ一つを丁寧に解決していくこともまた大事な政治家、そして法律家のお仕事ですよ、千葉景子法務大臣。

なお、在ニューヨーク日本国総領事館がこの問題に関して簡潔にまとめた便利なQ&Aをそのサイトにアップしているので、ご参考までリンクを張っておきます(コチラ)。

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