先日のNHKテレビの報道を見ていて、ソファから転げ落ちると思うほどびっくりしたことがあった。蓮舫参議院議員が鬼のような顔をして、「スパコンで世界一になる意味はあるのか?」と仕分けしていたからである。仕分けされているときに、それに反論している文部科学省の役人を有り難いと思った。日本のスパコンのために頑張ってくれている!官僚をこんなに有り難いと思ったのは久しぶりだ。しかし、スパコンは「来年度の予算計上の見送りに限りなく近い縮減」つまり中止に仕分けされてしまった。
私は、このプロジェクトに直接の利害関係はない。民主党員ではないし、自民党員でもない。週末にこのことに対する論調をネットで読んでいたが、誰も反論しないので、民間人として、スーパーコンピューターの世界に関係があるものとして、この文章を書くことにした。
私は、このプロジェクトに直接の利害関係はない。民主党員ではないし、自民党員でもない。週末にこのことに対する論調をネットで読んでいたが、誰も反論しないので、民間人として、スーパーコンピューターの世界に関係があるものとして、この文章を書くことにした。
日本のスパコンは世界一であった
日本はかつて世界一のスパコンを作った国であった。NECが地球シミュレーターとして作り、スポンサーは国であった。私は当時、学術・産業用のコンピュータを作るベンチャー会社、ビジュアルテクノロジー社の仕事をしていた。私はこのスパコンが世界一に選ばれているときに、ドイツのハイデルベルグであった学会の会場にいた。その世界一のスパコンを作って賞をもらった日本人はうれしそうであった。そのスパコンはベクトル計算方式という、いわばこれから無くなると私は思っていた方式なので、「お金さえ掛ければ世界一になれるよな」と思い、そのようなお金を使うことのできる研究者とNECがうらやましかった。その日の晩御飯で同僚とやけ酒を飲んだ。
その会議の最終日、私は少なくとも日本一の新しい方式のスパコンをお金を掛けないで作りたいと思ったのである。新しい方式とは、スカラー方式といい、マイクロプロセッサを多く使うのである。2003年、私達の作ったスパコンは同志社大学に納入が決まり、10月 同志社大学知能情報センターにAMD Opteron Cluster 512 プロセッサシステムが設置された。一瞬ではあったが、11月にAMD Opteron Cluster 512 プロセッサシステムがスーパーコンピューティングサイトTOP500 にて世界第93 位、日本国内PC クラスタ第1 位、AMD Opteron クラスタ世界第2 位になった。NECのスーパーコンピューターに負けたくないという気持ちが、われわれの原動力になったのであった。

同志社大学のスパコン「スーパーノバ」
日本の世界一を超えたのは米国
この時に私が目をつけた競争相手がいた。それがアメリカのブルックヘブン国立研究所(BNL) と日本の理研が共同で行なっていた研究であった。当時、値段の安かったDSPというプロセッサを数万個使ったQCDシステムを考えていた。後にブルックヘブン研究所のメンバーはIBMワトソン研究所に移る。IBMでIBMのパワーPCのCPUをコアにしたカスタムのLSIを作って、同じ考えのスパコンをIBMが作ることになった。これがIBMのBlueGeneである。今、世界中のトップのスーパーコンピュータはこのIBMのBlueGeneが独占している。
このたびの理研のスーパーコンピューターは、このIBMのBlueGeneのもうひとつの流れを正統に汲むものである。そして、それは世界でIBMと理研しかできないシステムである。日本でするならば、理研がやらなくてはならないのである。
経済産業省の配下に産業総合研究所というのがある。ここのスーパーコンピューターの受注を争ったことがあった。われわれは同志社大学という実績があった。敵はIBMであった。IBMは台湾製の部品を安く仕入れて、入札に勝った。私はこのとき、この競争で、まさか産総研がIBMから買うとは考えていなかった。お金のある会社の力にはかなわない。IBMは戦略的な値段で入札を取っていった。産総研のスパコンはその後いろいろなトラブル続きで、世の中には大きなインパクトにはならなかった。お金がいくらあっても実現できないこともあるのだ。
IBMのBluegGeneより早いスパコンは理研が作ることができる
BlueGeneが世界一になってから、ある国立大学の研究所から名指しで呼ばれた。「西さん、IBMのBlueGeneより速いスパコンが作れないか」と聞かれた。「なぜですか?」と問うと、「BlueGeneは32ビットである。できないことが沢山ある。そのうち10年ぐらいしたらIBMは64ビットのBlueGene64を投入してくるだろう。でも、私はそれまで10年間も待てないんだよ。」
このたびの理研のスーパーコンピューターは大体において、このIBMのBlueGeneを64ビットにしたような機械である。理研はこのコンピュータを富士通から買うという意識ではないはずである。理研が作っているという気概があるであろう。これを速やかに実現すれば、数年は世界一がとれる。そしてその後、IBMが必ず取り返すであろう。そしたら日本はまたそれより速いのを作ればいい。
世界の競争のために、日本も世界一を取るのだ
日本のために世界一を取るのではなく、世界の競争のために、日本も世界一を取るのだ。IBMに対抗して、それが取れるのにもっとも近いのは、もともとの兄弟分であった理研だけである。NECも日立も、スパコンを止めてしまった。富士通だけがやってくれている。富士通には日本のために頑張ってもらわなくてはならない。富士通のスパコンは最後の希望ではないか。少しぐらい儲けてもらってもいい。世界一の競争ができなくなれば、一番喜ぶのは米国メーカーである。日本が世界一になるから、その次の競争がある。米国は当分世界一を続けるであろう。しかし、競争はそこで停滞する。
何も知らない議員が、歴史も、経緯も、何も考えないで決めていいのか
1967年生まれの蓮舫議員は1995年に台湾からの帰化日本人である。1997年に双子の子供を生んだときには、日本の国籍になったにも拘わらず、中国風の名前をお付けになっている。家庭的には感覚は中国のひとなのであろう。私はそうは思わないけど、日本のスーパーコンピューターをつぶすために、蓮舫議員のバックは誰で、その生まれた国の意向があるのかなあと思う人もいる。もし、そうだったらビックリだけど・・・。蓮舫議員の問題は、あの席で、大蔵省の生意気な主計官をはるかに超えた、麻生前総理大臣のいう「公開処刑」の検察官のような口のきき方をしたことではないであろうか。蓮舫議員は勘違いしているのではないか。
アメリカの外国系の帰化人は議員であれ一般人であれ、一般のアメリカ人より「アメリカ人である」ということに気をつける。蓮舫議員が、もしアメリカの議員でああいう発言をアメリカ議会の会議でしたら、たいへんなことになるであろう。オバマ大統領が中国シフトのために中国に近い大物を5人も閣僚にしている。ただそれだけでも大騒ぎである。日本はそんなことは、どうでもいいのだ。日本では国益という発言だけで右翼とすら言われたりする。
スパコンを是非復活してほしい
参議院議員や衆議院議員は選挙で選ばれたから議員なので、前歴は関係ないといわれているが、科学技術に全く専門ではない議員や違う分野の学者の発言で、一時間で討ち死にした理研のスパコンは情けなさ過ぎると思うのは私だけではない。仕分けは、ただの仕分けであって、最終の決定ではない。
最終決定は行政刷新会議事業仕分け担当の仙石大臣がこの月末に決めるという。そこでスパコンだけが復活する可能性はないであろう。おそらく仕切りの結果をそのまま認めよと大臣がつめよることになるであろう。工学博士号をお持ちの鳩山総理大臣でも、一人で仕分けの結果をひっくり返すことはできないであろう。そんなことをしたら、周りが反対して大変である。例外は認められないのである。
最後の可能性は2つ
そうすると、復活の可能性は2つしかない。ひとつは、日本郵政の方針が決まったように、仕分け方針を確定させるのは、閣議である。この閣議に文部科学大臣が、しっかりとしたスパコン復活の方針を出し、それに関係する大臣が同意するという閣議決定が必要である。もう一つは、議会の予算委員会である。良識のある議員が予算委員会で発言し、委員会の決義として、しっかりと方針を改めて決めていただくしかない。
もし万一、4年後、8年後に民主党の政権でなくなって、スパコンがもう一度復活しても、それは遅すぎる。回復することは大変であろう。そのときにはスパコンの競争はアメリカと中国の競争になっているだろう。だから、このチャンスを我々は失いたくない。是非、スーパーコンピュータのプロジェクトの復活を望みたい。
文部科学省はパブリックコメントのWEBを作成
まさに、このコラムを送ろうとしていた今、文部科学省のWEBを見に行ったら、パブリックコメントを求める掲示が11月16日付けで出ていた。私のこのコラムに賛成いただける人は、「スパコン賛成」というコメントを是非、文部科学省のパブリックコメントに送って欲しい。もちろん私もコメントを送りたい。文部科学省に送らないで、このBLOGにコメントを付けていただいてもいい。心からお願いします。はっきりとした民意を示すということが、今、我々に求められていると思う。それがないと閣議にも予算委員会にも上げようがない。それが今の私の最後の希望である。
日本はかつて世界一のスパコンを作った国であった。NECが地球シミュレーターとして作り、スポンサーは国であった。私は当時、学術・産業用のコンピュータを作るベンチャー会社、ビジュアルテクノロジー社の仕事をしていた。私はこのスパコンが世界一に選ばれているときに、ドイツのハイデルベルグであった学会の会場にいた。その世界一のスパコンを作って賞をもらった日本人はうれしそうであった。そのスパコンはベクトル計算方式という、いわばこれから無くなると私は思っていた方式なので、「お金さえ掛ければ世界一になれるよな」と思い、そのようなお金を使うことのできる研究者とNECがうらやましかった。その日の晩御飯で同僚とやけ酒を飲んだ。
その会議の最終日、私は少なくとも日本一の新しい方式のスパコンをお金を掛けないで作りたいと思ったのである。新しい方式とは、スカラー方式といい、マイクロプロセッサを多く使うのである。2003年、私達の作ったスパコンは同志社大学に納入が決まり、10月 同志社大学知能情報センターにAMD Opteron Cluster 512 プロセッサシステムが設置された。一瞬ではあったが、11月にAMD Opteron Cluster 512 プロセッサシステムがスーパーコンピューティングサイトTOP500 にて世界第93 位、日本国内PC クラスタ第1 位、AMD Opteron クラスタ世界第2 位になった。NECのスーパーコンピューターに負けたくないという気持ちが、われわれの原動力になったのであった。

同志社大学のスパコン「スーパーノバ」
日本の世界一を超えたのは米国
この時に私が目をつけた競争相手がいた。それがアメリカのブルックヘブン国立研究所(BNL) と日本の理研が共同で行なっていた研究であった。当時、値段の安かったDSPというプロセッサを数万個使ったQCDシステムを考えていた。後にブルックヘブン研究所のメンバーはIBMワトソン研究所に移る。IBMでIBMのパワーPCのCPUをコアにしたカスタムのLSIを作って、同じ考えのスパコンをIBMが作ることになった。これがIBMのBlueGeneである。今、世界中のトップのスーパーコンピュータはこのIBMのBlueGeneが独占している。
このたびの理研のスーパーコンピューターは、このIBMのBlueGeneのもうひとつの流れを正統に汲むものである。そして、それは世界でIBMと理研しかできないシステムである。日本でするならば、理研がやらなくてはならないのである。
経済産業省の配下に産業総合研究所というのがある。ここのスーパーコンピューターの受注を争ったことがあった。われわれは同志社大学という実績があった。敵はIBMであった。IBMは台湾製の部品を安く仕入れて、入札に勝った。私はこのとき、この競争で、まさか産総研がIBMから買うとは考えていなかった。お金のある会社の力にはかなわない。IBMは戦略的な値段で入札を取っていった。産総研のスパコンはその後いろいろなトラブル続きで、世の中には大きなインパクトにはならなかった。お金がいくらあっても実現できないこともあるのだ。
IBMのBluegGeneより早いスパコンは理研が作ることができる
BlueGeneが世界一になってから、ある国立大学の研究所から名指しで呼ばれた。「西さん、IBMのBlueGeneより速いスパコンが作れないか」と聞かれた。「なぜですか?」と問うと、「BlueGeneは32ビットである。できないことが沢山ある。そのうち10年ぐらいしたらIBMは64ビットのBlueGene64を投入してくるだろう。でも、私はそれまで10年間も待てないんだよ。」
このたびの理研のスーパーコンピューターは大体において、このIBMのBlueGeneを64ビットにしたような機械である。理研はこのコンピュータを富士通から買うという意識ではないはずである。理研が作っているという気概があるであろう。これを速やかに実現すれば、数年は世界一がとれる。そしてその後、IBMが必ず取り返すであろう。そしたら日本はまたそれより速いのを作ればいい。
世界の競争のために、日本も世界一を取るのだ
日本のために世界一を取るのではなく、世界の競争のために、日本も世界一を取るのだ。IBMに対抗して、それが取れるのにもっとも近いのは、もともとの兄弟分であった理研だけである。NECも日立も、スパコンを止めてしまった。富士通だけがやってくれている。富士通には日本のために頑張ってもらわなくてはならない。富士通のスパコンは最後の希望ではないか。少しぐらい儲けてもらってもいい。世界一の競争ができなくなれば、一番喜ぶのは米国メーカーである。日本が世界一になるから、その次の競争がある。米国は当分世界一を続けるであろう。しかし、競争はそこで停滞する。
何も知らない議員が、歴史も、経緯も、何も考えないで決めていいのか
1967年生まれの蓮舫議員は1995年に台湾からの帰化日本人である。1997年に双子の子供を生んだときには、日本の国籍になったにも拘わらず、中国風の名前をお付けになっている。家庭的には感覚は中国のひとなのであろう。私はそうは思わないけど、日本のスーパーコンピューターをつぶすために、蓮舫議員のバックは誰で、その生まれた国の意向があるのかなあと思う人もいる。もし、そうだったらビックリだけど・・・。蓮舫議員の問題は、あの席で、大蔵省の生意気な主計官をはるかに超えた、麻生前総理大臣のいう「公開処刑」の検察官のような口のきき方をしたことではないであろうか。蓮舫議員は勘違いしているのではないか。
アメリカの外国系の帰化人は議員であれ一般人であれ、一般のアメリカ人より「アメリカ人である」ということに気をつける。蓮舫議員が、もしアメリカの議員でああいう発言をアメリカ議会の会議でしたら、たいへんなことになるであろう。オバマ大統領が中国シフトのために中国に近い大物を5人も閣僚にしている。ただそれだけでも大騒ぎである。日本はそんなことは、どうでもいいのだ。日本では国益という発言だけで右翼とすら言われたりする。
スパコンを是非復活してほしい
参議院議員や衆議院議員は選挙で選ばれたから議員なので、前歴は関係ないといわれているが、科学技術に全く専門ではない議員や違う分野の学者の発言で、一時間で討ち死にした理研のスパコンは情けなさ過ぎると思うのは私だけではない。仕分けは、ただの仕分けであって、最終の決定ではない。
最終決定は行政刷新会議事業仕分け担当の仙石大臣がこの月末に決めるという。そこでスパコンだけが復活する可能性はないであろう。おそらく仕切りの結果をそのまま認めよと大臣がつめよることになるであろう。工学博士号をお持ちの鳩山総理大臣でも、一人で仕分けの結果をひっくり返すことはできないであろう。そんなことをしたら、周りが反対して大変である。例外は認められないのである。
最後の可能性は2つ
そうすると、復活の可能性は2つしかない。ひとつは、日本郵政の方針が決まったように、仕分け方針を確定させるのは、閣議である。この閣議に文部科学大臣が、しっかりとしたスパコン復活の方針を出し、それに関係する大臣が同意するという閣議決定が必要である。もう一つは、議会の予算委員会である。良識のある議員が予算委員会で発言し、委員会の決義として、しっかりと方針を改めて決めていただくしかない。
もし万一、4年後、8年後に民主党の政権でなくなって、スパコンがもう一度復活しても、それは遅すぎる。回復することは大変であろう。そのときにはスパコンの競争はアメリカと中国の競争になっているだろう。だから、このチャンスを我々は失いたくない。是非、スーパーコンピュータのプロジェクトの復活を望みたい。
文部科学省はパブリックコメントのWEBを作成
まさに、このコラムを送ろうとしていた今、文部科学省のWEBを見に行ったら、パブリックコメントを求める掲示が11月16日付けで出ていた。私のこのコラムに賛成いただける人は、「スパコン賛成」というコメントを是非、文部科学省のパブリックコメントに送って欲しい。もちろん私もコメントを送りたい。文部科学省に送らないで、このBLOGにコメントを付けていただいてもいい。心からお願いします。はっきりとした民意を示すということが、今、我々に求められていると思う。それがないと閣議にも予算委員会にも上げようがない。それが今の私の最後の希望である。






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地道な積み重ねによらずして、一足飛びで目標を達成しようという安易な風潮に、私は大いに危機感を覚えています。確かに産業の軽薄短小化は進んでいますが、その軽薄短小の技術を支えるのが、まさに地道な基礎研究です。
中国の文化大革命よろしく、「国民目線」の名の下に、研究者の地道な研鑽が軽んじられ、科学者や文化人が迫害される現状を大きく嘆かわしく思います。このままでは、中国の文化大革命後のように、国土は大きく荒廃します。
ぜひとも、国士である皆様に再考していただきたく存じます。