日本は本当に「おカネ不足」なのでしょうか?!?! - 前田拓生

2009年11月23日 13:48

ここにきて「デフレ」が問題になり、財政拡大策を模索する中、菅副総理から「日銀にも協力してもらわないと」という話が出ていますね。。。

デフレには「日銀」と思っているようですが、未だに「このような認識なのだなぁ~」とつくづく金融リテラシーのなさを感じます。

ここで量的緩和に戻してみても、銀行は貸出に回さず、有価証券運用や海外投資(今なら中国向け投資など)に使うだけになってしまうでしょうね。この不況期に、しかも、モラトリアム法案があるので「(日本国内の企業に)貸しても戻ってこなくなる」という可能性がある中で、おカネを貸すわけがないということがわからないのでしょうか???


政府は財政政策が手詰まりになると必ず「日銀が悪い」「日銀が何とかすべきだ」というのですが、金融政策の波及経路等をしっかりと見ていってほしいものです。

とはいえ、経済評論家と言われるような人の中には「景気を高めるためには、国債を増発すべき」と唱える人も出てきているようです。しかも、国債の増加には何の問題もなく、むしろ「善」であると考えているようです。というのは、国債増発を行えば、それだけ貨幣量が増加するのだから、デフレの解消につながるはず、というのが理由らしいです。また、極論ではありますが、「1ドル=120円で為替レートを固定にしてしまう」ということを主張する方もいるようです。

国債増発も固定相場制も、要は、自国の貨幣量を増加させれば、自ずと物価が上昇し、それに伴い、景気も回復に向かうという考え方が底流としてあるものと思われますから、菅副総理の話を大差ありません。

つまり、上記の話はすべて「デフレ」を「おカネ不足」と考えていることから出てくる発言なのです。しかし、これらは正しい考え方ではありません。現に今、貯蓄そのものは減少しているものの、個人金融資産残高は1400兆円を超えています。つまり、おカネ自体は世の中に一杯あるのです。「ない」のは「消費として使われるおカネ」がないだけなのです。消費として使われなければ、金融市場だけで動きまわるおカネを増やしても無駄なのです。

このような中で、政府や中央銀行(日銀)がおカネをバラ撒いても、その原資が「将来の“自分”の税金(=「国債」)」であれば迷惑なだけであり、借金はいずれ返済しないといけないわけですから、「政府債務を増やす」と聞けば、その分、貯蓄を増やそうと考えるのが人情です。つまり、国債によって統計上のおカネを増やしてみても「消費として使われるおカネ」が増えないために、状況自体は全く変わらないと考えるべきです。いや、もっと悪くて、将来不安から、さらに多くの貯蓄をしようとするため、景気をさらに冷え込ませる可能性さえ否めません。

政府債務残高がもっと低ければ、国債を発行して、一時的に景気を高めることも「一つの案」としては頷けますが、今の日本では全く意味はないと思います。

では「固定相場は」ということですが、これも基本的に同じです。

というのは、120円/ドルにするために徹底した「円売りドル買い」を行うことになります。しかし、この場合、売るための「円」は特別会計で政府保証債を発行することになりますから、これは基本的に国債の増発と同じです。そして、その資金を使って「ドル」を買いますが、それは金融機関等から買い取ることになるので、結局、国債を増発して金融市場だけで動きまわるおカネを増やすだけになってしまうのです。つまり、統計的にはおカネが増えたように見えますが、「消費として使われるおカネ」が増えないので状況を変えることはできないのです。

とはいえ、確かに「円安なら輸出企業が儲かる」でしょう。でも・・・

日本が「売って儲かる」ということは、他国は「買うことで損をする」ことになります。この不況は日本だけではありません。日本の苦境を何とかするために「円安にして固定相場にする」というのは、他の国に甘えているだけなのであり、世界第2位(または、第3位)の経済大国である日本が行うべき行動ではありません。というか、そもそも、現在のようなグローバルな社会において、非現実と言わざるを得ないでしょうね。

このように不況を何とかしたいのであれば、家計の貯蓄を消費へとかき立てるための政策を考えるべきであり、国債を増発するという“思いつきのような経済政策”ではダメということなのです。

以上から、量的金融緩和、国債増発、固定相場制すべて「悪」ということになりますね。

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