今、本当は「非常に魅力的な相場」なのかも!?  ―前田拓生

前田 拓生

ドバイショックによって円高が進行し、日経平均は大きく下落しています。まぁ、日本だけが安いわけではなく、どの国も“似たりよったり”の株価水準ですから、ここから投資をするのであれば、最も成長率の高そうな国(例えば、中国やインドなど)を選び、その国の産業から銘柄を選ぶのが効果的なのかもしれません。そうすれば「将来」ここで仕込んでおいた株式等が「大輪の花を咲かせる可能性が高い」ので、現在の低水準の株式市場は「非常に魅力的な相場である」と考えることもできるわけです。

つまり、難しい時代ではありますが、逆にいえば、このような時こそチャンスであり、勉強の甲斐がある時代ともいえます。

とはいえ・・・


成長率が高い国、例えば、BRICs諸国などから選ばないと「ダメ」ということではなく、場合によっては新興国よりも「綺麗で大きな花を咲かせてくれる“株”」が日本市場にもあるかもしれません。将来のことですから、これだけは全くの未知数です。そういう意味では「右も左もわからない外国の企業」を探すよりも、身近でよくわかる日本の企業をじっくり研究し、この「100年に一度」といわれる“チャンス”を活かせば、予想以上の成果が上がるかもしれません。

というわけで、ここでは(別に外国市場でもいいのですが・・・)、日本人にとって身近な「日本市場をターゲットとして銘柄選定を行う」とした場合のことを考えてみましょう。本来、このような大きな下げの後に、いち早く上昇すると考えられているのは、一般的な代表銘柄(いわゆる、ブルーチップ銘柄)であるというのがセオリーです。

実際、ちょっと前までの「日本」であれば「優良」といわれる銘柄を「景気の谷」で買い、そして、しばらく保有し続ければ、それなりに上昇し、それなりに資産形成がなされていたのは事実です。しかしそれは、いつまで経っても日本の産業構造が変わらず、輸出中心にあらゆる産業が組まれていたからといえます(「優良銘柄」と言われる銘柄のほとんどが輸出産業に属する企業です)。

ところが、このリーマンショック以降の金融危機によって日本の産業構造は、「輸出主導型」から脱却する可能性が高いと思われ、また、そうでなければ、各国主要国の経済状態が本当に良くなるまでは、日本企業としても輸出で実績を高めることができないことから、従来型の優良銘柄が「いの一番に相場をけん引する」という可能性は低いように感じます(これは全くの私見ですから、実際の銘柄選定はご自身でお願いいたします)。

そういう意味では、今までの経験則を一旦クリアにして、今後10年、または、20年先を見据えた時に「何が起こっているか」を考え、それによってプラスになる業種から企業(銘柄)を発掘する必要があると考えています。

では、「それ(銘柄)」は何???スイマセン、ご自身で研究してください(汗)

とはいえ、日本国内の企業群の中から長期的な観点で銘柄を選ぶには、今が「最適な時期だ」と思います。なぜなら、日本のような(成長力の乏しい)先進国の中にある企業の場合、新興国並みのリターンを得ることができるのは、実はこのような混乱期をおいて他にないからです。そういうことから、この時期に「買って、少し長めに(10年、とか、20年)持つべきだ」と思いますし、また、そういうスタンスで銘柄を選ぶとすれば、今がチャンスだろうと思います。

しかし現在、非常にボラタイルな(つまり、「変動の激しい」)相場ですから、買ってから「すぐに下落」ということも考えられます(しかも、大幅に下落することも少なくありません)。

そういう意味から「将来(例えば10年先に)は非常に有望である」と思っていても、全体の相場が下落方向に推移するのであれば、ほとんどの銘柄は全体と同じように下落方向に推移することが多いものです。そうなるとなかなか安心して「バイ&ホールド(買って、保有)する」ことは難しくなってしまいます。買って下落すると、「目先ではない」と心では思うものの、現実の相場を目の前にすれば、このまま「奈落の底に落ちてしまう」ような気持ちになってしまうのが人情というものです。

このような場合「新聞」「TV」「ネット」などにおける“株”に関するものは「一切見ない」というのも一つの方法であり、一般に「塩漬け」といわれる状態にしておくのが、もっともポピュラーなやり方といえます。しかしこれだと、ただ資産の目減りを「指をくわえてみている」ということであり、何とも不甲斐ない気分になります(いくら「10年先には上がる」と信じていても・・・)。

したがって、例えば、先物・オプションなどのデリバティブといわれる商品を駆使すれば、「下げ」方向による損失を軽減することが可能になります。

個人投資家は、一般に、株式・投資信託などの金融商品を“保有する”ということによって資産を形成しようとします。したがって、どうしても「下げ相場」に対してネガティブな構造になっています。しかも、今後、日本を含めて先進国の株式相場というのは、おそらく超長期の罫線を引いたとしても「単調な上昇」にはならないと思われます。つまり、「保有し続ける」というだけの戦略では、資産を十分に“増やす”ことはできなくなる可能性があるといえます。

それは、如何に「良い銘柄」を発掘し、購入しても、全体相場が下落する中では一般にマーケットに引きずられて下落し、本来の「銘柄の良さ」を活かすことができなくなるかもしれないということを意味します。ということは「バイ&ホールド戦略のまま」では、自分の資産価値を増加させることはおろか、保全すらできなくなる可能性さえあるといえます(これはポートフォリオをうまく組んだとしても、全体が下落すると、うまく機能しなくなるからです)。

このように、長期にわたって一本調子で右肩上がりに上昇するような成長国であればいざ知らず、日本のように成熟しきった国で資産形成を行う場合には、臨機応変な対応が必要であり、特に「相場が下落する」と予想される時には、マーケットの変動に対して「中立(ニュートラル)」にしておいて、本来の銘柄の「良さ」の部分だけで勝負をするという戦略なども考える必要があることを意味します。とはいえ、そのような戦略を組むには、どうしても「先物・オプションの知識」が欠かせないものになってしまいます。

現状、日本では小泉・竹中政権によって金融の自由化・規制緩和が急速に進み、90年代に比べて飛躍的に先物・オプションが使いやすい状態になっていることから、個人投資家でも少額でいろいろなことができるようになっています。

したがって、先物・オプションは短期(投機)と考えるのではなく、これらの知識を駆使することで「長期運用をする」という考えも重要だと思います。とはいえ、当然、「銘柄の選定力」は一番重要ではありますが・・・。

コメント

  1. knjhzw より:

    一個人投資家ですが、もうしわけないのですが、おっしゃりたいことがよくわかりません。

    現物の長期保有のヘッジのために、先物・オプションを使えということをおっしゃりたいのでしょうか。そもそもこれらをやったことありますか?

    それとも長期保有の運用と切り離して、先物・オプションで短期的なトレーディング収益をねらいなさいと言っているのでしょうか?

    投資スタイルはそれぞれなので別にどの方法が優れているとか悪いとかはないと思いますが、長期保有で塩漬けにしておき、株式市場から離れろと主張しておきながら、レバレッジがかかることから、短期的な市場の変動でおおきく損益が動き、場合によっては追証が発生するという先物・オプションをあなたの主張するような長期保有のスタンスで運用することは非常に危険な行為だと思います。

  2. 前田拓生 より:

    knjhzwさん、コメントありがとうございます。

    おっしゃるとおりですね。
    少し端を折ってお話しいすぎかもしれません。

    私としてはせっかく見つけた成長株を、市場の乱高下で売るのは勿体ないと思っています。なので、ベータを計算し、もし、全体が下がるような場合には、オプションでも、ミニ先物でもいいから、売ればよいと考えているだけです。

    そうすることによって、成長株をいちいち売る必要がなくなります。