民主党は小泉改革を継承せよ - 池田信夫

2009年12月16日 08:23

政府が成長戦略策定会議を年内に開き、「過去の失敗に学ぶ」ために竹中平蔵氏からヒアリングするという。ずいぶん失礼な話である。日本経済を建て直したのが誰だったのか、株価を見れば明らかだろう。


竹中氏が小泉政権の経済財政・金融担当相に就任した2002年は、日本経済のどん底だった。信用不安が続き、不良債権は底なしで、日経平均株価は2003年の3月にバブル後最安値の7054円をつけた。しかし株価はその後、急速に回復し、小泉氏が退陣した2006年までに2.5倍になったのである。世界の投資家が「日本は改革によって成長力を回復する」とみたからだ。ところが、その後の自民党政権で改革が後退すると、株価も成長率も低下し、民主党政権になってさらに下がった。失敗したのは民主党である。

民主党は、総選挙で「小泉改革で格差が広がった」と宣伝し、郵政民営化反対や派遣労働の規制強化など、「反小泉」の政策を掲げた。それは選挙向けのスローガンとしてはやむをえなかったかもしれないが、政権を取ってからもそのスローガンに自縄自縛になり、「官から民へ」という党是に反する郵政国有化を行ない、その社長に天下り官僚を据えるに至った。これは自民党でさえ「国家社会主義」と批判する支離滅裂な政策である。

実際には、成長戦略を策定する国家戦略室(来年度から局)は、小泉政権の経済財政諮問会議をモデルにしたものだ。民主党内にも、小泉改革を継承すべきだという若手は多い。それなのに、鳩山首相と菅副総理が反小泉にこだわっているため、いまだに規制改革という言葉さえ出てこない。「大きな政府」は否定するが、「小さな政府」をめざすともいえない。明確な理念がないため、すべて中途半端で混乱した政策になってしまう。

日本が成長力を失い、「失われた20年」の長期停滞に陥った原因は明白だ。発展途上国から先進国に急成長する時期に適応した政治経済システムが、成熟した経済に適応しなくなっているのに、いつまでも昔のシステムを延命しているからである。大きな政府から脱却して民間の自立をうながす改革は、1980年代に多くの先進国が行なったものであり、小沢一郎氏が細川政権で掲げたのも小さな政府だった。

ところが非自民連立政権が1年未満で倒れ、政策の対立軸がないまま15年が空費されてきた。その中で唯一、小さな政府を志向したのが小泉政権だったが、その後の自民党政権が元に戻してしまった。だから民主党がやるべきなのは、反小泉という空疎なスローガンを繰り返すことではなく、小泉改革の成果を再点検して、やり残した改革を継承することである。財政破綻の淵に立っている日本がこれ以上、大きな政府になることは不可能なのだから、とるべき政策は小さな政府をめざすことしかない。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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