誰の「いのちを守る予算」なのでしょうか?! ‐前田拓生

2009年12月26日 15:14

2010年度予算案が閣議決定されました。一般会計の総額が、過去最大の92兆3,000億円、国債の発行額が44兆3,000億円ということですが、国債増発は「何とか“44兆円くらい”におさまった」ということで、鳩山首相は「うまくいった」という認識のようです。予算“案”とはいえ、与党が衆議院で過半数を持っているので、国会でいろいろとあっても、おそらく、通過することになるでしょう。


この予算を鳩山首相は「いのちを守る予算」と称しています。「子供は社会で育てる」「コンクリートから人へ」ということをこの予算に込めているということを示しているのでしょうが、単に、政府自身が「生活関係予算の増額には苦労した」ということを物語っているようにしかみえません。

ここで「生活関係予算を充実させた」というのは、報道を聞く限り、かなり苦心があったように思いますし、それはそれなりに大変だったということなのでしょう。ただ、これはどのような位置づけなのでしょうか。景気浮上につながるようには感じられませんし、福祉政策という意味では中途半端で「バラマキ」という印象を否めません(福祉目的であれば、もっとターゲットを絞る必要があるように思います)。とはいえ、これは経済政策でも福祉政策でもなく、「社会政策」ということらしいので、景気浮上とは切り離すべきなのだという議論もあるようです。でも、だとしたら、この不景気の折、しかも、政府債務残高が最高に積み上がっている“今”、どうしてもやらないといけなかったことなのでしょうか。

社会全体を変えていくためには「やれることからやっていく」という姿勢が大切なので「子育て支援や公立高校の無料化を行う」ということのようですが、実際、借金を増やしてまで行うとなると、その返済は“当該子供(将来の納税者)”が払うことになるのですが、それでいいのでしょうか。「子供は社会が育てる」と言いながら、結局、次世代におんぶに抱っこということでしかなく、将来的に「税金は高くなるし、年金負担も高くなる」わけであり、次世代の方々に喜ばれる政策とは思えません。端的に言えば、「次世代に負担を高めただけ」のシステムであるようにしか思えません。

どうすれば「子供は社会で育てる」ようになるのか、という問題は、国家システム全体に関わる問題でもあるので、とりあえず「おカネを配ってみる」というのでは問題があると思います。おカネを配るなら、せめて恒常的な財政手当ての“目途”くらいはつけてから行ってほしいものです。その点を一切無視して予算化したというのは、この内閣として“実績”に目が眩んだとしか思えません。

鳩山首相は「これ以上、政府債務残高を増やすのは問題だ」という趣旨の話を選挙前には言っていましたよね。

今回は「税収不足が予想以上だった」ので「今回は違うのです」ということらしいのですが、「何が」「どのように」“違う”のかという点が見えません。税収が不足しているのであれば、無理に「子育て支援」や「公立高校の無料化」を行う必要はなく、税収を確保するための手立てを先に考えるべきではないでしょうか。

そのような手立てが見えないのであれば、景気浮上策としての経済対策、および、セーフティネットとしての福祉政策に“今”は注力し、その間に、社会政策の基本的な国家戦略を深く議論するということで政策運営を行うべきだと思います。現状の民主党が掲げる社会政策についてのコンセンサスは「政府債務を増やさない」という合意のもので形成されたものであり、財源的な問題がクリアになっていないのであれば、仕切り直しも含めて、大いに議論を行ってほしいと思います(総選挙を「行う/行わない」は別にしても)。

まぁ、とりあえずは「政府債務残高を増やすのは問題」と言っていた時と“今”で「何が」「どのように」“違う”のかという点を丁寧に説明してほしいものです。

これは「秘書の行動は国会議員の責任」と言っていた話しにもつながるように感じます。今回は利権に絡む問題ではないので「今までとは違う」という説明でしたが、果たしてそうなのでしょうか。今回は「利権」とは関わりがなかったようですから、確かに「その点では違う」とは思います。でも、国会議員が知らない間とはいえ、秘書がやったことには違いないのであり、それが“法律”に抵触するのであれば、その責任は当該国会議員が負うべきでしょうね(利権以外であれば、法律に抵触しても許されるという理解は難しいように感じます)。それは「おカネ(延滞税など)」で済ませるのではなく、道義的な責任の取り方というものを考えなければならないように思います。

話が少し脱線しましたが・・・

民主党のマニフェスト実現には財源的な問題があることは“政権奪取の前”から言われていたことです。しかし民主党の皆さんは「大丈夫、財源は必ずある」と言い続けてきました。財源なき政策は「絵空事」であるはずが、財源の(目途さえ)ない中で実行してしまっているのであり、それは金融リテラシのない多重債務者と同じです。

借入は計画的に!!

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