PIIGS諸国と日本の財政について  ‐前田拓生

前田 拓生

現在、ギリシャの財政問題がユーロ圏各国にも波及し、「PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)問題」といわれるほど大きくなってきています。そのため、ユーロは対円、対ドルで下落をしています。シカゴIMMでもユーロは対ドルで大きなショートポジションになっています。

でも、よく考えてみると、日本の財政の方が余程問題であり、政府債務残高だけでいえば、円が一番安くて良いことになります。

まぁ、極東における小国の通貨の推移などは「世界的に問題ではない」といえば、そうかもしれませんが、それにしても「財政問題」を抱えている割に「強すぎる」ように感じます。その意味ではもう少し円安でも良いのかもしれません。

とはいえ・・・

自国に通貨発行権のないPIIGSの財政問題と日本の財政問題とは基本的に違いがあるので、日本はもっと財政を悪化させても大丈夫という話をしている人がいます。また、財政が悪化し、政府が返済できないのであれば、日本銀行が国債を買取、それを償却させれば済むので、今、政府が行うべきことはインフレに戻すべく、ドンドンと財政支出をすることが肝要という話もあります。このような話をする人を「リフレ派」と称するようです。

かなり大胆な話ですが、基本的な部分に誤りがあるように感じます。まずはこのようなリフレ派の人たちの言い分を見てみましょう。

「自国に通貨発行権のないPIIGSの財政問題と日本の財政問題とは基本的に違う」という点ですが、これは確かにその通りです。PIIGSの場合、政府債務が多額になれば、その返済のために「増税」が必要になり、政府の基盤が揺らぐことになります。また、当該国の国債がデフォルトになった場合も同じで、ともにユーロという通貨の「リスクプレミアム」を上昇させるため、ユーロ安になってしまいます。

他方日本は、通貨の発行権を「日本銀行」という「国」の機関が持っています。したがって、アコード(政府と中央銀行の協調)が組めるのであれば、直接・間接により違いはあっても、日本国債を日本銀行が買い取り、日本銀行の資産とすることは可能です。つまり、政府の財政を賄うために、日本銀行が通貨発行するわけですから、理論的は無限に国債発行が可能になります。

このように日本は、PIIGS諸国とは違い、自国通貨の発行権が自国内にあるので、政府の返済に問題があっても(理論的には)永遠に借り換えが可能なので、日本はPIIGS諸国のようにはならないということなのでしょう。また、通貨発行増によって多少円安になっても、それは輸出増を誘発するので、貿易黒字の増加によって景気に対してプラスになるので「悪いことではない」と考えている節があります。

以上から、日本は今のような「不況」を脱出するために、今以上に、政府がおカネを使うことで、または/かつ、日本銀行ももっと大胆な量的緩和を行うことで、市場におカネをばら撒けば、それがけん引してインフレになるというのが上述の考える筋道のようです。

ところが、大きく2点、誤りがあるように思います。

まず、「政府の返済に問題があっても(理論的には)永遠に借り換えが可能」という点ですが、日本国債は低金利とはいえクーポンがあるので、借り換えを続ければ、雪だるま式に増加することになり、サスティナブル(持続可能)ではなくなります。つまり、いくら「増税をする」といっても限度があるので、最終的には返済ができなくなることを意味します。返済できない「借金」を認めることはできないので、それが「可能である」という考え方は誤りということになります。

そして、上述との関係もあるのですが、2点目として、「円」という通貨の市場価値のことを全く考えていないという点です。

通貨を発行すればするほど、世界的に見て、当該通貨が希薄化するため通貨価値が下落することになります。また、通貨は現在、金本位制の時代とは違い、何の担保もありません。「ある」のは「中央銀行(資産)に対する信頼」だけですから、もし、日本銀行が保有している国債を「償却する」となれば、日本銀行の資産が毀損することになるため、「中央銀行(資産)に対する信頼」は大きく低下することになり、円は暴落することになるでしょう。

「市場」というモノはバリューに対して冷淡な判断をするとともに、投機的な動きを伴うことから、上述のように日本銀行の資産を毀損するような政策が行われれば、食糧・エネルギーを輸入することさえ不可能になるくらいの円安になる可能性は否めないのです。市場の怖さを知っていれば、これを「非現実」とは思わないはずです。

まぁ、その前に日本国債利回りが考えられないくらいに上昇し、日本経済に大きなダメージを与えることになるでしょうから、「財政を拡大させる」などということは出来なくなるとは思います。「だから、量的緩和」というリフレ派の人もいるのでしょうが、円という通貨価値を毀損させるだけであり、資金需要がない社会においては、全く意味を成しません(しかも現在、日本銀行はかなり大胆な金融緩和策を行っています)。

今、「円安にならない」のは、世界の市場関係者が「日本人は所得も十分あり、近い将来においては増税がある」と思っているからだと考えられます。つまり、「増税をしてもサスティナブルでない」と考えられるような状態になった時に本当の危機になる可能性があるということなのでしょう。

インフレになることは望ましいことはわかるのですが、といって「こうすれば簡単にインフレになる」という非現実的な方法を、さも「正しい」と吹聴するのは如何なものかと思っています。

コメント

  1. wonder_opportunity より:

    リフレ派は日本国債利回りが世界的に見て極めて低いことから、『もっと市場に金をばらまき、国債発行額など気にしなくてよい。まずは景気回復だ』と考えている側面があると思われます。亀井さんがそうですね。
    私もこの考えは少し大雑把なように感じます。
    が、先生のお考えだと、国債発行額を増やしたら円が暴落するという理屈になりますね。
    では、欧米並みの国債利回り水準まで引き上がる程度に国債を増やすというのはいかがでしょうか?

  2. 前田拓生 より:

    コメントありがとうございます。

    >欧米並みの国債利回り水準まで引き上がる程度に国債を増やすというのはいかがでしょうか?

    この点ですが、まず、そもそも日本は「国債を発行しすぎている」という問題があるので、すでにこれ以上は発行すべきでないと思っています。つまり、いつ金利が上昇するかわからない状態にあるということであり、「ある一定の水準になる程度」という域をはるかに超えているとみたほうがいいでしょう。

    その上で・・・

    市場で「この程度になるくらいに誘導」というのは、基本的に無理があります。リフレ派という人の多くは「市場原理主義」と言っている割に「市場」を知らないようですが、市場という生物は人間が思うようには動いてくれません。「動かしている」ように見えても、それは市場が勝手に動いているだけであり、決して人為的に云々できているのではありません。

    今、金利が低いのも、円安になっていないのも、市場がそう決めているだけであり、「だから大丈夫」という種のモノではありません。

  3. martyjapan より:

    >しかも現在、日本銀行はかなり大胆な金融緩和策を行っています)。

    ですね。

    国債を発行したら?いや金利を上げたら?じゃなくて下げたら?という議論には限界がありそうですね。

    その前に、そもそも金融政策がどのくらい景気に(良い)影響を与える力があるのか?を疑わないといけませんね。

    (主) 市場 > 政治 > 金融 (従)

    ・・・みたいなイメージですかね???

    主たる市場を無視して(=資金需要がない状況のまま)、金融政策を下手に歪ませれば、歪ませる分だけマイナスの影響が大きくなる可能性は高いですよね。

  4. takarayui より:

    勉強になります。

    >今、金利が低いのも、円安になっていないのも、市場がそう決めているだけであり、「だから大丈夫」という種のモノではありません。

    定期預金のつもりで外貨預金をやっています。
    じりじりと円高になり、ドルを売れない状態が続いています。
    日本国内の景気がこれだけ悪くなっているのに、
    (しかも長期にわたって)
    どうして円高になるのだろうと、いつも疑問に思います。

  5. 前田拓生 より:

    martyjapanさん、ありがとうございます。

    >金融政策を下手に歪ませれば、歪ませる分だけマイナスの影響が大きくなる可能性は高い

    その通りですよね。そこがリフレの人たちには通じないようです(汗)

    経済は「実験できない」といっても、だから「理論で考えるしかない」ということで、頭でっかちな政策を出して「ほら、こんなに簡単」と言っているようにしか思えません。

    takarayuiさん、ありがとうございます。

    >どうして円高になるのだろうと、いつも疑問に思います

    現状、いわゆる「不美人投票」によって「円高」という感じですね。

  6. つっきー より:

    現実的に今、国債の発行を60年ルールによる借り換え以外で極限まで絞るとしたらどうすればいいのでしょうか。そしてそうしたときは日本の通貨はどう動くのでしょうか。国債の金利はどうなるのでしょうか。
    既に議論はそのレベルで具体性を持って考えるべきときに来ているような気がします。
    たとえば、まずは国、地方の立法機関の議員を一律に1/3にカットして給与や手当を1/4に。次に国、地方の公務員に早期退職勧告をして人数を1/2に揃わないときは解雇もやむを得ないでしょう。また賞与は全額カットして給与は2/3にする。人員を減らした分、いわゆる福利施設などはほとんど閉鎖で、かなりサービスも悪化するしかないでしょう。行政サービスは最低限にするしかない。また医療費負担を6割負担とし、高額医療費の自己負担上限を100万円程度に引き上げる。消費税を30%に引き上げる。そしてキャピタルフライトを避けるために一度に海外に持ち出せる現金を一人100万円にし、海外送金も一回50万円までにする。また国有地売却や年金積立金を取り崩して政府支出に当てる。
    このくらいすればなんとか持続可能なレベルに財政は落ち着くんでしょうか。またこれだけの緊縮財政案を果たして日本国民は受け入れられるのでしょうか。受け入れられないならどの程度なら受け入れられるのでしょうか。
    仮にほとんど受け入れられないなら、もう残された道はもうないということでしょうか。

  7. wonder_opportunity より:

    ご回答ありがとうございます。

    国債はもう増やせないレベルまできているのに、他の先進国より利回りが低いのは市場が生き物だから、あるいは他国と比べた不美人投票だから、という理屈では何か途中の論理をはしょっているようで腑に落ちません。

    また、第2の視点として国債の質が挙げさせて下さい。
    日本国債はそのほとんどが日本国内で扱われています。日本が今持っているアメリカ国債を全て投げ売りしたら、第二次太平洋戦争が起こるかもしれませんね。そういった意味で日本国債は投げ売りされる心配が少ないので、国債をもっと増やして国内の景気を刺激すべきだ、とリフレ派(というよりネトウヨ)は考えています。

    この点につきましてはいかがですか?

  8. 前田拓生 より:

    つっきーさん、コメントありがとうございます。

    懸念はごもっともですし、現状、そのくらい悪いとは思います。ただ、経済を破壊するのは問題ですから、市場と対話しながら政策をする必要があります。その場合、市場は「増税を予定している」ようなので、それを根拠に国債残高は発散しないと予想し、経済破綻の状態は起こらないと考えられます。

    したがって、どの道、増税は実施しなければならないので、国民生活にとって最も活かされるであろう税金のあり方などを根本的に見直し、その結果としての増税になるよう期待しています。当然、その増税によって国債残高が収束されなければなりませんが・・・

    wonder_opportunityさん、再コメントありがとうございます。

    ここは米国との関係だけではなく、資源国などの通貨に対する方が問題だと思います。米国は「出口戦略(過剰流動性の収縮)」に入ろうとしているので、日本よりもましではありますが、それでも米国もかなり財政的に問題なので、ここでの比較はどこまでいっても「不美人投票」にすぎません。

    問題は資源国通貨などに対して円が大きく下落すれば、大変なことになるということです。したがって、米国債との関係は全くナンセンスです。

  9. disequilibrium より:

    経済への悪影響は、増税よりも、歳出削減の方が、小さいのではないのでしょうか。(減税の乗数効果)

    それならば、増税は行わず、歳出削減のみ行うのが合理的ではないかと思います。

  10. つっきー より:

    回答ありがとうございます。

    増税の前に、何よりも今民主党に求めたいのは、国会議員の定数削減と給与や手当の大幅減額です。その次に歳出削減のために公務員の人件費や行政サービスの削減、社会保障費の抑制を経て増税議論に踏み込めるのではないでしょうか。

    今行政と立法機関に対する無駄遣いの風当たりは非常にきついです。だからこそあれだけ事業仕分けがその対象分野の人から酷評されてても国民からの支持が高いのではないでしょうか。

    とすれば今現在の国の支出を最低何%カットしなければならないのか、そして増税をどの程度すれば、歳出抑制とあわせて国債残高の収束が可能なのでしょうか。既に事態は具体的な金額の話にまで持って行く必要があるような気がします。

  11. wonder_opportunity より:

    ご回答ありがとうございます。

    資源国通貨が最も影響を受けるのは現時点ではアメリカ経済ですよね。それを切り離して考えるという論理の土台が私にはどうも理解しかねます。

    専門家ではありませんので、不勉強による誤読かもしれませんが、

    日本国債を増やすことが資源国の通貨高を招き、それは日本政府が歯止めをかけられるものではないというシナリオであるのならば、それは想定されるリスクシナリオのひとつに過ぎず、他のシナリオと比べた優位性があるとは思えません。
    よってリフレ派の論理を上回る説得力がある論理でもありません。

    誤読や不勉強でしたらどのあたりがそうなのかご指摘下さい。

  12. sagavinland より:

    初めてコメント致します。
    経済が専門じゃない後輩と財政について話したらネットでテンプレになってるBSの話しをし始めてびっくりしました。現実には思った以上にリフレは支持されてるのかも知れません。リフレを支持するのは結構ですが、リスクが顕在化したときの影響の大きさも言及して欲しいです。民主党は税制改正で特会を組み替えるといい一部マスコミも支持してますが、特会は特定の産業などのために一部の人が負担しているもので、会計に余裕があるのだったらその分減税をするのが大原則だと思うんですが・・・
    まあ、ほとんど年金などの社会保障財源などで手がつけられないでしょうけど

    >wonder_opportunityさんへ
    >資源国通貨が最も影響を受けるのは現時点ではアメリカ経済ですよね。それを切り離して~
    これだとアメリカと日本が同質であるという前提が必要になりますよ。アメリカは赤字を国外からのフロー(投資)で補ってます。またそのフローを呼び込める土台があります。
    >他のシナリオと比べた優位性があるとは思えません。
    よってリフレ派の論理を上回る説得力がある論理でもありません。
    これは他のシナリオを提示も、そのリスクを比較もしてない以上証明にはなってないかと

  13. 前田拓生 より:

    sagavinlandさん、ありがとうございます。

    >特会は特定の産業などのために一部の人が負担しているもので、会計に余裕があるのだったらその分減税をするのが大原則だと思うんですが・

    その通りですね。でも、マニフェストで戦ってしまったので、後には引けないという感じなのでしょう。

    とはいえ、本日の記事では「子供手当は満額できないかも」という主旨の発言が首相から出たようです。漸く「国の財政」と内容がわかったのかもしれません。少し遅い感がありますが、一旦、マニフェストも見直して、真っ当な財政運営に切り替えてほしいものです。

  14. 前田拓生 より:

    wonder_opportunityさん

    sagavinlandさんからもコメントをしていただきましたが、「他のシナリオと比べた優位性」という場合の「他のシナリオ」の意味がわかりません。

    日本は食糧・エネルギーのほとんどを輸入に頼っています。海外進出をし、外国に工場を持って営業をしている企業はともかく、国内のサービス産業は「円」との関係で生きているわけですから、円の価値が低下すれば、コストプッシュ・インフレが起こる可能性が否めないわけです。

    これは通貨との関係ですから、量的緩和でも、国債の増発でも、世界市場において円は希薄化するので、相対的価値としての円相場は「円安」になるわけです。それが、今、現実化していないのは、現状、銀行を中心とする金融機関の金融仲介機能がマヒし、また、海外経済も良くないので、外に円が流れ出していないからと考えられます。また、海外勢も「日本人は所得が高いので、そのうち増税がある」と思っているので、あえて売らないだけでしょう。

    しかし、いつおかしな方向に動くか分からない位に危険な状態だという話をしているのです。

  15. wonder_opportunity より:

    他のリスクシナリオについて。

    国債を増やすことが新興国通貨高いに直結するというシナリオだけではないという意味です。

    1,国債増やす→日本失望売り→先進国通貨高で円一人安

    2,国債増やす→そのとき他諸国もっと財政悪化→日本の預貯金がまた注目される→円高続く

    3,国債増やす→国内需要増加→需給ギャップ縮小→景気上向く→時を見て増税(これはリスクシナリオではないか)

    つまり市場が生き物ならば、国債が増えることによって円安を生むのは必然ではない。

    よって先生の論理も、3のようなリフレ派の論理もどちらが優位と言えるものではないと感じました。
    何度もご説明頂きありがとうございます。

  16. 前田拓生 より:

    1.は問題ないですね。

    2・は「他国も財政赤字が続く」というのは日本が考えることではないし、「他がやるからいい」という種のモノでもありません。また、輸入しなけらばならない国が健全であれば、やはり大きな問題になります。

    3.は政府債務残高がサスティナブルな状態のときにいえることであり、そうではない、今の状態では先に「金利」が上昇し、経済を破壊する可能性があるから問題です。

    これら1・2・3については、本文を読んでいただければ、ある程度は理解できる内容だと思いますが・・・汗

  17. wonder_opportunity より:

    3について
    前々のコメントでも書いた『国債の質』に関する私のコメントがスルーされているので、もう一度。ここはリフレ派の論拠となっている部分ですから。

    日本国債は圧倒的に利回りが低い。これはどの先進国よりも国債の信頼が高いことを意味する。さらに国債のほとんどが国内の民間企業や公的機関が持っているため安定性も高い。リーマンショックがある前もあった後も、日本国債はずっと低利回りである。

    これはリフレ派の論拠です。

    リフレ派と先生の違い

    先生:今以上の国債発行により国債利回りは上がり、さらに円安・新興国通貨高、原材料の高騰などの危険性がある

    リフレ派:上記のような理由で日本国債の利回りは大して上がらない。ハイパーインフレや超円安にもならない。それよりも国内需要を増やしてデフレ脱却のため国債を増やそう。

    どちらの論が正しいのか?経済と教育は実験できないからわかりませんね。

    けれど、リフレ派の論拠に傷をつけずに『リフレ派は経済音痴だ』とのたまう経済学者が巷に少なからずいることに私は???と感じます。

  18. 前田拓生 より:

    >リフレ派の論拠に傷をつけずに『リフレ派は経済音痴だ』とのたまう経済学者が巷に少なからずいることに私は???と感じ

    確かにここの部分は私自身も反省すべき点があると思います(汗)

    ただ・・・

    もう説明は省きますが、これ以上の量的緩和は日本経済にとって意味はない、というよりも、むしろ経済変動のボラティリティを高めるだけですし、財政拡大も厳しい状態になっています。それでも「大丈夫」というのは理解しがたいところです。

    なお、「危ないというならデータを」という人も多いのですが、経済は時代や状況、他との関係が、常に一様ではないので、「今大丈夫」というデータがあっても、だから大丈夫とはいえないのです。

    理論的に「リスク」があるなら、そのリスクを埋める対策をしなければ実際に使える政策にはなりません。それにも関らず「やっちぇえ」という意見には、反論しても仕方ないなと思うようになりました。

  19. bakaweb より:

    >日本国債は圧倒的に利回りが低い。これはどの先進国よりも国債の信頼が高いことを意味する。
    まず、「圧倒的に利回りが低い=信頼が高い」は早計すぎると思います。
    GDP比で約1.6倍も政府債務があるのに、長期金利が1.3%ほどと低い。他の国を見ても、3%~5%なので、日本は『異常』に低い状態です。

    >さらに国債のほとんどが国内の民間企業や公的機関が持っているため安定性も高い。
    国内で90%以上ですが、そのうち公的機関は約50%持っています。残りは私企業等ですから、国債の価値が下がれば売るでしょう。

    また「国債発行でインフレ」というのは、日銀総裁も量的緩和の効果で「金融システムの安定維持には大きな効果があったが、物価押し上げの効果は非常に限定的だった」と言ったように、簡単な話ではなく眉唾物です。

    なので、リフレ派の論拠に対しては、
    ・国債は異常な状態であり、安定性が高いとは言えない
    ・国債出しても、流れるお金の量が増えない可能性が高い=大きな効果がない。
    ・国債発行は、発行されている国債の価値を下げるので、危険性が増す。
    根本は、国債の今の状態が「異常」なのか「安定して良い状態」なのかの認識ではないのでしょうか?

  20. 前田拓生 より:

    bakawebさん、コメントありがとうございます。

    >根本は、国債の今の状態が「異常」なのか「安定して良い状態」なのかの認識ではないのでしょうか?

    確かに。お見事!!

  21. wonder_opportunity より:

    >根本は、国債の今の状態が「異常」なのか「安定して良い状態」なのかの認識ではないのでしょうか?

    >確かに。お見事!!

    私も右に同じです。

    最後に・・・今回のやり取りと関係のあるニュースを張っておきます。

    私としては、このような視点が日本の右寄りの方から出るのではなく、海外メディアから見られたことが興味深いものでした。

    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2750