「官主党」に変質した鳩山政権 - 池田信夫

池田 信夫

今国会に提出される「郵政改革法案」によれば、郵政民営化路線を放棄して政府が1/3以上の株式を引き続き保有し、ゆうちょ銀行の貯金受け入れ限度額を現在の1000万円から2000万円に引き上げ、かんぽ生命の限度額も2500万円に引き上げ、消費税も免除するという。民主党は、「官から民へ」という立党精神とは逆の「官主党」に変質したようだ。


小泉政権の郵政民営化に問題があったことは事実である。資金量が300兆円近い「国営銀行」をなくすことは望ましいにしても、それを「スーパーメガバンク」にすることは、ただでさえオーバーバンキングといわれている日本の金融市場をさらに歪めるのではないかという批判もあった。この場合、ゆうちょ銀行の限度額をかつての300万円の少額貯蓄に戻して本人確認を厳格化し、官製金融を縮小することが望ましい。

ところが今回の「改革法案」はこの逆に、郵政を肥大させて国営化するものだ。これには需給の悪化している国債を郵貯が消化するねらいもあるのだろう。いわば郵貯の「第二日銀」化である。日銀法で独立性が保証されて政府のいうことを聞かない日銀の代わりに、放漫財政の赤字を埋めてくれる「貯金箱」をつくろうというわけだ。

その建て前は、かつて郵政族議員が小泉改革に反対したときと同じユニバーサルサービスだが、これは最終的には不採算地域の赤字を税金で埋めることを意味する。地方に無駄な税金をつぎ込み、その赤字を郵貯による国債引き受けで支えるという点では、一貫しているともいえよう。その結果は、金融社会主義の支配による日本経済のさらなる長期停滞である。

鳩山政権のでたらめな政策にはもう驚かないが、ここまで来ると内閣として機能していないといわざるをえない。もともと社会主義者である亀井金融担当相はともかく、原口総務相まで郵政国営化案に賛成したことは言語道断だ。このまま日本が社会主義化すると、財政破綻のリスクはさらに大きくなる。鳩山政権を倒さないと、日本が倒れるのではないか。

コメント

  1. susumu_2009 より:

    1998年4月27日付けで公表されている民主党の基本政策には、「金融  裁量行政から決別し、金融機関の自己責任と市場原理に基づく競争を原則とする。」と書かれてます。えらい変わりようですね。
    http://www.dpj.or.jp/policy/rinen_seisaku/seisaku.html

  2. livedoa555 より:

    現在のゆうちょ銀行の預金は、事実上のノーリスク。
    他の銀行のペイオフ上限が1000万円であるのに、
    ゆうちょ銀行の預け入れ限度が2000万円になるのは
    全く不公平なことです。

    ノーリスクノーリターンの原則から言えば、ゆうちょ銀行の
    預金は利息の付かない決済用預金専用にするべきです。


  3. kandekande より:

    金融円滑化法に対するJBPRESSの”横行する返済猶予の押し売り「善意の悪政」後始末は誰が?”もヒドイ話ですよね。つくづく郵政選挙でホリエモンさんが当選してたら面白かったのにと思いますね。

  4. 鳩山政権のビジョンのなさを痛感します。
    このままでは本当に日本は国家破綻してしまいますね。
    新しいビジョンを提供できないのなら鳩山政権は退陣をすべきだと私も共感します。

  5. ikuside5 より:

    鳩山首相のあの徹底した無作為ぶりは、なんなのでしょうか?何も決められないという以前に、なんの主張もない総理大臣なんて、もうたくさんだという気がしますね。内閣改造するとしても、総理が変わらなければ何も変わらない。せめて菅さんあたりで出直すのが最低条件ではないでしょうか?
    このままいっても民主党は参院選敗北は目に見えていると思いますが、党首脳はそれでも公明党その他との数合わせでなんとかしよう、というつもりで動いているようにも見える。しかしこの流れでは、みんなの党などの政策主張のはっきりした党に票が大量に流れてしまうと思うので、そんなに簡単に数合わせで民意をキャンセルできるのか?という気がします。あるいは最後の手段として選挙後に自民一部と合流するとかですと、もう何でもアリとなって、選挙結果は短期的には意味をなさないものになってしまう。我々の選ぶところの個々の政治家次第ではそういうことも起きかねないわけです。
    とにかく、前回の選挙直後にみられたような公約破りが次回の選挙でも起こると嫌なので、今から、政権運営に関しては厳しい目で見ていたいところですね。

  6. advanced_future より:

    民主党にとっての最大の問題は、郵政の改革案の中身よりも、民意(積極的無党派層)の逆鱗に触れる可能性が高いという点です。

    確かに、民主党はマニフェスト『33.郵政事業を抜本的に見直す』の中で「郵政事業における国民の権利(?意味不明)を保障するために」ユニバーサル・サービスに言及し「郵政事業の利便性と公益性を高める」としていますが、これ(マニフェストに書いてある,でも33番目)をもって郵政選挙に表れた民意を反故にするには無理があり過ぎます。
    国民新党の人々が民意と矛盾している自分達の理念をどうやって正当化しているかといえば「国民は当時の熱狂的雰囲気に流された」という歪曲された認識であり、大塚耕平氏までこの論理に流されていることが情けない限りです。(彼は「よりよい民営化を進める」というが)
    まず民主党は「郵政事業における国民の権利」の内容を問うべきです。極わずかな一部の人々のための権利である可能性が高いことを自覚すべきだと考えます。