「官主党」に変質した鳩山政権 - 池田信夫

2010年03月24日 11:38

今国会に提出される「郵政改革法案」によれば、郵政民営化路線を放棄して政府が1/3以上の株式を引き続き保有し、ゆうちょ銀行の貯金受け入れ限度額を現在の1000万円から2000万円に引き上げ、かんぽ生命の限度額も2500万円に引き上げ、消費税も免除するという。民主党は、「官から民へ」という立党精神とは逆の「官主党」に変質したようだ。


小泉政権の郵政民営化に問題があったことは事実である。資金量が300兆円近い「国営銀行」をなくすことは望ましいにしても、それを「スーパーメガバンク」にすることは、ただでさえオーバーバンキングといわれている日本の金融市場をさらに歪めるのではないかという批判もあった。この場合、ゆうちょ銀行の限度額をかつての300万円の少額貯蓄に戻して本人確認を厳格化し、官製金融を縮小することが望ましい。

ところが今回の「改革法案」はこの逆に、郵政を肥大させて国営化するものだ。これには需給の悪化している国債を郵貯が消化するねらいもあるのだろう。いわば郵貯の「第二日銀」化である。日銀法で独立性が保証されて政府のいうことを聞かない日銀の代わりに、放漫財政の赤字を埋めてくれる「貯金箱」をつくろうというわけだ。

その建て前は、かつて郵政族議員が小泉改革に反対したときと同じユニバーサルサービスだが、これは最終的には不採算地域の赤字を税金で埋めることを意味する。地方に無駄な税金をつぎ込み、その赤字を郵貯による国債引き受けで支えるという点では、一貫しているともいえよう。その結果は、金融社会主義の支配による日本経済のさらなる長期停滞である。

鳩山政権のでたらめな政策にはもう驚かないが、ここまで来ると内閣として機能していないといわざるをえない。もともと社会主義者である亀井金融担当相はともかく、原口総務相まで郵政国営化案に賛成したことは言語道断だ。このまま日本が社会主義化すると、財政破綻のリスクはさらに大きくなる。鳩山政権を倒さないと、日本が倒れるのではないか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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