日本郵政を事業仕分けの対象に! - 北村隆司

2010年04月08日 10:00

鳩山内閣の人気浮揚を担った事業仕分け第2弾の総指揮官である、枝野行政刷新相は、仕分けの基準として以下の7項目を示しました。

(1)国または独立行政法人から1000万円以上の公費支出を受けている。
(2)法令で国から権限を付与されている。
(3)収入に占める公費からの支出が5割以上。
(4)天下りを受け入れている。
(5)財産が10億円を超える。
(6)地方自治体から支出を受けている。
(7)国からの公費支出を受け、その事業をさらに外部に委託している。


この1項目にでも触れる事業は仕分け対象になりうると言いながら、対象候補法人として発表された50法人には、7項目全てに抵触する日本郵政の名前はありません。

みんなの党の柿沢衆院議員が提出した“郵政一家”の権益の実態に関する質問主意書に対して、政府は「日本郵政グループ5社と関係の深い公益法人や民間企業に2008年度、総務省や日本郵政グループから再就職した官僚OBが756人在籍し、郵政グループとの取引総額が1、335億円に上り、再就職OBが最多だったのは、簡易保険の加入団体から保険料徴収の委託を受ける財団法人「簡易保険加入者協会」で、267人。全職員の45%を占め、理事長と専務理事は、5代続けて総務省の天下りOBが就任している。」と答弁しました。

特殊法人は国民の厳しい監視に晒されるようになって以来、姿勢を低くして隠忍自重を装っていますが、名前は株式会社でも実態は特殊法人と全く変らない日本郵政は、亀井改革相の言葉の暴力に守られ、傍若無人振りが突出しています。

全国一律のサービスを提供するために必要だとして資金規模や業務内容を拡大する日本郵政の改革(改悪?)案は、国民負担の急増を招きかねません。国の財政が危機的状況になる中で、亀井改革相はグループ内の取引に課せられる消費税を免除する「優遇措置」も設ける方針で、これでは年額500億円以上の補助金を与える事と全く変りません。

郵政改革では、非正規雇用の社員を希望に応じて正社員化する検討が進み、追加で2000億~3000億円の人件費がかかると予想されています。批判の高まりにさすがの亀井改革相も「随意契約の形で利益が吸収されていく仕組みは、変えないといけない」と述べながら、そちらの改革には全く手を付けず、税金を使った郵政仲間へのばら撒きを優先しています。 ファミリー企業は、郵政事業との取引高が50%を超えるなど、関係の深い企業・法人などで、現在、約200社があるというだけでも仕分けの価値があります。

国債を買うしか能のない郵政の資金規模はすでに300兆円にも上り、この金が借金日本の資金源になっている事は誰もが知る処です。それでも亀井氏の鼻息は膨らみます。曰く「郵貯マネーを新幹線や高速道路、海外での原発の整備に使えないか」などと公共事業に「流用」しようとの動きも頭をもたげ始めています。これは、バブル破裂の誘導線となった財投政治の復活です。

亀井氏は「これまで税金の投入を受けたことはない」と胸を張ってきましたが、郵政の持つ固定資産は全て血税で出来た物で、旧国鉄となんら変りません。これだけ潤沢な無駄を許すくらいなら、その資金を働く母やお年寄り、病人、地方の過疎社会の援助に廻すべきです。
亀井氏は自分の意見の根拠や将来予測のシュミレーションが苦手らしく、思いつきと主観をベースに出した結論を乱暴な言葉で国民に押し付けるばかりでした。事業仕分けの場で、亀井大臣にはたっぷりと時間を使って頂き、自分の主張の根拠を国民に判るように説明して頂きたいものです。亀井氏の説明に納得すれば亀井郵政改革に反対する理由はありません。

「郵貯の在り方について議論したいと言うなら『新しいフィロソフィー・哲学』を提示する必要があると思います。亀井氏が『国営銀行の方が民営銀行より安全であり、結局のところ銀行は国家が面倒を見るべきだ』というフィロソフィー・哲学を展開するというなら、そこには議論の余地はあります。しかし『目先の損得勘定、参院選の票目当てだけ』が目的だと言うなら、論外です。国民的な議論もせずに一人の人間が言い出しただけで、これだけ大きな変更が行われていいのかどうか私は大いに疑問を感じます。」と言う大前研一氏の考えに私も賛成です。 郵政改革の理念や将来像の議論を素通りしたまま、この改革案で見切り発車することは将来に禍根を残します。事業仕分けの場で、国民的大論議をしたうえで方向を決めて欲しいものです。

           ニューヨークにて        北村隆司

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