消費税増税前に「駆け込み需要」に走ってはいけない --- 内藤 忍

アゴラ編集部

4月1日から消費税が引き上げられます。週末に近所の外車ディーラのお店の前を通りかかると、いつもは閑散としている店内に、結構な数のお客さんが……。いわゆる増税前の駆け込み需要のようです。

テレビ番組では消費税アップの前に、何を買うべきかという企画が人気のようです。ブランド品や自動車といった高額商品は、今のうちにというアドバイスをしている人が多いようですが、果たして本当にそうなんでしょうか?


当たり前のことですが、消費税というのは購入するものの価格に対してかかってきます。1000円のものの消費税は4月から今までの50円が80円に上がります。でも、価格が970円に下がったとしたら……。

以前、エコポイントというのがありました。省エネ商品を購入すると、ポイントが付与されるということで、2011年地上デジタル放送に移行する際、制度の終了直前にプラズマテレビなどの家電製品の駆け込み需要が発生しました。

しかし、エコポイント終了後にテレビの価格は下落。さらに性能は向上してしまい、慌てて駆け込んだ人が一番損をしてしまいました。

消費税に関しても、エコポイントの時と同じことが繰り返される可能性があります。3%の税金引き上げがあっても、価格が3%以上下がれば、トータルの支払い金額は減ることもあり得るのです。

あるいは、他の税金が減税になる可能性もあります。自動車取得税は、今後最大で2%下がる可能性があるようです。支払金額は、消費税だけで単純に考えてはいけないのです。

交通機関の定期代のような価格が固定的なものは、駆け込み需要に意味はあると思います(ただし、定期購入の行列に並ぶ時間のコストは考える必要があります)。しかし、価格が変動するもの、性能が向上する可能性のあるものについては、慌てて買う必要は無いと思います。

4月以降は駆け込み需要の反動がやってきます。行列したり、本当に欲しいものではないのに無理をして買ってしまって、後から後悔しないよう、慎重に考えるべきです。

消費税が3%上がるからと言って、トータルの支払い金額がどうなるかは、商品自体の値段の動きによって変わってくる。そんな当たり前のこともも触れず、消費税引き上げ前の駆け込み需要を煽る「お金の専門家」が意外に多いのです。

私は本当に欲しいものがあれば、消費税に関係なく購入するのが、一番満足度の高い消費になると思っています。「消費税増税との付き合いは自然体で」が、クオリティ・オブ・ライフを最大化するライフスタイルではないでしょうか?

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。