ネガティブキャンペーンが功を奏する時があるのは確かだが、この度の東京都議会議員選挙における自民党東京都連側のネガティブキャンペーンほど無惨な結果に終わったものは少ないだろう。
自民党の現職議員の生き残りのためにはそこまでやらざるを得なかったということかも知れないが、一連のネガティブキャンペーンは悉く的を外されてしまった。
ネガティブキャンペーンを仕掛けた方が拙劣だった、というよりも、小池さんの方が一枚上手だったということだろう。
選挙にはネガティブキャンペーンや怪文書は付き物だ、ということは選挙に関係したことがある方には常識だろうが、それにしても小池さんや都民ファーストに対する今回のネガティブキャンペーンは尋常ではなかった。
質が悪い選挙参謀や選挙コンサルタントが付いていたんじゃないかな、と思うくらいに下品だった。昨年の知事選の怨念を引き摺っていたのだろうが、何だか闇雲に小池バッシングに走っていたようだ。
自民党は、あっさり敗北を認めて、小池与党宣言でもしていればこれほどの惨敗を喫するようなことはなかっただろうに、というのは、あくまで外部にいる者の評価で、中にいた人は冷静な判断が出来なかったのだろう。
昨日の敵は、今日の友。
今日の友は、明日の敵。
そのくらいのスタンスでいると大きな失敗はしないで済むのだが、自民党東京都連の皆さんは、昨年の6月以来ずっと小池さんは敵に見えていたのだと思う。
自民党東京都連は、「決められない知事キャンペーン」でそれなりの効果を収め始めていたが、小池さんは都議会議員選挙の直前にあっさりこれを外してしまった。
まあ、築地は守る、豊洲を活かす、という小池さんの方針にどれだけの具体性や展望があるのか分からないが、とにかくこれで自民党都連の「決められない知事キャンペーン」は無効化した。
都民ファーストの野田数代表の公金横領疑惑を週刊誌が大きく報道した時は、週刊詩の続報次第で結構な致命傷になりそうだぞ、と思ったものだが、都民ファーストの代表を小池さんが引き受けたことであっという間に局面が変わった。
小池さんは都民ファーストの代表に就任すると同時に自民党に離党届を出しているのだから、小池さんの打つ手は早い。
ネガティブキャンペーンを跳ね返していくためにはそれなりの仕掛けが要るが、小池さんは見事に一連のネガティブキャンペーンを跳ね返していった。
森さんの「遺書」の出版や小池批判本の出版なども相次いだが、そういう物には一切目もくれようとせず、殆ど反応しなかったようである。
余計な手は打たない、ということもネガティブキャンペーン対策の基本だろうと思うが、とにかく小池さんは一連のネガティブキャンペーンに打ち克った。
どうやら深傷を負ったのは、自民党都連会長の下村さんのようである。
まだ真相が明らかになっていないが、まかり間違って平慶翔氏に対する一連の批判が虚偽だったということになると抜き差しならないことになってしまう。
ネガティブキャンペーンは大体は功を奏しないものだ、ということを、この際、皆さんよく学んでおいて欲しい。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年7月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。