東洋経済オンラインへの文春砲問題と、ネットニュースの踊り場感

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文春砲が「東洋経済オンライン」を直撃。8月9日発売の「週刊文春」が『「東洋経済オンライン」衝撃の内部告発』という記事を掲載した。

「東洋経済オンライン」はすぐに反論の声明を掲載している。

「週刊文春」8月9日発売号掲載記事について

主に5点について反論しているのだが、「週刊文春の記事の誤りはこれにとどまるものではありません」「事実と異なる創作された内容にあふれています」と、行間から怒りを感じるものである。

ここ数年、「東洋経済オンライン」で連載を持っており。やや「東洋経済オンライン」よりの意見になるかと思うが、思うことを書かせて頂く。

率直に、文春砲の切れ味、落ちてないか。連載担当に限らず、同社社員とは懇意にしているが、本当か?と思える部分に満ちたものだった。これは、事実をもとに編集部が反論しているので、ご覧頂きたい。特に4億PV、10億PVという数字は誰が言ったのだという話だ。これが並大抵ではないということはネットに少しでも関わる者だったら分かることだろう。

もっとも「上層部」が未だにネットのことを理解しておらず、とりあえず言っているというのならまだ可愛い話だが。経営トップ層はできるはずのない数字を提示して、現場を鼓舞するということもあるのだが。

文春読者とするならば、紙媒体の貴重なページを割いて、これだけすぐに反論を許してしまうような記事が載ることに怒りすら感じないだろうか。

さらに言うならば、文春砲のターゲットは別に他メディアではなく、政治家や経営者などに向くべきではないだろうか。いや、この部分は文春に限らず、メディアに求められている力なのではあるが(スキャンダリズムに走れと言っているわけではない)。

メディアがメディアに異議を唱えるのは良い。特に報道内容の事実関係については、批判するべき部分はあるだろう。ただ、単なる足の引っ張り合いを読者は見たいわけではない。

もっとも、文春の報道を支持するわけではないが、この2媒体のやり取りの中に、ネットニュースの踊り場感が可視化されているようにも思える。東洋経済オンラインは「下ネタ」で構成されているわけではない。ただ、「下世話」だと感じる瞬間はある。とは言え、読まれるものというのは、読者がそれに関心を持ってしまっているということもまた事実ではないか。

私は健全なPV至上主義というものは存在すると信じている。PVに変わる指標を各媒体が提示しきれているわけではないし、読者もどの記事が読まれたのかが気になるのはしょうがないわけだ。

ネットメディアの中では、オープンでPVを積み上げていく「東洋経済オンライン」と、読者囲い込み型の日経電子版が、今後、何を目指すのかが気になるところである。

ネットニュースに関わり始めて11年。常に潮目は変化している。事実関係、記事の質など、どんどん進化しているとは感じるが、まだまだこれからだ。行き先を激しく傍観することにしよう。世を動かす記事を私も書かなくては。


最新作、よろしくね。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年8月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。