日経ビジネスオンラインに以前、『カルビー・松本晃会長兼CEOの「経営お悩み相談室」』(15年10月20日~16年1月8日)というコーナーがありました。その第2回目は、『中途採用の「成功率」を6割に上げる方法 決まりきった質問だけでは人物像は分からない』(15年10月22日)と題されたものでした。
当該記事の中で松本さんは、『最大のポイントは、トップ自身が採用基準を持つことです。何の方針もなく面接に臨むと「志望動機は何ですか」などと型通りの質問しかできない。当然、相手は事前に準備してきていて、よどみなく答える』と言われていますが、私も全くその通りだと思っています。
例えばSBIグループの新卒や中途の採用は、私が全て最終面接を行います。その採用の基準は一に人物、二に能力や知識です。嘗てのブログ、『伸びる人、伸びない人』(14年7月8日)にも書きましたが、能力を見る場合は、その人の持つポテンシャルも大切だと思っています。これまで身に付けた知識・経験を重視するというよりも、その人間がどれ程の伸び代を有しているかを何時も見ようと心掛けているわけです。従ってそれが垣間見れるよう、人間学的な立場からの質問や幅広い視野を問うような質問等、多くの会社とは一風変わった面接を行っています。
即ち、誰もが想像しているような答えのスッと割り切れる話を聞くというだけでなく、その人ならではの人生の経験・体験を踏まえた上で導き出される各人固有の答えから、その人を知ろうと試みているのです。
そうして如何なる答えを出すかによって、「生まれて来し方どういう生き方をしてきた人間なのか」、「その人の価値観の中で何が高いウェイトを占めているか」、「今度どういう人生を歩まんとしているのか」、等々を私なりに推測しているわけです。
私の人物評価の基準は、そういうものです。勿論、そうは言っても人を見極めるは難しく、どこまで正鵠を得られているかは疑わしくも思います。しかし、人の採用に当たっては、上記類の努力が非常に大事だと思います。少なくとも、「志望動機は何ですか」などと質問するよりも、正鵠を得る確率が上がるやり方だと思います。
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