「大紀元」日本語版に非常に興味深い記事が掲載されていた。タイトルは「落ちたコメを食べた野生スズメが大量死」だ。以下、同記事を紹介する。
湖北省宜昌市の夜明珠埠頭で6月29日、貨物船に荷積み中の米袋からこぼれたコメを食べた20羽以上の野生スズメがまもなく全て死んだという。中国メディア・中新網が3日に報じた。報道によると、貨物船に積まれていたのは東北で栽培された4品種のコメ数10トンで、現地から重慶に向かう予定だったという。地元当局は直ちに、このコメを検査し、翌日に「コメは何の問題もない」と発表した。スズメの死因を調べるための検視を行ったかどうかは不明。政府の専門家は死因について、食べ過ぎまたはほかのところで有害物質を摂取したためと説明した。しかし、一部の中国人ネットユーザーは、死んだ野生スズメの写真を大量に転載し、「野生スズメが食べ過ぎて死んだ?前代未聞だ」「コメに問題はない。スズメに問題がある? 検死報告書を見せてくれ」など政府の発表に疑問視している。
当方は記事の記者と同じ考えだ。スズメを含め動物や鳥類が食べ過ぎで死ぬことは本来ない。もちろん、路上の鳩が食べ過ぎて太るケースはある。教会の鼠は丸々している、と言われることもある。しかし、死ぬほど食べ過ぎるということはあり得ないのではないか。飢えない限り野生のライオンも他の動物を襲わない。人間以外、自然界は自己規制と共存の原理で生きているからだ。
野生のスズメが「落ちたコメ」を食べ過ぎで死んだという場合、普通、「落ちた米」に何らかの毒物性が含まれていたと考えるのが自然だろう。記事は「コメには何の問題もなかった」というが、落ちたコメの詳細な品質検査が必要だろう。コメに問題がなかったとしても、スズメが他の有機物質を土壌から摂取した可能性が排除できない。
当方はこのコラム欄で化学物質による残留性有機汚染物質による土壌汚染問題を紹介したばかりだ。残留性有機汚染物質は、毒性が強く、分解が困難で長期間、人体や環境に悪影響を与える。例えば、ダイオキシン類やDDTだ。汚染された土壌で栽培された穀物に大量の有機汚染物質が検出されることがある。北京当局は過去、大気汚染がひどい日には企業側に操業短縮を指令してきたが、その程度の対応では大気汚染、土壌汚染は解決できない。それほど現実は深刻だ。
中国共産党幹部たちが家族を海外に移住させるケースが急増しているが、その理由は。1. 子どもに良い教育を与えるため、2. 環境汚染から逃げるため、3. 汚職で得た財産を保全するためだ、すなわち、中国の富豪者は「健康な環境で生活したい」という理由で移民しているのだ(「中国富豪の“移民ブーム”」2014年2月12日参考)。
中国の大気・土壌汚染は韓国、日本にも影響するだけに、国際社会の早急な対応が問われる。「スズメの大量死」は私たちに警告を発しているわけだ。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年7月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。