医療的ケア児を主にお預かりする、障害児保育園ヘレン・障害児訪問保育アニーを運営する駒崎です。
最近、医療的ケア児をテーマに、色々な動きがあったので、全国の保護者の方々や関係各所にアップデートの意味で記事を書きます。
保護者自らが立ち上がる
僕が医ケア児問題について知ったのは、優太くんという医ケア児のお母さんから、フェイスブックで「受け入れてくれる保育園がない」という相談を受けたのがきっかけでした。
保育の有識者会議に出てるくせに、医ケア児について全然知らなかった僕に、医ケア児と彼らが直面するシビアな課題について教えてくれた恩人、それが綾さんと綾さんファミリーでした。
そんな綾家のお父さん、綾崇さんが人権救済申し立てをしました。
学校側に“医療的ケア”求める、父親が人権救済申し立て(17年9月12日)神奈川県内の特別支援学校に通い人工呼吸器をつけた男の子が、たんの吸引などの医療的ケアを学校側が行わないのは権利侵害にあたるとして、父親が人権救済の申し立てを行いました。
日弁連(日本弁護士連合会)に人権救済を申し立てたのは、神奈川県に住む綾崇(43)さんです。長男の優太(7)くんは人工呼吸器をつけていて、たんの吸引などの医療的ケアが必要で、共働きの両親のどちらかが常に付き添い、特別支援学校に通っています。
申し立てによりますと、去年12月、県の教育委員会は人工呼吸器を外せない子どものケアについて、「保護者が責任を持つこと」とする通知を出していて、父親の崇さんは、これが「教育を受ける権利を侵害している」と主張しています。(後略)
(注:You Tubeにアップされたもの https://www.youtube.com/watch?v=qDbRtMdbXkc)
本当に勇気ある行為だと思いました。
こうした当事者が顔を出して、メディアを通じて発信して行くことが、世の中に課題のありかを示し、社会的な対策へと揺り動かしていくのです。
TBS『報道特集』で、医ケア児特集
メジャーな地上波の番組で、医ケア児が取り上げられました。
野田聖子大臣が教室で付き添っている画。アニーを利用する親御さんたちの切実な悩み。綾さん一家の日常。そして箕面市で学校看護師によってケアされることで、普通学級で過ごせるこうちゃんのケースが描かれています。
(注:You Tubeにアップされたもの。https://youtu.be/-lWOOShTWe8?t=43m21s)
とてもよくまとまった特集で、ディレクターの方も「反響は非常に大きかった」と仰っていました。
「永田町こども未来会議」から提言書が政府に渡される
超党派議員、厚労省、文科省の横断プロジェクトチームである「永田町こども未来会議」( 荒井 聡 (Arai Satoshi), 野田 聖子 (Seiko Noda), 細野 豪志 (Goshi Hosono), 木村 やよい (Yayoi Kimura), 山本 博司 (Hiroshi Yamamoto) )から、来年の報酬改定に合わせて、提言書がまとめられ、9月19日に自らも未来会議メンバーである 高木美智代厚労副大臣、 宮川 典子 (Noriko Miyagawa) 文科政務官に手渡されました。
この提言書は本当によくできていて、医療的ケア児を巡る課題、その原因、そして政策によって如何にそれを乗り越えていくのか、がまとめられています。
これらの提言が政府に届き、報酬や制度が変われば、医ケア児問題は一気に改善することになります。
しかし、解散風が吹き始め、政策進捗の雲行きが怪しくなってきました。政治がどうあれ、しっかりと政策を前に進めてもらえるよう、民間側から声を大にしていかねばならないでしょう。
とりいそぎ、直近のアップデートでした。
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2017年9月20日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。