もう前言を翻すことは出来ないのだろうが、安倍総理はちょっと踏み止まった方がよさそうである。
私自身にとってはこの時期の解散には何の不都合もなく、反って私の働きどころが見つかったようで内心ウキウキしながら日本の政治の展開を見ているのだが、やはりあちこちで拙速さが目立ち、すべての仕事がやっつけ仕事の様相を呈し始めているのが心配である。
私などが想像も出来ないような危機が目前に迫っているのかも知れないが、それにしても今の時点での解散・総選挙には違和感・唐突感が否めない。
日本が直面している本当の危機、なるものについて国民の代表者である国会議員が集う国会の場で総理が語るのであれば、大方の国民はそれなりに納得するだろうと思っている。
しかし、野党の臨時国会請求には一切耳を貸さず散々引き延ばしたうえで、ようやく開催に漕ぎ着けた臨時国会の冒頭で、ただ、衆議院を解散するという天皇の詔書を読み上げるだけで事を済まそうとしているのは、余りにも国会を軽視し、ひいては国民を蔑ろにしているように思われてならない。
ここに来て自民党の良心とも言うべき谷垣さんが引退を決め、政治家としての適性がどの程度あるのか見極められないままにパタパタと候補者が決められていく様子を垣間見る度に、こんなものでいいのだろうか、もう少し丁寧に人選を進めた方がいいのではないかしら、という疑念が強くなってくる。
熟議のはずの国会が議論を放棄し、仕事人であるはずの閣僚が何の仕事もしないまま選挙の戦場に駆り出されて行く、という姿は、どう見ても常軌を逸している。
麻生さんが余計なことを吹き込んだためだと思ってはいるが、それにしても安倍総理の今回の衆議院解散の決断は、とても大方の国民の共感を得られるようなものではないと思っている。
10月22日の衆議院総選挙の投開票が終わった後に北朝鮮問題で日本は本当の危機に直面するようになるのかも知れないが、この度の解散・総選挙は如何にも危うい。
何事もありませんように。
ひたすら、そう念じているところである。
安倍さん、解散を急ぐ本当の理由は、どこにあるのですか。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年9月24日の神道関連の記事をまとめて転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。