丸の内朝大学マネークラスのフィールドワークで東北に来ています。初日の午後は八木澤商店の河野会長にお話を伺いました。絶品のポン酢「君がいないと困る」でお世話になっている陸前高田の創業200年を超える老舗企業です。
八木澤商店さんの経営方法は、アメリカのMBAで教えている「合理的な経営方法」とは真逆です。
株主よりも、地域の雇用とお客様が大切。従業員は家族と同じ。絶対に解雇はしないという方針を今まで200年以上貫いてきました。
震災の発生した3年前も同じです。4月からの入社が決まっていた新入社員を含め、全員を解雇しないでそのまま社員をして雇用することを宣言。
工場も流され、仕事も無くなって先がまったく見えない状態で、雇用を守るという決断は勇気が必要なものだったと思います。
しかし、経営陣に迷いは無かったようです。
河野会長は自らも認めるように「ポジテブ(=ポジティブ)志向」の方。震災に遭遇したことで辛いこともたくさんあって、思い出したくないという気持ちもある一方で、震災によって今まで出会うこともなかった人たちに会うことができたともいいます。
全てを失い途方にくれた瞬間もあったと思いますが、社員に動揺を与えてはいけないと、決して弱音を吐かず、先頭にたってゼロからのスタートを夢中になって進めていったそうです。
長年にわたって築き上げられた信用と、一生懸命な気持ちがあれば、必ず誰かと出会い、その人たちが道を拓いてくれる。
その言葉通り、今回の震災の被害から立ち直るきっかけは、ミュージックセキュリティーズの震災復興のファンドでした。
講話を伺ってから購入した奇跡の醤(ひしお)(写真)には、そんな八木澤商店さんと河野会長、そして社員の皆さまの気持ちが一杯詰まっています。
人間は考え方次第でいか様にも変わることができる。大切なことは、いくら努力しても変えることのできない、他人と過去ではなく、自分次第で何とでもなる「自分と未来」を変えること。そんな力強く前向きなメッセージを教えてもらえました。
毎回元気がもらえる東北のフィールドワーク。また来年来ることを約束して、八木澤商店さんを後にしました。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年11月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。