貴乃花親方の理事降格処分が今日の相撲協会の評議員会で決定したが、手続き的には問題がないし、貴乃花親方自身、分かりました、と答えているのだから、この問題はこの程度で決着させてもいいようなものだが、評議員会の議長がわざわざ記者会見に出てあれこれ貴乃花親方の名誉を棄損しかねないような発言をしていたのが気に掛かった。
世間が注目している問題で、マスコミが飛び付きやすい話題だったので、処分に至った経過や処分の理由についてつい懇切丁寧に説明したくなったのだろうが、裁判官が判決の内容について記者会見で説明することがないように、評議員会の議長も評議員会の決定について詳細に語るようなことは止めておいた方がよかった。
貴乃花親方もその代理人弁護士も評議員会の決定は決定として受け容れてしまうかも知れないが、評議委員議長が記者会見で語った内容をそのまま受け容れる、というのはちょっと考え難い。
相撲協会の理事解任処分は手続き的には瑕疵がないだろうから争い難いだろうが、評議員会議長の発言は、聞きようによっては貴乃花親方の名誉棄損に当たる虞がありそうだ。
今回の事件については、関係者の皆さんすべてがどこか下手を打っているように思えてならない。
貴乃花親方が理事解任処分に至ることを予想しながら、頑なに沈黙を守り通していたというのなら、それはそれで一つの見識だろうが、それにしては備えが甘過ぎる。
貴乃花親方は日馬富士の引退などは求めていなかった、というマスコミの報道が正しければ、貴乃花親方としても何らかの意思表示をすべきだったのに、どうやら何もしなかったようである。
貴乃花親方は、どうも不器用な方のようである。
どなたか適切にサポートしてあげればいいのになあ、と思っていたが、遂にそういう人が現れなかったようである。
評議員会の議長もちょっと喋り過ぎのところがある。
沈黙は金、雄弁は銀、と言うが、この事件に関しては、沈黙も雄弁も銅というところか。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年1月4日の記事を転載させていただきました(タイトル改稿)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。