ギリシャ人はいつまで「日曜はダメ」なのか

アゴラ編集部

ギリシャが再び世界金融危機の発源地になるかもしれない、と不安が広がっています。1月25日の総選挙で、反緊縮派の政党が与党に圧勝し、37歳と若いアレクシス・ツィプラス党首が高らかに勝利を宣言しました。財政赤字に喘ぐギリシャは、EU主導で緊縮政策を断行してきたわけですが、国民はもうこれ以上は我慢できない、と選択したわけです。


ギリシャは公務員が多いということで有名ですが、労働人口の1/4が公務員です。緊縮政策では公務員にしわ寄せがいくので、この選挙結果は彼らが中心になって既得権を守ろうとしている、というわけです。ただ、財政赤字の原因が、このギリシャの「公務員天国」にあるのは間違いありません。

バルカン半島は長く「世界の火薬庫」といわれてきましたが、第一次世界大戦の原因も1911年から始まったイタリアとオスマン帝国との間で戦われた伊土戦争や、ロシア主導のバルカン同盟とオスマン帝国が戦った1912年のバルカン戦争などが背景にありました。第二次世界大戦でもドイツとイタリアの枢軸国側と、英国やギリシャ、ユーゴスラビアとの間でバルカン半島をめぐる激しい戦いが繰り広げられたのです。

ギリシャはバルカン半島の先っぽに位置する地政学上、とても重要な国です。第二次世界大戦終了直後にも、ポーランドや朝鮮半島など、西側と東側の境界上にある地域の例に漏れず、3年間も左派と右派の間で内戦が起きています。これは、枢軸占領前からの系譜であるギリシャ王国を米英が支援し、ナチスドイツに対するパルチザンを主体にした左派の臨時民主政府をユーゴスラビアなどの東側が支援して激化した、朝鮮戦争の前段のような半島を舞台にしたもの。国内を二分する内戦は、ギリシャ国民に相互不信や対立感情を根深く残した、と言われています。

内戦後のギリシャも混迷し、西側に組みする体制で出発したものの、東西冷戦や左右両派の対立が国政へ深く影響しました。1967年には、左派の急伸に危機感を抱いた軍が蜂起し、政権を奪取。1974年に亡命していた中道右派のコンスタンディノス・カラマンリスが帰国して軍事政権を終わらせるまで、右派による激しい弾圧が続きました。軍事政権へ移行するギリシャの様子は、コスタ・ガヴラス監督のイヴ・モンタン主演の映画『Z』に描かれています。

こうして左右両派の綱引きで不安定な政情が続いたギリシャでは、選挙のたびにポピュリズム的なプロパガンダや政党が横行し、そのたびに公務員が増え、ポピュリスト政治家や公務員が赤字を垂れ流し、次第に国庫財政が悪化していった、と言われています。ギリシャ人気質を描いた映画では、レッドパージで米国を追われたジュールズ・ダッシン監督でメリナ・メルクーリ主演の『日曜はダメよ』が有名ですが、西洋的なモラルを押しつけようとしてもヒロインには通用しません。結局、彼らの気質は矯正できない、ということなんでしょうか。

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メリナ・メルクーリ主演の映画『日曜はダメよ』のポスター。

globalpost
Greek elections: The view from the Kremlin


Hershey’s Just Blocked British Chocolate From Entering The US — And Fans Are Furious
BUSINESS INSIDER
もうすぐバレンタインデーですが、米国で米英チョコレート戦争が勃発です。ハーシーチョコレートが、英国からのチョコレート輸入を停止した、という話。有機成分とまっとうな材料が自慢のキャドバリーチョコレートが、米国のチョコレートに対する脅威になっているらしい。ちなみに、キャドバリーチョコレートはナビスコなどで有名な米国モンデリーズが買収しています。米国のキャドバリーチョコレートのファンがTwtter上で反ハーシーキャンペンを始めたらしい。ちなみにバレンタインデーに女性が男性にチョコを送る習慣は、次第に世界規模で広がりつつあるようです。

Cosmic puzzle settled: Comets give us shooting stars
PHYS.ORG
昨年、彗星に着陸した欧州宇宙機関のロゼッタが、新たな史料を送ってきたようです。これは、細かい粒子状の砂と、それらがどう挙動するかというもの。彗星がどうやって誕生したのか、ヒントになるかもしれません。
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Credit: ESA/Rosetta/MPS for COSIMA Team MPS/CSNSM/UNIBW/TUORLA/IWF/IAS/ESA/ BUW/MPE/LPC2E/LCM/FMI/UTU/LISA/UOFC/vH&S

K-Teamシリーズ – Khepera、K-Junior、Koala、Kilobot
ZMP
日本のロボットベンチャー「ZMP」のリリースです。スイスのロボット開発会社と一緒に分散型ロボットを日本で売り出すらしい。こうした分散型のロボットは、ナノテクノロジーと合体し、超小型化すれば、かなり興味深い技術になります。原発事故などの過酷環境では、現場の状況が多種多様で変幻自在にサイズや形を変えることのできるロボットがあると便利。何万個ものロボットが密集して立体3次元行動する様子は壮観でしょう。

超小型群ロボット Kilobot

Tesla ‘Insane’ button gives unsuspecting passengers a wild ride
Mashable
EV(電気自動車)のテスラが出した新しいモデルP85Dの圧倒的な加速感を紹介している動画記事です。モーターはいきなりトルクが発生するのでこういう乗り心地になる。エンジンなど内燃機関は低速ギアから徐々に回転数を上げていくため、加速にタイムラグがあります。しかし、試験同乗者が見せる初体験の表情がおもしろい。4レターワードのピー音がうるさいです。


Tesla P85D Insane Mode Launch Reactions Compilation – Clean Version


アゴラ編集部:石田 雅彦