過日の区議会議員選挙で次点となった候補者を1票差で破った最下位当選者の当選が無効になるそうである。
葛飾区の選管が最下位当選者の得票としてカウントしていた投票が、東京都選管の判定では無効票にカウントされることになったそうだ。
「大森ひでこ」、「大森ようこ」と書かれていた投票が大森有希子候補の得票と認められるかどうか、という問題である。
「有希子」はどう読んでも「ひでこ」とか「ようこ」とはならないはずだが、「ひでこ」とか「ようこ」と投票用紙に書いた投票者は、大森という女性の候補者に投票する意思はあったが、「有希子」という漢字を書くのが苦手で、平仮名で「ひでこ」あるいは「ようこ」と書いたのではないだろうか。
「大森ひでこ」という投票と「大森ようこ」という投票を本当に無効にしていいのかしら、というのが現時点での私の率直な感想である。
有権者の投票を無効にしなければならないのは、余事記載があったり、誰に対する投票か判別不能な場合であって、当該投票の記載内容から投票者の投票の意思が推測できる場合は、特別の事情がない限り、有効票としてカウントすべきだ、というのが私の立場である。
私は、葛飾区の選管の判定に軍配を上げる。
まあ、裁判所がどういう判定を下すかよくよく注視しておかなければならないが、今回の東京都選管の判定には疑問がある、くらいなことは言っておいた方がいいだろう。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年2月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。