だいぶ日が経ってしまったが、12月2日に公取委がこんな発表をしている。何のことだか忘れちゃってる人もあるかと思うが、これはYahoo!JAPANで米Googleのサーチエンジンを採用したよ、という話の続編である。
日本最大手のポータルであるYahoo! JAPANもエンジンがGoogleになると、独禁法違反じゃないのか、という指摘を受けて公取委が調査した。その結果、今のところ違反とは言えないけど引き続き監視はするよ、なんかあったらタレ込んでね、というわけである。
サーチエンジンが同じだとYahoo! JAPANとGoogleの検索結果が同じになるんじゃないの? とも考えられるわけだが、実際にはエンジンに渡す前に各サービスは独自の類義語辞書を通して、それからエンジンに投げている。従って双方の結果は微妙に違う結果になる。ちなみにGoogleで小寺信良を検索した結果がこれ、Yahoo!がこれである。似たようなものと言えばそうなのだが、出現順序が異なっている。単純に同じにはならないというわけだ。
出現順序が変わるということは、ネットにとっては重要なことで、SEOやグーグル八分によって簡単にトップに躍り出たり、逆にネット上から抹殺されたりといったことも、総体としては起こりにくくなると言えるだろう。そもそもYahoo!のサーチエンジンは、昔はGoogleのものだったが途中で独自エンジンになり、またGoogleに戻っている。米国のYahoo!のエンジンは、現在はマイクロソフトのBingだそうである。つまりYahoo!は何年かおきに一番できがいいものを採用しているだけで、また変わるかもしれないし、そんな事情からこういう経過観察ということになったのかもしれない。
もちろん、競争があってこそいい技術が生まれてくるわけで、Google以外がサーチエンジンの開発を辞めたらさすがにヤバイかなと思う。ただ実際に我々が調べ物をする際にはGoogleのように広範囲の検索ではなく、サイト内検索など小規模なエンジンも実際には稼働しているわけだし、最近ではTwitterで人に聞くという、人力の知恵探しの方が的確な情報が得られたりもする。自動で返ってくるものが欲しいものではないことも多いわけである。
「問いと答え」という観点でパソコン通信の時代からのネットをざっくりまとめると、まず人対人の質疑応答があり、それが蓄積されてFAQができ、さらにそれが検索できるようになったという流れがある。
サーチエンジンはこれからも重要性は増すだろう。しかしその先には、常に人が発する、形のない問いと答えのマッチングがある。そういったぼんやりとした思いや考えといったレベルのものが探せるようになるまでは、まだ相当先が長いのではないかという気がする。
グーグル八分とは何か
著者:吉本 敏洋
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