「就職する」ということがどういうことか知ってほしい

松岡 祐紀

BLOGSに掲載された橘玲氏の「牛丼と革命―未来世界のマックジョブ」を読んで、企業が正直に自分たちが欲しい人材を追求したときにこのような形に行き着くのだろうなと思った。


逆を言えば企業が最も欲しくない人材は「優秀で会社への忠誠心が低い人材」ということになる。いくら優秀でも辞められたら元も子もないので、採用する側にとって会社への忠誠心というのは非常に重要な要素である。

このようなことを知らずに就職活動を営んでいる学生が非常に多いように思う。就職活動自体に気を取られ、そのあとのことなど考えていない。今年の大卒の就職内定率は57.6%(文科省・厚労省調査)ということなので、ただ「職に就く」ということだけでも大変なことだとは理解出来る。だが、このような時代だからこそ、今一度「自分が何をしたいのか?」ぐらいは考えたほうがいいのでは思う。

大卒に限れば3年以内に辞める若者が3割を超えている今、そのようなことを考えることはけっして無駄ではないはずだ。

就職に有利になるからという理由だけで大学に行く学生が大勢を占めているが、その大事な就職すること自体についてあまりに無策に飛び込んでいる。

一般的によく知られている大企業に勤めること自体が、自分の自己実現と捉えている学生も多いだろう。特に有名大学出身者にはそのような傾向が強い。そして、念願の大企業に運良く就職出来ても、彼らはそれが自らが夢見ていた職場環境ではないことにがっかりしてあっさり辞めていく。

多くの企業にとって、社員の自己実現などどうでもいいことなのだ。そんなことよりも「黙って言うことを聞く人材」を何よりも求めている。その時点で企業と就職する側のミスマッチが始まっている。

企業が「利益を追求する」という姿勢を貫いている限り、そのミスマッチは解消されない。そして、それが社員にどのようなことをもたらすか、就職する側もきっちり考え、それに従う覚悟があるのかどうか自問したほうがいい。

留学や起業など就職する以外の選択肢はあるにはあるが、新卒一括採用のせいでそのような選択肢を取ることはリスクが高いと見る学生が多い。だが、就職したところで3人に1人は3年以内に退社するのだから、何が本当にリスクが高いかそろそろ考え直してもいいのではないだろうか。

株式会社ワンズワード 代表取締役 ブログ