NHKクールジャパン「食堂」の巻。
日本ほど世界のレストランがある国はあるまい。これほどフランスやイタリアの国旗が下がってる国もあるまい。ミシュラン星の数は東京はパリの3倍以上。そこにはいろんなヒミツがあります。
「コミュニケーション」
日本のレストランは店と客のコミュニケーションやエンターテイメントを大事にしています。すし屋のカウンターはすし職人と客が最もコミュニケーションとりやすい距離を計算して板の幅が決められています。
「調理を見せる」
3大日本料理、スシ、てんぷら、そば、コレぜんぶ立ち食い屋台で、客の目の前で作るスタイルがルーツ。どんな素材でどう作っているか、客を信用させる効果もあります。米フライドチキンのチェーン店も調理の様子を見せる店を日本だけにオープンさせたことが話題になりました。
「チェーン店」
日本人はチェーン店にどこで食べても変わらない味を期待する。徹底したセントラルキッチンのシステムで味を統一します。チェーン店はどの国にもあるが、ファーストフードだけでなくて複雑な料理も多い和食やイタリア料理のようないろんな料理も可能にした努力と工夫が日本の特徴。
「レストラン雑誌」
江戸時代からお伊勢参りのときは食堂のガイドブックがありました。昔からガイドブックの情報を信じているんです。ネットで誰でも気軽に書き込めるコメントも役立つが、逆にプロが取材して本に載せる、という情報の信用性も値打ちが出てきて、それがガイドブックの人気を支えています。
■
「家庭料理」の巻。
景気が悪いせいか、ウチごはんがブームになっている。これも長い歴史の中で発展してきたもの。お店で食べる和食は世界中で人気だが、おうちで食べる料理がホントにクールなのかな、と思いつつ提案したテーマ。
「豊かなスーパー」
日本の家庭は鎌倉時代から一汁三菜。もともとバラエティに富んでいました。そして、世界のものを取り入れる。流通システムの進化で新しい食材もどんどん入ってきました。さらに、みんなが料理を作る。それを支える、スーパーのキメ細かいサービス。まさにクールジャパン。
「レシピ投稿サイト」
コレが人気になるのは日本ならでは。ばんごはん何?って日本の主婦ほど悩んでる国はありません。しかも日本はネット使いでは世界トップ。一人当たり情報発信量は世界一。みんなで情報を出し合って、しかも一工夫加えて、自分で作る。とても日本的です。
「学校の調理実習」
調理は食材を選ぶ、切り刻む、組み合わせる、もてなす、片付ける。マルチタスクで、大変。自分の国の文化や材料がどう作られているか、そして当たり前と思ってるけど親はどれだけ苦労しているか、それを理解する。ふだん気づかないことが、学ぶことで発見できるんでしょう。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年7月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。