先週の日曜の9月9日に第一回公認心理師試験が日本各地で行われました。ついに心理の資格が国家資格となり、数万人が受験。受験を終えて家に帰った私はどのように報道されるのかニュース番組を半ば楽しみに見てみました。
【午後問題公開しました】公認心理師試験解答速報、午後問題も公開いたしました! ただ現在アクセスが殺到しており、大変繋がりにくい状況です。少し時間をおいてアクセスいただけたら幸いです。ご迷惑をお掛けいたしており、誠に申し訳ございません。https://t.co/MTpPGNgXyQ #公認心理師試験
— こころJOB (@cocoro_job) 2018年9月9日
ところがです! テレビでは一切報道なし。これだけ心のケアが叫ばれている昨今、その中心ともいえるはずの心理の国家資格がなぜメディアの話題にならないのか。今回はそれを考えてみたいと思います。
実は、公認心理師という国家資格ができることによって心理の仕事がどう変化していくのかまだはっきりしません。今後スクールカウンセラーなど様々な心理職の応募条件に公認心理師が加わっていくことが予想されますが(既に今年度からなってるところもあり)、それは大きな変化とはいえないでしょう。
問題なのは、いわゆる心のケアの受け手となる一般の人にとって公認心理師ができたことがどう影響するかが全く不透明ということです。公認心理師という国会資格ができることによって、心理的なサービスがより充実した形で提供されるかどうかはほとんど何も決まっていません。カウンセリングが接骨院のように保険適応となって安く受けられるといったことは現状では望みは薄いでしょう。
公認心理師という国家資格ができることによって、より心理的なサービスが受けやすくなる道筋はまだ何もないのです。一般の人にとって全く重要度が不明なのですから、これではニュースになりません。
手探りの第一回試験は確かに大変でしたが、その資格が活きるシステムがなければその苦労も意味を持ちません。それは一人一人の心理職の努力だけでは足りず、社会そのものも変わる必要もあるでしょう。教育、医療、福祉に行政が力を入れることは公認心理師の資格が活きる為には必須です。
資格はそのサービスを提供する人が取るものですが、そのサービスを提供される側の為にこそあるはずなのです。
勝沼 悠 専門健康心理士
桜美林大学大学院修了後、15年に渡りスクールカウンセラー、教育相談員など、教育現場や医療現場で心理職として働いています。