カナダと日本を往復しているとキャビンアテンダントの英語能力を嫌でも感じてしまいます。バンクーバーには日系2社とカナダの航空会社3社が乗り入れており、私は見境なくその時の都合でこの3社の飛行機を乗り分けています。カナダ系はともかく、日系の航空会社2社についてはA社の英語能力は全体的に安定して高めなのですが、B社の方は英語に品格をあまり感じず、時として何を言っているかわからなくて周りの非日本人が「あの人、何て言っていたのかしら」と囁かれることもあります。
最近、乗ったA社のフライトではブリテッシュアクセントで「うますぎる」と思わせたCAがいたのですが、その理由は原稿読み調ではなかった点でしょうか?明らかに言うべきことをきちんと意の中でまとめて表現しています。下手なアナウンスは大概、棒読み的で抑揚がないため聞き取れないのです。
英単語のアクセントを一生懸命勉強されている方は多いと思います。学校の授業ではアクセントがどこにあるか、という問題は必ず出てきます。ですが、私に言わせれば英単語一つひとつは音楽の音符一つなんです。つまり、英語の文章や節を通じてどの様に奏でるか、これが通じる英語になるかどうかのポイントではないでしょうか?よって一つひとつの単語も重要ですが、全体が音楽になっていないととても音痴な英語になってしまうのです。
よく外国人はカラダで喋ると言います。強調したいところはカラダが勝手に動いてくる、あるいは音楽ですから指揮者のごとく、手が動くのです。
ところが日本語は基本的に抑揚が少なく、口の中でもごもごしゃべることもできます。日本人はシャイですから、カラダを使って熱弁を振るうこともまずありません。英語がうまくなるかどうかはこのあたりからして違うということかと思います。
日本では訪日外国人が増えてきたこと、あるいは来年のオリンピックに向けて英語を覚えようという機運がまた高まっているようです。公立小学校でも週に1度は外国人の先生の授業があるところもあります。ただ、週に一度、しかも一人の先生に生徒30人ぐらいいるわけですから授業中、生徒一人ひとりが英語をしゃべる機会などほぼゼロで政府の掛け声は無駄な気がいたします。
個人的には高校や大学で英語のみのクラスを大幅に増やし、英語の能力を試すのではなく、英語を下地にして学科を習得するというレベルに引き上げるべきかと思います。(誰がやるのか、とご批判を頂くかもしれませんが、英語を母国語とする人に大量に就労してもらうしかありません。逆立ちしても日本人教師には無理です。)いつまでたっても単語帳から抜け出せず、前置詞がInかOnかで迷うのではなく、間違った英語でもしゃべらなくてはいけない環境に置くことが最重要でしょう。
今の時代、生英語を聞くことはいくらでもできます。一番良いのはYouTubeで自分の好きな分野のビデオを英語で見聞きすることでしょうか。好きな分野だから一生懸命聞き、画面も見ます。なんとなく、こういうことかな、ってわかってくるでしょう。
もう一つ、外国人に理解してもらうのに重要なのは何が言いたいのか、初めにズバッと言ってしまうことでしょう。多くの日本人の英語は能書きが多く、I think… but….がやたらに出てきてさっぱりわからないこともよくあります。thinkとbutで打ち消してしまうので結論がなんだかわからないのです。このもやもやっとした言い方が日本独特で日本語でしゃべる場合、(特に顧客対応では)その微妙なニュアンスが重視されますが、外国では違います。
英語なんて恥ずかしがらずにデカい声でしゃべったものの勝ちです。そういえば欧米人は大阪がお好き、と言われます。はっきりモノ申すからでしょう。東京人は格好をつけすぎです。
せっかく増えた訪日外国人を受けて英語のレベルをもう少し上げらえると日本の国際化にも役立つと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月17日の記事より転載させていただきました。