政府が東日本大震災で停止していた社会保障に関する集中検討会議を4月末に再開させる方針だそうです。
この二つの記事に書いてあることを要約すると、「年金制度を維持するためには年金の受給年齢を引き上げる必要がある。しかし年金の受給年齢を引き上げても、その分だけ労働者が定年後も雇用延長で同じ企業で働き続けたら、企業側の人件費が増えて、若年者が就職できずに割を食うので、受給年齢の引き上げと雇用延長の見直しと解雇規制の見直しの三点セットの議論が必要である」ということです。
もちろんこれらの案は日経の「こうすべきだ」という意見であり、政府の考えではありません。私的には大賛成の案です。この記事の「年金受給年齢引き上げ」については今年1月にも与謝野大臣が年金受給年齢を引き上げると発言したことが結構大きく報道されました。
その時にもしやと思い、twitter上の意見を調べてみたのですが、「与謝野けしからん!」という意見ばかりでした。これは私の予想通りでした。私が何を考えて与謝野大臣の発言に対する意見を調べたかというと、「若者にとって今すぐの年金受給年齢引き上げは得であるのに、そのことに気付いていない若者が多いのでないか」ということです。
正確な統計はありませんが、twitterの利用者の年齢層は10代、20代、30代が比較的多く50代、60代以上は比較的少ないであろうことはインターネットや携帯電話の利用率からも言えると思います。その若者が多いtwitter上で「与謝野けしからん!」という意見ばかりであることを予想して確かめたのです。
日本の公的年金制度は賦課方式という仕組みで、今働いている世代が支払った年金の掛金を今の年金受給世代に配るという仕組みです。この制度では受給年齢を引き上げる(すなわち年金受給世代が受け取る年金の総額が減る)と働いている世代の負担が減ります。つまり若者にとって得になるわけです。(年金には税金も入っていますが、その税金も働いている世代の負担が多いので同じことが言えます。)
「年金受給年齢を引き上げたら、今の若者が将来受け取る時の年齢も上がるので若者が将来受け取る分も減るじゃないか!」という反論もあるかもしれません。しかしこれからどんどん日本の人口構成は少子高齢化で働く人が少なくなり、高齢者が増えていきます。今から数十年後に今と同じ年金受給年齢を維持できるはずがありません。間違いなく年金受給年齢は上げざるを得ないはずです。それならば「今すぐ」引き上げたほうが今の若者にとって得というわけです。
なので私は今すぐ年金受給年齢を引き上げるべきだと思います。理想は「公的年金制度を廃止して、給付付き税額控除か負の所得税かベーシック・インカムを導入」がベストだと思いますが、少なくとも今すぐには絶対無理なのでせめて受給年齢の引き上げ(あるいは給付額の引き下げ)だけでも実現するべきだと思います。
私が年金受給年齢を引き上げるべきと言ってるのは何も今の年配者が憎いから上げるべきというわけではありません。今の年金受給者は払った掛金の何倍も貰っています。それに比べて今の若者が年金を受け取る頃には、払った掛金分さえ貰えるかも極めて怪しいです。なのであまりにも今の年配者に有利で若者に不利な制度を少し若者に有利にしようということです。多少受給年齢を引き上げた所で、それでも年配者が有利なのは変わりません。
もちろんこれは年金財政の勘定での話で、上記の日経の記事でも書いてある通り、例えば年金受給年齢を67才に引き上げたとしても、企業が定年退職した後も雇用延長で67才まで雇用しなければならなくなった場合は、企業が払える人件費は一定なので、若年者が就職できずに割を食います。なので雇用延長の見直しや解雇規制の見直しも必要であると書いてあるのです。
「若者にとって今すぐの年金受給年齢引き上げは得である」ということを若年層に理解して頂いて、年金受給年齢引き上げを応援して頂きたいと思います。
追記:あと年金受給年齢の引き上げは今の年金受給者には痛くも痒くもなく、痛いのはもうすぐ年金受給年齢になりそうな50代60代の人たちだけなので、反対する人の数は比較的少なく、年金の給付額を減らすよりも政治的に簡単だと思います。(年金の給付額も減らすべきだと思いますが)
平成の龍馬(多田光宏)
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コメント
どうせ年金制度は破綻するのですから、早めに破綻させるというのも一つの手かも知れません。
もう一つ気になること…
政府は、ある一定所得以上の高齢者には年金支給を停止することを検討しているとのこと。
一生懸命働いて、多額の年金を納めた人が将来支給を受けられない世の中になるなら、もう国に頼らずに「自分年金」をつくることに注力し、今後は年金を積極的に未納するつもりです。
「国を信用することが一番のリスク」なんて悲しいですね。