今回の菅首相による「浜岡原発の全面停止」に対し、孫さんは「諸君‼ たまには、我が国の首相を尊敬し褒めまくるべきだと思わんか」とTwitterで述べています。少なくとも私はこの意見に賛成です。
「拙速すぎる」「その後(電力需要に対して)どうする」「根回しがなさすぎ」など、いろいろと批判はありますが、要請自体は至極当然な話だと思うので、“たまには”菅さんを“尊敬し褒めまくる”のも良いと思います。
そもそも大震災前は、机上の理論で確率分布のテールの端の方にあった「(津波等の)リスク」が、今は(不幸にして)実証により、「対処すべきリスク」と認知されるようになったわけですから、今までの理論に基づく体制が、当該リスクに即していなかった可能性がある以上、実証結果を考慮したものに変更すべく、全面的な点検等を行うべきでしょう。
この観点で中電も「(今想定される)もしものため(に必要)」ということで、砂丘の後ろに堤防を建造すると表明し、その作業を開始しようとしているわけですから、「万が一に」といっても“必要”である以上、当該堤防が完成するまでの間、浜岡原発を全面停止するように政府が“お願い”するのは当たり前!
「私企業への過剰な介入だ」という意見もあるでしょうが、現状のように一元的な電力供給システムを「株式会社」という器の電力会社が担っている以上、「過剰な介入」とは思えません。
まず、「電気」に対して、それが適正料金なのか否かは不明なまま、国民はその対価として料金を支払っています。たとえ、その料金が高くても一元的な電力供給システムである以上、独自に発電能力がない個人が拒むことはできません。なので、ある一定のルールによって電力料金が決められています。
この現実を前に、有限責任しかない株主の代理である経営者が、当該会社の補償限度をはるかに超える可能性のあるリスクの存在を知っていても、当該リスクを考慮すると利益が出ないことを理由に「想定しない」ことにすることも可能です。
このような判断の結果として当該リスクが顕在化した場合、株主は有限責任なので投資した金銭以上の負担はしません。また、破たんすれば電気の供給が止まることから、破たんさせることもできず、最終的な負担は国民が負うことになります(福島原発においてはこのようになる可能性が高いわけです)。
とすれば、国民の代表である国会議員が選んだ政府(または首相)が、国民の声を代弁し、顕在化する可能性のあるリスクに対して、しっかり対処するように“要請”するのは当然!しかも「その対処が終わるまでは停止するように」という“お願い”もまた至極もっともなことといえます(法的措置等が迅速にできるのであれば、その方が望ましいでしょうが、政府としては“お願い”をして、最終的な経営責任は当該私企業に委ねる方が早いので、今回はこのような異例な要請になったと理解しています)。
リスクが顕在化したら、いやでも国民が負担を強いられるのだから。
当然に、浜岡原発を全面停止したところで、すべてが解決することはありません。しかし、この異例な“要請”により、いろいろな問題が明らかになったのは事実ですから、大いに議論をすれば良いと思います。特に「一元的な電力供給システム」に対しては、少なくともスマートグリッドの技術を利用すれば「送電と発電の分離」も可能(欧米ではすでにそうなっている)なのですから、電気事業法の全面的な改正も含め、大胆な電力供給システムの変革を望みたいと思います。
それができれば、停止の間(現状2・3年でしょうが)、経済が停滞したとしても、その後の日本の将来に希望が持てると考えています。
コメント
アゴラはその名の通り、対話する場です。私が今回の要請は「法の支配」に反するといっているのに、それに答えないで「褒めまくる」ってどういうことですか。
あなたは法的根拠のない首相の「要請」で、何でもやっていいと思ってるんですか。それとも自分の好きな要請はいいが、きらいな要請はよくないと思ってるんですか。
池田信夫さん
「法的根拠のない」というよりも、緊急を要すると考え、もっとも早いやり方として「要請(お願い)」をしているのではないでしょうか?
首相も政治家です。政治生命をかけて要請しているのであれば、それはそれで筋は通っていると思います。「どのように」「だれに」要請するかは政治家として決めることであり、それがおかしいとなれば、民主的に選挙で結果が出るのではないでしょうか?
違法な行為は問題ですが、国民生活にとって「危険」と判断すれば、やめるように要請するのが問題だとは思いません。
3月12日の3号機の爆発がただの水素爆発でなく使用済み燃料の再臨界による核暴走だったとの見解が内外から出されそれを裏付けるデータが高崎のCTBT観測所からネットに表示されてました。半減期6.61時間のヨウ素135の異常に高い数字が4月19日以降は消されているのです。米国では福島由来のウランやプルトニウムが検出され、1950、60年代の核実験による放射能濃度よりも高いと報告されています。(www.farirewinds.com/updatesのMay02,2011の動画)
福島の放射能汚染は国内問題ではなく既に国際問題となってます。浜岡の原発は福島の事故が検証され対策が出されるまで待つべきではないですか。米国でもライセンスが切れた古い原発のライセンス再交付による運転延長は福島の事故の検証が終わるまで待てという議論が高まってます。地震の確率が高い浜岡の運転停止は止むを得ないのではないでしょうか。
組織に対して無茶な命令(建前はお願い・実態は命令)を出すと, その組織は変なことを始めます.
浜岡原発停止要請:関電が中部電力へLNG提供検討
http://mainichi.jp/select/today/news/20110508k0000e020021000c.html
どう考えても電力村のカルテル強化です. これが「原発停止」という無茶な命令に対する村側の回答です.
燃料確保で中部電支援=地元の交付金に配慮も-細野補佐官
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011050800092
菅直人のせいで国は中電に借りを作ってしまいました. 発送電分離を進めるどころか, 逆に電力村の権益を守る仕事を国がさせられそうです. 法律にのっとってやっていれば, 少なくとも借りにはならなかったはずです.
>2
では、この「要請」に従うと中部電力のこうむると予想される5000億円の損失は、誰が負担するのですか?
法的根拠なく、民間企業に5000億円の損失を強制することが許されると思っているのですか?
原子炉の停止=安全かどうか、情報がないですね。崩壊熱、残った燃料などの処理についても検討すべきですよ。原発が壊れるような巨大地震や大津波を想定した場合、原発を停止しておいても稼働させておいても、リスクの大きさが変わるかどうか?案外原発は残って、それ以外は全滅かもしれませんね。そのための点検検討は必要でしょう。
どう考えても、地震津波で死ぬ確立のほうが高いですよ。今の状況だと、原発事故で死ぬより地震津波で死ぬことを選んでいるとしか思えない。もし、仮にここ一年以内に東海~東南海~南海地震が起きるという情報があれば逃げたほうが安全じゃないですか?
原子炉の停止状態についての詳細な情報がほしいですね。停止してても、核燃料が入っていたらヤバいんじゃないの?地震きたらさw
>この「要請」に従うと中部電力のこうむると予想される5000億円の損失は
その予想される現実化する損失が、リスク対応として妥当で“ない”なら、中電の経営者は政府の要請を跳ねのければよいのです。
受けるなら、当該現実化するであろう損失の説明責任は、それを決定した経営者にあります。したがって、受けた以上、株主に対して根拠も含め説明しきるしかありません。
池田信夫さん
一応、念のためですが・・・
何故か「今週のテーマ」「政治」になっているようですが、私は「経済」「政治」にチェックしたつもりです(汗)
「今週のテーマ」ということで「対話する場・・・それに答えないで・・・」という話になっているのでしょうか?
もしそうなら「今週のテーマ」自体が誤りであり、あくまでも個人的なコラムのつもりで掲載しただけです。その点、よろしくお願いいたします。
>受けるなら、当該現実化するであろう損失の説明責任は、それを決定した経営者にあります。したがって、受けた以上、株主に対して根拠も含め説明しきるしかありません。
「説明」したら、2年で5000億円(営業利益の4年分)の損失を株主が許してくれると思っているのですか?
>7
コメントの続きですが・・・
中電が政府の要請を断れば、その時点で今度は政府に球が戻ってくる訳で、そこで「強制的に停止させる」なら、改めて法的措置をすることになるでしょう(その場合には法的な裏付けがなければダメでしょうね)。
今はその法的措置をする前段階だと思っています。
まぁ、世論の後押し等もあり、また、権限者が「要請」というのは「そもそも強制的だ」と考えるのはそうかもしれませんが、あくまでも“要請”であり、要請をしたから「法治国家ではない」ともいえないと考えています。
>「説明」したら、2年で5000億円(営業利益の4年分)の損失を株主が許してくれると思っているのですか?
説明できないのであれば、政府からの要請を断るしかないでしょうね。要請に対して「必ず受けないといけない」という話であれば、それは「要請」ではありません。
今は「要請」に対する話をしています。
いろいろな論点があるとは思うが、リスクマネジメントの観点から言えば前田氏の意見に同意する。
そもそも従来までは確率論上の「遊び」に近かったテール事象が今回の震災で具現化してしまったことの意味は大きく、電力会社(および国)のリスクマネジメントの姿勢が転換されねばならないことは確かだ。
リーマンショック以降、保険業界を含めた広義の金融業界には、ある程度のテール事象を踏まえた自己資本の充実(またはリスク削減)が求められる方向性にある。
浜岡原発を止めることで、5000億円の損失が本当に出るのかどうかもよくわからないが、それによって、極限事象のリスクを削減できるとすれば、ERM上は短期的マイナスを上回るプラス効果がある可能性もあり、そちらの方がゴーイングコンサーンに資するかもしれない。
まさに経営陣および国の高度な判断が問われる局面と言える。
>11
話が一貫していない。
あなたは「当該堤防が完成するまでの間、浜岡原発を全面停止するように政府が“お願い”するのは当たり前!」と言っているのだから、中電がそれに応じるのも当たり前でしょう。拒否するのが当たり前なら、「お願い」は間違っている。どっちなんですか?
「断ってもいい」というなら、首相が記者会見で「要請」するという事実上の強制をするのはおかしい。そもそも許認可事業である電力事業者が、認可権者である政府の「要請」を拒否するのはきわめて困難です。
これだけ言ってもわからないようだけど、こういう曖昧な形で政府が恣意的に民間を「指導」する仕組みが、天下りなどの官民癒着を生んできたのです。問題は首相の善意ではなく、法的な手続きなんですよ。
> あなたは「当該堤防が完成するまでの間、浜岡原発を全面停止するように政府が“お願い”するのは当たり前!」と言っているのだから、中電がそれに応じるのも当たり前でしょう。拒否するのが当たり前なら、「お願い」は間違っている。どっちなんですか?
AさんとBさんがいて、AさんがBさんにお願いしたら、Bさんは必ずそのお願いを実現しないといけないのですか?
主体が違う以上、意見の相違は当たり前。
>「断ってもいい」というなら、首相が記者会見で「要請」するという事実上の強制をするのはおかしい。そもそも許認可事業である電力事業者が、認可権者である政府の「要請」を拒否するのはきわめて困難です。
池田さんもご自身で「拒否しろ」と書いているでしょう。その後の筋道まで理論的に書いているではないですか。困難でも要請である以上、拒否はできますよね。
>これだけ言ってもわからないようだけど、こういう曖昧な形で政府が恣意的に民間を「指導」する仕組みが、天下りなどの官民癒着を生んできたのです。問題は首相の善意ではなく、法的な手続きなんですよ。
法的手続きではなく、中電が拒否すれば、その時に「郵政国会」のように電気事業法改正に絡む総選挙をするのが民主主義であり、法治国家ではないでしょうか?
>14
>法的手続きではなく、中電が拒否すれば、その時に「郵政国会」のように電気事業法改正に絡む総選挙をするのが民主主義であり、法治国家ではないでしょうか?
ここは少し話に飛躍がありますね・・・汗
あなたは「中部電力は断れ」と言ってるんですか?
私はこの要請は間違っていると思うから、中電は拒否しろと書いた。あなたは「浜岡原発を全面停止するように政府が“お願い”するのは当たり前!」と言っているのに、中電はそれを拒否しろという。それじゃ“お願い”は当たり前じゃないでしょう。要するに、あなたは
・政府は浜岡を止めさせるべきだ
・中電は浜岡を止めるべきではない
という矛盾した話をしてるんですよ。
政府がお願いするのは国民の安全のために「当たり前」であり、中電が拒否するのは株主への説明責任が果たせない場合にです。意味が違います。
なお、菅さんが中電に対して要請ではなく、命令や法的な何を行った場合、中電は株主訴訟にも悩まないで済むし、うまくすれば、中電は政府に対して「堤防代金も出して」と言える状態になります。これで良いのでしょうか?
これが今までの「なれ合い」だったのではないですか。
ここは「要請」ということで、中電の経営者が自主的に決めるということが大切だと私は思います。
私は、池田さんと前田さんのやり取りは圧倒的に池田さんが正しいと思う。
なぜなら、電力会社の行動は公共企業としてすべての許認可を国、つまりその長である総理大臣に握られている。
よって、今回の「要請」は明らかに「権力を背景とした恐喝」であると考えられる。加えて「すべての判断は中電に責任がある」にいたっては、すべての許認可の判断をも放棄した、とも言えまいか。
前田さんと孫さんは、「原発を止める事が正しい」=「すべての手続きをすっ飛ばす暴力は正しい」と言っている事にご自身で気がついていないのかと不思議に思う。だから池田さんと話が噛み合ない。
こういう会社の製品は恐ろしくて使えない。いつ合法なものが違法になるかわからないのだから。
>なお、菅さんが中電に対して要請ではなく、命令や法的な何を行った場合、中電は株主訴訟にも悩まないで済むし、うまくすれば、中電は政府に対して「堤防代金も出して」と言える状態になります。これで良いのでしょうか?
それが当たり前です。政府が公権力を行使して「命令」するために法律があるのです。たとえば安全審査をやり直して浜岡が不合格になれば、運転は停止されます。これは賠償も必要ない。それが「法の支配」というものです。
前田さんは、この「総理大臣の要請」を1企業が断る事が可能とお思いのようですね。あなたは中部電力の社長になるべきですよ。
まぁ「総理大臣の法律的根拠のない個人的要請」とは、思い切った手ですよねぇ、これだけ識者に議論させる政治家はかつていなかったでしょう。管さんはたいしたもんです。そこは私も褒め讃えてあげましょう。
池田さんも、前田さんも、「断る」という選択肢を挙げておられます。ただ、アプローチが違う。切り口が違う。ということですよね。
池田さんの言い分もあり、前田さんの言い分もあって、「断る!」のほうが、中部電力としては、断る理由が増えていいのではないですか?
いつも思うのですが、異なる切り口を、自らの論理で判断する。というのは、おかしいと思います。
前田さんは、ダブルクォートでくくったうえで、要請とかお願いの語を使っておられる。「ああしろ、こうしろ」とは言ってない。どのような判断がなされるか、その見所について1つの導線を引いて下っている。
>この異例な“要請”により、いろいろな問題が明らかになったのは事実ですから、大いに議論をすれば良いと思います。
とおっしゃっているように原発問題を抱える国の「住人」として持つべき1つの見方を整理してくださっている。
一方、池田氏は、中電に対する提言ですよね。
昨年、異なるアプローチのSさんとKさんの論争で、Sさんは、「Kさんを論破してやりました」と誇らしげでした。が、端から受け持つ仕事が異なるお二人。論破も何も、Sさんが言い尽くしただけの話で、結局、Sさんお一人で話せば済んだ企画がありました。
それぞれの立場を補強し、互いの背中を守りあうような、建設的なご議論をお願いします。
命令をするために法律があるので政府が「危ない」と思うなら要請ではなく法的根拠をもって対応すべきだというのは、ある意味正しいと思います。ただ今回は緊急を要するので、よりスムーズに運ぶであろう“要請”にしたと理解しています。
しかし、今まで政官学がゆるゆるの関係になっているのは電気事業法による命令があったからであり、こういう関係をいつまでも続けるのは問題だとも思います。
逆に直面する地震等へのリスクに対する中電としてのスタンスをしっかりと決めさせるためにも、今回の要請は効果があると私は思います。
「政府等から言われるまま」ではなく、一株式会社が行っている以上、法人としての意思を持つべきでしょう。失敗に対する第一義的な責任の所在を明確にするために株式会社という器なのだから、「今、堤防の建造中でも問題がない」ということで、地域住民を説得できるなら政府の要請を断ればいいだけです。もしだめなら、要請を受け、株主に当該決定についての説明責任を果たすべきでしょう。
もし全て政府等からの命令で行うのであれば、株式会社という形態そのものをやめるべきであり、政府の機関になれば良いだけです。
> 「総理大臣の法律的根拠のない個人的要請」
これは、 米国の大統領などもやります。 メキシコ湾の原油流出事故では、 法的な賠償責任の上限は$75Mですが、 BPは$20Bを支払うことになりました。 オバマ氏は、 BPには充分な補償をしてもらうと何度もいっておりました。
BP側としては、 補償を拒否すれば、 現在保有しているメキシコ湾での原油採掘権が将来行使できなくなることも考えたとおもいます。
同様なことが、 EXXONのアラスカ沖でのタンカーの座礁による原油流出事故でもおきました。EXXONのコストは、 法的な補償額の上限の$14.3Mを超えて$3.6Bになりました。
これを妥当と考えるかポピュリズムの暴力と考えるかはおまかせします。
米国では、 法律限界すれすれなむちゃなこともしますが、 そうして、 FBIはシカゴのギャングもつぶしましたし、 KKKも押さえ込みました。 日本のヤクザはなんとかならんですか?
>22
どういう「緊急性」があるのか。地震があす起こるんですか。これまで20年近く運転してきた原発をすぐ止めないと困るような欠陥が判明したのですか。
そういう欠陥が明らかになったときは、電気事業法に定める技術適合命令で止めることができる。何も欠陥がないのに止めようとしてるから混乱してるんですよ。
それに私のコメントを「検閲」というのは聞き捨てならない。撤回してください。
>それに私のコメントを「検閲」というのは聞き捨てならない。撤回してください
まず、この点は私の誤りです。深く心からお詫びいたします。申し訳ございません。
なお、Twitterでもこの点は訂正をいたしました。
>どういう「緊急性」があるのか。地震があす起こるんですか。これまで20年近く運転してきた原発をすぐ止めないと困るような欠陥が判明したのですか
この点は本文にも書きましたが、今回の大震災によって、今までとは違ったリスクが顕在化したということではないでしょうか?
こんなにも話が噛み合わないことにびっくりです。
緊急性や危険性って、明確な境目がないですよね。
中電の「要請」が妥当だというなら、こんにゃくゼリーだってタバコだって、首相が危険で緊急だと判断しさえすれば「要請」できる。
その緊急性とか危険性というものの基準が明確じゃないにも関わらず法的根拠が薄いとしたら、いったい何を持って妥当とするんでしょうね。世論の感触ですか。総理の「感覚」ですか。
こんな曖昧なものがまかり通って、ましてや半強制的に国から突き付けられるのだとしたら、法治国家が聞いてあきれます。
評価すべき、というのは単なる感情論でしかありませんよね。
タバコに関しても、今回のように「安全性について、さまざまな意見を聞き、熟慮を重ねた上で」、JTへのタバコ製造販売中止がある日「要請」されたら、尊敬し褒めまくる人は一体どれだけいるのでしょうか。
もう少し客観的に考えていただきたいです。
前田さんは本当に何も考えてないんだろうなあ, という印象を持ちました. 「原発停止要請」を「絶対正義」と錯覚し, それを守る理屈だけに執着したような気がします.
政府がすべきことは事故直後から決まっています. 津波という安全上の穴があったことが判明しました. 原因が電力途絶だとわかった時点で政府機関に諮り, 全国の原発に対策を命じるのです. そして対策できたか政府機関が検査することになるでしょう.
なお, 浜岡原発は4月19日までに自主的に対策しました.
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20110421/CK2011042102000155.html
後は政府がチェックすればよい話です.
しかし, 政府が全国の原発に対策を命じて検査するという報道を知りません.
菅直人がそういう正道をとりたがらないのは想像がつきます. 政府が検査して合格したら, 菅直人には首相としての責任が発生します. 責任を取らず, 他人を責めるしか能のない菅直人には耐えられなかったのでしょう.
東北はここ何年もずっと不景気が続きました. この上電力不足でさらなる不景気を強制されたら, 死人が出ないほうが不思議です.
ひょっとして池田さんと前田さんは別の緊急性を見ているのでは?
池田さんは
東海地震が今後30年に起きる可能性が87%というのは既に以前から発表されていたことであり、それに対する対策はうたれている。福島でも原子炉の停止は行われた。問題はその後の冷却機能の喪失だから、津波等の対策を行えば良い」
前田さんは
東海地震が今後30年に起きる可能性が87%であり、それに対する対策は不足している。よって止めるべき。
そもそも、福島および今回の地震で止まった原発に対するreviewが食い違っているのでは?
国の判断はいままで池田さんのコメントとおなじで、管さんも地震については同じ解釈、ただし、津波が来たらヤバいから止める。ということ。そうすると、やはり、福島第1と第2の差をreviewして想定外の津波対策をドウすべきか、と言う認識があわないと噛み合ないのでは。管さんのずるいのは「津波リスク」を言葉ではいうものの「国が判断基準を改めたか」を何も言わないこと。
私個人的には、想定外の津波でもとにかく死人のでなかった原発の手当より、三陸ほどの対策をしていないであろう東海、東京地域の住宅地域の津波対策を心配しますけどね。浜岡原発に管さんの心配する津波が来たら一般市民の被害はどの程度なんでしょう。優先順位が間違っていると思う。
法治国家であり、そうあるべきというのが大前提であれば、反論はまさにその通りだと思いますが、個人的に気になっているのは、世論・国民の観点が不在だということです。
仮に、今回の”要請”を国民の大多数が支持しているとしたら、、
(もちろん、支持にもいろいろあるかとは思いますが、法治国家としての枠組みをきちんと理解したうえで、支持している方は相対的に少ないだろうとは思います。)
その場合、そのような国民はいかれていると一刀両断するのでしょうか。そんなことをすれば、結局、将来的にツケが自分たちに回ってくるとしても、目先の恐怖から逃れたいという行動は、それはそれで十分尊重すべき意見なのではないでしょうか。
上記は前提を置いた上での仮の話ですが、若干、国民不在の法治国家論になっているような気がしたもので、あえて指摘を申し上げた次第です。
多分、防波堤対策をとっても、リスクはさほど軽減しないと思います。福島の原因解明がきちんとなされるのが先決ですが、仮に津波が原因であれば防波堤以前に予備電源等の対策が不備だったこと、問題発生後の対応がまずかったことが問題拡大の原因と思われますし、揺れに大きな原因があるとすれば、そもそも防波堤は無意味です。
管総理は、これは他の原発には及ばないと言ったそうですが、全原発をの現状分析に基づく最善策だとの説明はありません。
ただし、首都圏に近く大事故発生時に影響が最大であるから、というのはある程度理はあります。とすれば、再開はありえないことになります。
喝采を上げている人の声は、「滅茶苦茶なことでも、何かやれば前に進むかもしれない」としか聞こえません。(実際いくつかのブログ等を読んでみましたが、そのような主張ですね。逆に、「脱原発の真珠湾」だと真に当を得た表現をされている方がいました。もっとも管首相本人は「脱原発」との意識はなさそうですが、、)
前田さんの言い分もわかりますし、池田さんの言い分もわかります。
しかし単純に視点が違うだけなので論争する意味がわかりません。
最も最悪の事態を想定して要請することの是非と、法律的経済的要素からそれは誤りだとするのは、光の当て方が違うだけであり、これでは前田さんも記事をアゴラへ書くことに躊躇してしまいます。
中部電力株を暴落させるなど個人的に菅さんの要請のやり方は間違っていると思いますが、目先ではなく長い目で見た方向性はあっていると思います。たぶん前田さんの言いたいことも最終的に収束させるべき方向性についてのことであって、法律論で書いたことではないはずです。
今回の総理のやり方は法治国家の原則を踏み外しています。
そして今回の「要請」が「たまたま」前田さんや孫さんにヒットだった、というだけでその例外を認めろと言っているように私には聞こえます。
(その自覚がないのであればその度し難い鈍感さに驚愕せざるを得ません)
そういう形で例外を認めていけば法治国家としての根本が瓦解するのは自明です。
仮にデフォルト等が起こり日本が転落し国民が自信を失ったとする。
そういう時に国家のプライドを代弁する指導者が国民の支持を受けて現れた。
その指導者が支持を背景に法に基づかない人治的な手法で事案を処理した。
その事案の処理は大変に適正適切公平でその年にそれ一件しか行わなかった。
前田さんはそれでいいのでしょうか?(笑
適正かつ公平でそれが人々に強く支持されたのなら、私は尚のこと心配ですが。
以後、その指導者による人治的なやり方が適正公平である保障は何ですか?
濫用されない保障はどこにあるんですか?
なぜ我々は属人的な人治主義を採らなかったのでしょうか?
「要請の内容」が素晴らしいんだから、そこを判断しようじゃないかと思うのは前田さんの自由ですが、内容以前の話でしょう。
何故そこを無視して首相を褒めろとかいう話になるのか、できるのか。
「内容さえいいならどんな手段でもいい」とか大げさじゃなく法や民主主義に対する挑戦ですよ。
何故こんなレベルの記事をアゴラ編集部が載せたのでしょう。
正直頭を抱えたくなりました。
コメント欄を見ると案外知らない人が多いようなので補足.
4月19日までに浜岡原発は津波対策をしました.
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20110421/CK2011042102000155.html
これで不十分かは政府がきちんとチェックすればいい話です.
そういうのを全部無視したのが菅直人.